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season12 6話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

6.『メッセージリーフと疑問と』


 場面は戻ってバトルコートのヨーコ達。

「ミー」

 陰からミミッキュが現れた。

「わっ! わっ! びっくりした!」

 飛び上がるボタン。

「わー、ミミッキュ! ここにもいるんだ」

 感心するネモ。

「野生のやつかの。こんなところに入り込むとは……」

 哲が考えていると、ミミッキュが近づいてきた。
 すると、ミミッキュの布の中から、今度はドラメシヤが。

「へ、ドラメシヤ?」
「この子どこかでみたような?」

 まばたきするペパーとネモ。

「あ! もしかしてトップのドラパルトさんと一緒におる子かね?」

 うなずくドラメシヤ。

「じゃそっちのミミッキュは?」

 ミミッキュ、緊張した様子でごそごそし、布からなにかを取り出してヨーコに渡した。

「はっぱ?」

 1枚の葉っぱだった。裏返すとなにやら文字のようなものが。

「多羅葉の葉か。しかも速記文字を使っとりんさる」
哲の言葉に首を傾げるペパーとネモ。
「たらよう?」
「速筆文字?」
「多羅葉は木の名前。葉っぱの裏に文字かけるんよ。クスノキ寺にも植わっとってじゃ」
「で、速筆文字は言葉を簡単な記号にしたもんのこと。普段は聞き取ったもんを素早くメモする時に使うんじゃがの」

 それぞれ説明するヨーコと哲。

「カメラアプリ改造して解読してみる。貸して」

 スマホをいじるボタン。ヨーコ、葉っぱをボタンに渡す。
 ボタン。さっそく撮影。するとボタンのスマホの画面に変換された通常の文字が出てきた。

『シクータ フーディン、バンギラス、ボーマンダ 嫌な予感 油断大敵』

「犯人の名前と、犯人の手持ちじゃない?」

 目を見開くネモ。

「キラーメが言ってたよくわかんないポケモンって、こいつらのどれかってことだよな」

 腕を組むペパー。図鑑アプリを見つつ話すボタン。

「フーディンかも。パルデアじゃ見かけないし、ありとあらゆる超能力を使いこなすって書いてるから、バグ起こしたり一瞬で連れ去るなんて朝飯前っしょ」

 ヨーコ、ミミッキュにオモダカの画像を見せながら、

「ミミッキュさんは、こん人からこれを預かったんよね?」
 うなずくミミッキュ。何か話すドラメシヤ。
 ぴっかりさんが出てきてヨーコに伝える。ヨーコ翻訳。

「『ぼくはミミッキュの布の中に、手紙と一緒に隠してもらってここに来たんだ。ミミッキュは屋敷に住み着いてるから、こっそり外に出る方法を知ってて助かったよ』だって」

 その姿に、すずの姿を重ねる哲。

「手持ちがわかれば対策もたてやすい! さっそくシミュレーションし……」

 意気込むネモだが、みんなのお腹が盛大になる。時計を見ると午後12時。ホテルの個室で食べることに。哲も接待という名目で来てくれる。ミミッキュとドラメシヤは戻るということで、お礼のきのみを渡すヨーコ。みんなで2匹を見送った。



 地元の野菜を使った料理や本場のクス巻きをいただくヨーコ達。

「話変わるが、あんたのお母さんの名前、もしかして『すず』か?」
「え、はい。育て、のお母さんは北條すずですけど」

 おもむろに哲に聞かれ、ヨーコ、少し言葉を切り、

「うち、実の両親がクスノキ襲撃事件で亡くなっとるけ」
「──ほうか、あんたの育ての母ちゃんじゃったか」

 うなずく哲にいぶかるボタンとペパー。

「なんでヨーコのお母さんの名前知ってるんすか」
「もしかして、ヨーコかヨーコの母ちゃんのストーカーか!?」
「違う違う!」

 哲、慌てて否定し、咳払いして、

「ヨーコのお母さん──すずは、わしの幼なじみなんじゃ」

 驚くヨーコ達。ヨーコは同時に、哲の名前に聞き覚えがあったのはすずから哲の話を聞いたからだ、と思い出す。

「ポケモンと戦うたり、喋っとる姿がよう似とる」

 哲に言われ、恥ずかしいけど嬉しいヨーコ。
 その後は別れてシミュレーション。ヨーコ達はバトルコートを借りて戦略と技を練る。哲は警察と打ち合わせ(待機はしてるけど市民の安全とかあるから)。
 その最中、実の両親を思うヨーコ。

(お父ちゃんお母ちゃん、うち、またクスノキシティに来たよ。ふたりを助けられんかった代わりに、うちとうちの友達の大切な人を絶対に助けるけ、うちに力を分けてつかあさい。そしてオモダカさんを守ってつかあさい)

 ふとペパーが、

「あんまし言えなかったけどさー、レホールせんせの話だと、冠って、普通の人間がかぶっても、伝説のポケモン呼べないんだよな?」
「ああ、うん」
「そう言ってたね」

 うなずくヨーコとネモ。

「じゃあ、なんで傍系の理事長せんせが持ってたんだ?」
「たしかに?」

 首をかしげるボタン。

「それに、直系いないって言ってたよな。
──なのにあいつ、なんで理事長せんせさらってまで、冠欲しがってたんだ?」

 冷たいものがヨーコ達の背筋を走る。

「ほう、よね……。それにトップのあの言葉も、うち気になっとるんよね」
「『嫌な予感 油断大敵』って?」

 聞き返すボタン。うなずくヨーコ。
 ネモも腕を組んで、

「言われてみれば、トップって、そんな言葉あまり使わないよね……」
「あの冠について、よっぽどの何かがあるんよね、きっと……」

 ヨーコの言葉を最後に、しん、と静まり返る室内。

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