season7 2話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
2.『ゼロの大空洞』
足元に気を付けながら進んでいくと、結晶の固まりが道を塞いでいた。
「何これ? 結晶でできた……、花みたい」
ゼイユが首をかしげる。
「道、ふさいでんだけど……」
「これじゃ進めない」
スグリため息。
ゼイユ、ヨーコを見て、
「あんたのなんとかドンでぶっ壊せないの?」
「やってみる!」
ヨーコがミライドンのボールを取り出そうとすると、
「待て待て、待ちたまえ」
慌てて止めるブライア。
「おそらくこれはテラスタルエネルギーそのもの……。強引に破壊すれば、何が起きるか予想できないよ」
「ありゃ、先生初めてまともなこと言いんさった」
「ピカピカ」
ヨーコとぴっかりさんの毒舌にブライア(汗)。聞くスグリ。
「じゃあ、どうすれば?」
「ううむ……」
考え込むブライア。
と、横合いからかすかな光が。
「ん?」
振り向くブライア。ヨーコたちもそちらを見る。
「キラフロルさんじゃ」
謎の光をまとうキラフロルが。
「テ、テ、テ」
「こんなところにもポケモンが!?」
驚くブライア。
「それに……、何だ!? 不思議なエネルギーを帯びている!?」
近づこうとするブライアを慌てて止めるゼイユ。
「ちょっと離れて! 先生戦えないんだから!」
「あ、ああ、すまない……」
「スグ……、ううん、ヨーコ、ピカチュウ、まかせた!」
「わかった!」
「ピカチュ!」
ヨーコ&ぴっかりさん、キラフロルと対峙。
「キラシチウ!!」
かかってこいや! と鳴くキラフロル。
「頼んだぴっかりさん!」
「ピーカチュウ!」
構えるぴっかりさん! と、キラフロル、テラスタル!
見たことない冠の形に、ふたりは驚愕。
「全部のタイプの、結晶……!?」
「ピカピカ……!」
「何だ、あのエネルギーは!?」
ブライアも驚愕。
「もしや……、あれが……!?」
しかしヨーコ、気を取り直し、
「テラスタルにはテラスタルじゃ! 行くでぴっかりさん!」
「ピカピカチュ!」
「どんどろ轟け、ぴっかりさん!」
ぴっかりさん、テラスタル!
「ぴっかりさん、かみなりパンチ!」
久しぶりのかみなりパンチ! キラフロル、テラスタルジュエルが砕ける! そこから反撃の隙も与えずいかづちおろし! 倒れるキラフロル。勝利!
「よし、ありがとうぴっかりさん!」
「ピッカチュ!」
ぴっかりさんどや顔。
「ヨーコ、お疲れ!」
戻ってくると、ゼイユがほめてくれた。
「ありがとうゼイユさん」
と、結晶の花が光を放ち、消えた!
「わっ、消えた」
スグリ思わずびっくり。
「えー……、光ってるのいなくなったら、結晶の花も消える感じ?」
「みたあね」
「ピカチュ」
「やはり、先ほどの……」
ブライア、考えながら、
「あれがテラスタルタイプ:ステラ! すべてのタイプの力を発していた!!」
「えーっと……、つまり?」
ゼイユ首をかしげつつ、
「もしかして、今のがゼロの秘宝ってやつ?」
「……!」
気色ばむスグリ。ブライアすぐに、
「違う……、とは、言いきれないが……」
思い出しつつ、
「博士のメモには、『ゼロの秘宝は結晶体で眠っている』。……そう書かれていた。先ほどのキラフロルはテラパゴス……、ゼロの秘宝ではないはず」
「奥まで行けばわかる」
スグリ、歩き始める。
「……行こう」
うなずき合い、ヨーコ達も歩き出す(ぴっかりさん、ケッ、という表情)。
*
次の箇所ではメレシーがふよふよしている。眺めつつも進むと、またまた結晶の花が。
「ありゃ、またお花じゃ」
「ピカピカ」
「ここにも結晶の花が……」
ブライア、触れながら、
「大気中のテラスタルエネルギーが飽和し結晶化しているのか……?」
「向こうの光るやつ倒せば、道、開けるんじゃない?」
ゼイユ、崖の向こうを差す。確かに何かいる。
「なんとかドンで崖とか飛び越えてきなさいよ」
「うん」
「光るやつ近くにいれば俺が倒すのに……」
ぼやくスグリ。ヨーコ&ぴっかりさん、ひとまずミライドンに乗り近づく。オンバーンだった。
「オー! バー!!」
オンバーン、ステラタイプにテラスタル!
「どんどろ轟け、ぴっかりさん!」
「ピカピカ!」
ぴっかりさんもテラスタル!
「じゃれつく!」
じゃれつく攻撃! 効果抜群。オンバーンのテラスタルジュエル砕ける。
「全タイプでも無敵じゃない……。ぴっかりさん、そのままかみなりパンチ!」
かみなりパンチでとどめ! オンバーン倒れる!
同時に結晶の花、光って消える。
「でかしたわ、ヨーコー!」
ゼイユが呼びかけてくる。
「結晶、消えたわよー!」
「はーい、戻りまーす!」
「ピカピカー!」
ミライドンに乗って戻る。
「あの子、ミライドンだっけ? やるじゃん! ひとっ飛びね!」
「えへへ、ありがと」
嬉しいヨーコ。
「この調子で進んでいきましょ!」
うなずくみんな。
*
さらに下の空間。やっぱり結晶がある。
「まーた結晶!」
憤るゼイユ。
「岩っころのくせにあたしを止めるなんてナマイキ!」
「まあまあ」
ヨーコなだめる。
「ってか、光るやつどこにいんのよ!?」
「ピカピカー!」
いつの間にか離れていたぴっかりさんが指し示す。
「道があるみたあじゃ」
「ここ……、鬼が山より入り組んだ地形だな」
スグリつぶやく。
「地形には注意するんだよ。落ちても助けられないからね」
「はい」
ブライアの言葉を受け、ぴっかりさんと合流するヨーコ。
確かに道がある。進んでいくとぽっかりとした空間。
「わあ……」
崖に岩が転々としている。向こうにあの光が。
「行こう」
「ピカピ!」
ミライドンで進む。
ついてみるとテツノイバラ。
「バ・ビラ・ブビラ!!」
テツノイバラ、テラスタル!
