アートスポットを巡るバス旅(前)江之浦測候所
友人に誘われて日帰りバスツアーに参加しました。
新宿西口を出発して最初に向かったのは、小田原市江之浦にある江之浦測候所。測候所?変わった名前。初めて聞いたときは、何かを観測している所かと思いましたが・・・。(富士山測候所みたいな)
小田原文化財団 江之浦測候所は美術家杉本博司氏の構想を元に造られた野外型の美術館です。展示物だけでなく、建物そのものもアートの一部になっていて、それを散策しながら楽しむことができるようになっています。
入場するときに立派なパンフレットが手渡されるのですが、それを見ると敷石一つにまで様々な来歴があり、これを一個一個確認していたら、一日たっぷりとかかってしまうでしょう。
元はミカン畑だったという山の斜面に造られた美術館は、当然日当たり良好で眼前に太平洋が広がります。朝はこの海から太陽が昇ってくるのですが、この日の出を取り入れたアート作品が江之浦測候所を代表しています。
例えば一番大きな施設である全長100メートルの細長いギャラリーは、夏至の日の出の方向に延びています。
このギャラリーの下を交差して造られているのが「冬至光遥拝隧道」。江之浦測候所の多分一番重要な施設だと思います。
このほかにも太陽を遥拝する作品があり、これが測候所という名称の由来なのかなと。
日本の庭園や古い家屋、またはこの美術館のために造られた茶室もあります。斜面や曲がりくねった小路、樹木の影に隠れ、進むことによってそれらが現れてくる仕掛けです。
この茶室や石の鳥居の方角も、春分秋分の日の出の方を向いています。太陽を遥拝できるように、その方向にはさえぎる物が無いように配置されています。
藤棚の先から細い山道を下ってゆくと蜜柑や檸檬のなる畑があり、その一角に昭和30年代に造られたミカン畑の農機具小屋があって、「化石窟」と名付けられています。
中には農具がそのまま残っている他、化石が展示されています。
化石窟の下には竹林が広がっていて、さらに下っていけますが、帰りの体力や集合時間が気にかかり、やめておきました。(^^;)
森の中にも石仏たちが。これらは大阪の実業家、細見亮市が収集しました。
この日は十二月にしてはとても暖かく、風も殆んどない穏やかな天気でした。もっと時間があれば、石の上にでも座って、のんびりと海を眺めて時間を過ごすのも良いなぁと思いました。
江之浦測候所は階段や飛び石の道が多いので、歩きやすい靴で行ってください。ヒールの高い靴はやめておいた方がいいです。
ツアーには杖を突いていらっしゃる方もいましたが、車椅子での観覧は無理です。
一部飲食自由ですが、ごみ箱は野外に無いので必ず持ち帰るようにしてください。
この施設はまだ未完成だそうです。どんなふうに変化していくかも楽しみです。
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