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season12 7話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

7.『指定時間目前にて』


 無事にこっそりと戻ってきたミミッキュとドラメシヤに柔らかい笑みを浮かべているオモダカ。しかしすぐに考えに沈む。

(遵奉の冠──パルデア帝国の帝冠、皇帝の直系の者がかぶると、伝説のポケモンが現れその者に従うといわれる)
(彼はなぜ、私を誘拐し人質として幽閉してまでそれを欲しているのか。直系は途絶えたと言われているから、換金するつもりなのか、それともまた別の誰かが、冠を奪うために手を引いているのか……)
(それに、彼の手持ちはいずれも強いポケモンばかり。私の命を奪いチャンピオン・ヨーコ達を騙して冠を手に入れた後に逃亡することも充分可能。なのにそれをしないのは……)
(私の命など、いつでも消せるという事か)

 自分は消えてもかまわない、それよりもと思いかけたところで、ヨーコとネモとのやりとりを思い出すオモダカ。

──「いずれ貴方がたどちらかに……、トップの座をゆずるまで精進しますよ」
「「えっ!?」」
「えー! ヤダヤダ! そんなこと言わないでください! トップにはいつまでもトップでいてほしいです!」
「ほうです! まだやめるんは早いですよトップ!」──

 こちらから動きたいが、ヨーコ達のこともあり下手には動けない。
 ヨーコ達頼りになってしまい、唇を噛み締めるオモダカ。



 一方、ヨーコ達も同じような考えを話し合っていた。
 ここで哲と警察がやってきて仮眠を取っておくように言われ、ホテルの部屋にてシャワーを浴びて相棒達共々仮眠という名のお昼寝(時刻は午後2時)。
 みんな勝負とシミュレーションで疲れていたらしくすぐに寝てしまう。



 ヨーコが起きたのは午後5時。ネモもボタンもまだ寝ている。ぴっかりさんだけが目をこすって起き上がる。
 スマホロトムを持って、一緒にホテルの展望台へ。すると哲がいた。
 哲と色々話すヨーコ。実の両親のこと事件のこと、すず達との出会いのこと、パルデアに来た日々とぴっかりさんとの出会い、アカデミーへの転入、宝探しの冒険……。

「のうヨーコ、あいつは……、すずは、ええ母ちゃんか?」
「ええも何も」

 ヨーコ、にっこり。

「とっても素敵なお母さんです」

 ぴっかりさんをなでながら、

「それに、お母さんとお父さんがうちを見つけてくれんかったら、うち、ここにはいませんし、ポケモンにも触れんまんまじゃった。強う優しゅうしぶといトレーナーになろうなんて思いませんでした」
「……ほうか」

 と、時刻は午後6時。町の鐘の音が鳴る。

「久しぶりに聞いた……」

 ぽつりとつぶやくヨーコ。ぴっかりさん、ヨーコの顔を見る。
 ここでネモからの電話。ぴっかりさん共々部屋にいなかったから心配したとのこと。哲とうなずきあい夕食へ。野菜たっぷりのうどんという簡単な食事。でもおいしい。



 時刻は午後11時30分。うきちを先頭に、ミライドンで空を飛ぶヨーコ達。ボタンが念のためスマホで地図を確認している。
 11時45分、大きな屋敷が遠くに見えてきたので、上空でうきちと別れる。それからまたしばらく飛んで屋敷前の竹林に舞い降りるヨーコ達。
 月明かりに照らされた威容な雰囲気に、全員息を飲む。

「あと10分」

 冷静にスマホで時計を確認するボタン。11時50分。

「いよいよか。犯人、どんな感じに出てくっかな……」

 ペパー、リュックの中の冠を確認しながらつぶやく。

「一応、お屋敷の見取り図確認しとこ」
「入ってこいって言われるかもやしね」

 ネモとヨーコ、哲に送ってもらった見取り図のデータをスマホで確認。
 そうこうしている内にあと5分。門の前に着き、それぞれ相棒を出すヨーコ達。
 ついに午前0時。
 屋敷の門が、ひとりでに開いた。

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