「あの技覚えておいてよかった! どんどろ轟け、ぴっかりさん!」
ぴっかりさんもテラスタル!
「ぴっかりさん、かわらわり!」
しっぽでかわらわり! 効果抜群! テラスタルジュエル砕けるテツノイバラ!
「もう一発!」
とどめのかわらわり! テツノイバラ倒れる。
向こうの部屋では花が消える。
ヒメリのみを食べさせていると、ブライアが呼びにきた。
「ヨーコくーん! 進路が現れたよー!」
「はーい! 今行きまーす!」
ミライドンに乗って戻るヨーコ達。
「何度もすまないね。礼を言うよ、ヨーコくん」
「どうも」
ヨーコとぴっかりさん、ぺこり。
ブライア、スマホロトムを取り出し、
「進むほどテラスタルエネルギーの濃度が高くなっているようだ。先を急ごう!」
うなずくみんな。
螺旋上になっているのを慎重に進む。
*
最下層は水場。
進む道にはやっぱり結晶の花。
「素晴らしい! いたるところからテラスタルエネルギーがあふれているね!」
スマホを見ながらわくわくと駆け寄るブライアに、スグリため息をついて、
「先生あぶなっかしくて目、離せない……」
ゼイユ、水面を見ながらヨーコに、
「服が濡れちゃうから、水辺の探索はまかせたわよ」
「はいはい」
ヨーコ笑ってミライドンのなみのりモードですすむ。
水路の先には小島。結晶の木が生えている。
「木?」
「ピカピカ……」
美しくも恐ろしい光景に目を見張っていると、その根元には光をまとうキョジオーンが。
近づいてみると、
「ゴゴゴゴゴゴ!!」
うめくキョジオーン、テラスタル!
「どんどろ轟け、ぴっかりさん」
ぴっかりさん、テラスタルして、
「ぴっかりさん、またまたあの技!」
かわらわり!
しかし固いので結晶くだけるまでのダメージじゃない。
と、キョジオーンのテラスタルジュエルがかがやき、アームハンマー! かなり強力!
「本来のタイプの技じゃのうても、こがあに強うなるなんて……!」
「ピカピカ!」
お返しにタイプ一致のかみなりパンチを急所当て! キョジオーンのテラスタルジュエルく砕ける! とどめにかわらわり! キョジオーン倒れる!
一方、ゼイユ達のところでは結晶の花が消える。
「ほら! 次スグの番! ヨーコ呼びなさいよ!」
ゼイユに言われても、スグリ、
「俺が言ったってうれしくないでしょ……」
「いいから! はやく!」
有無を言わさないゼイユに、スグリため息をつきながらも走っていく。優しく見守るゼイユとブライア。
スグリ、水辺に来たところで、
「お、おーい、先……、進めるよ……!」
「はーい!」
ぴっかりさんを回復していたヨーコ、しっかり返事をする。
それでも気まずいスグリ。
「お待たせしました」
ヨーコ、ミライドンで戻ると、
「ほら! スグ! なんか言うことあるんでしょ!」
ゼイユうながす。
「いや、別に……」
スグリ、顔をそむけ、
「……ヨーコとヨーコの相棒に、たよりっぱなしだなって、思っただけだよ」
歩き出すスグリ。
「先……、行かないと」
道の向こうに消えてしまう。
「素直じゃないわねー」
「ハハハ、かがやいてるね!」
笑うブライアを軽くどつくぴっかりさん。空気読め! な顔。
「言っとくけど、あんたがいない間、あたしたちも戦ってんだからね。おかげであたしもポケモンたちもボロボロ!」
「はあ、ごめんなさい……」
思わず謝るヨーコ。
「まあげんきのかけらとキズぐすりとで休ませてるけどね! もうヤバソチャしかまともに戦えないから、何かあったら助けなさいよ!」
「わかった」
「ピカチュウ」
素直にうなずくヨーコとぴっかりさん。
そしていよいよ次の空間。大部分が結晶に覆われている。
「テラスタルオーブが……、反応してる?」
スグリ、テラスタルオーブを出す。ゼイユも出す。
「本当だ、あたしのも」
ブライア、スマホロトムで確認。
「すさまじいほど濃度の高いテラスタルエネルギー……!!」
奥へ続く道を見る。
「この奥から放出されているのか……!」
「やっとゴール地点!?」
喜びの声をあげるゼイユ。
「ゼロの秘宝……!」
スグリ、気色ばんで先に行く。
「あっ、待ちなさいよ!」
ゼイユ止めるが、
「はやく見たい!! バイオレットブックの真実!!」
ブライアも行ってしまう。
「先生まで!」
叫ぶゼイユ。すぐため息をつき、
「やれやれって感じ」
ヨーコを向いて、
「あたしたちは余裕感出しながら行きましょ」
「うん」
ぴっかりさん、
「ピカピカ、ピカ」
アホふたりはほっときましょ、という鳴き声。
足元に気を付け進むヨーコ達。結晶に覆われたトンネルを抜ける。
そこは一際大きい空間だった。
「ここは……」
ヨーコ、声が出ない。目の前には幾本もの結晶の柱。その奥で、何かがきらめいていた。
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