season10 3話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
3.『ピアチューター・北條陽子』
ブルベリに戻るヨーコ。久夫と再会し姉弟もリーグ部に戻り、残り2ヶ月楽しく過ごすべく張り切る。
*
リーグ部部室。
「たのむよゼイユー、宿題写させてくれーい」
「マジで人にものをたのむ態度じゃないんだけど……」
ピキピキゼイユ。
「っていうかイ・ヤ! あんたにノート貸すとクッシャクシャで返ってくるんだもん!」
「そこをなんとか! アイロンかけて返すからよ!」
「いやまずクシャクシャにすんなって言ってんの」
「タロもネリネも貸してくんねえんだよー」
カキツバタ、座ったまま、パシンと手を合わせて、
「たのむ! このとおりだ! 頭下げてるのみえねえのかい!?」
「どうみてもくつろいでんのよ!!」
ここでヨーコ入ってくる。
「あ、ゼイユさん」
「あらヨーコ、あんたから挨拶に来るなんて、気が利くようになったじゃない?」
どこか嬉そうなゼイユ。
「スグと一緒にあたしも学園復帰したから、あたしのこと見かけたら2秒以内に声かけるように!」
「──えー……」
苦笑いなヨーコ。
「うふふ! あんたの嫌がる顔! 最高にいいわね!」
愉快そうに笑うゼイユ。ヨーコ悪い気はしない。
ゼイユため息ついて、
「あー、しばらくキタカミにいたから、学園がゴミゴミして見えるわ。スイリョクタウンってなーんにもないから! ……そこがいいんだけどね」
ゼイユ一旦言葉を切り、
「っていうか、あんた学園にもリーグ部にも普通になじんでてビビる! スパイとか向いてんじゃない?」
「えー、ほうかねえ」
と、ここでスグリもやってきた!
「ヨーコだ!」
「スグリさん!」
「学園……、ひさしぶりに来てみた」
スグリ、少し恥ずかしげに、
「意外とみんな……、普通に話してくれる。カキツバタはニヤニヤしながら俺のこと見てきたけど……」
スグリ、カキツバタを軽くにらむ。カキツバタはお菓子食べてどこ吹く風。
*
(回想)
「おーす! 元チャンピオン!」
「カ、カキツバタ、あの……、さ……!」
「何かあったのか!? 元チャンピオン!」
「その呼び方さ……」
スグリ渋い顔。しかしカキツバタお構い無く、
「そういや、元チャンピオンは昨日何食った!?」
「やめろって言ってんの! いい加減わかんねっかなあ!?」
ガンギマリスグリ。笑うカキツバタ。
「へっへっへ! 今までの仕返しだよーん」
「うぅ……、うざ……」
がっくりスグリ。
(回想終わり)
*
「けど改めてちゃんと謝った。今までのこと……、悪かったって」
「でも、よかったねえ!」
ヨーコもにっこり。
「……うん! よかった。ヨーコのおかげだな」
スグリにっこり。
「しばらく休んでたから、遅れ取り戻さねえと……!」
「そうそう、オーガポンは元気してる? お面とり戻し隊でともっこたちやっつけたの、懐かしいわね」
ゼイユも話しかけてくる。スグリもうなずき、
「んだべな。鬼さまは……、オーガポンは、元気してっかな? ヨーコと一緒なら、きっと……、ずっと幸せだな」
「……うん!」
うなずくヨーコ。ゼイユは優しい目。
それから2週間は、みんなで受けるべき授業を受け、それらをすべて終え単元テストにも全て合格。落ち着いたところでスグリと勝負。
「ヨーコ、テスト終わったって?」
「うん。じゃけえ帰るまで部活頑張って、特別講師の先生呼んだり、テラリウムドーム回ったりしよう思うて」
「それならヨーコ! 手始めに俺と勝負しよう!」
「もちろん!」
「やった! んだばエントランスさ行くべ!」
*
エントランス、みんな勝負待ち。そわそわしている。
その間、アカマツと話してるゼイユ。
「アカマツ、あんた、スグとクラス一緒よね?」
「うん、一緒だよ!」
「スグは……、その……、復帰してから、どう?」
「えー、勉強してー、話してー、勝負してー、……普通だよ?」
ゼイユ、ほっとするも、取り繕い、
「ふーん、そう! イジワルとかは、されてないのよね?」
「うーん、前が前だったから、怖がってるやつは、いるけど……」
アカマツ、少し考え込むもにっこりと、
「今のスグリは接しやすいから、それでいーじゃんね! ……オレは好きだよ!」
「あ、あんた……」
ゼイユ、じーん。
「バカだけど、いいやつ!!」
「なんで悪口言った!?」
アカマツ、ガビーンΣ(゚д゚)。
「あ、入ってきましたよ!」
タロの言葉に目を向ける。あの時の刺々しさは一切ない。楽しいガチンコ勝負! 見ているみんなも緊張がほぐれていく。
「苦しい……、けど、楽しい! こっからが再スタートだ!」
「ずっと変わらない気持ちさ、今! テラスタルにこめて!!」
「全力でけっぱる! カミツオロチもついてきてな!」
ヨーコ、ギリギリで勝利。
スグリ、負けてもにっこり。
「勝負さできて、うれしかった!」
周囲からも温かな拍手。
「にへへ……、楽しかった! やっぱり俺があこがれるヨーコはつえーなあ!」
バトルコート中心でにっこり。
「ううん、スグリさんももっと強うなっとりんさってじゃ」
ここでシアノから呼び出される。
そこで生徒が授業を行う、いわゆるピアチューターを頼まれる。特別講師の招聘と共に、パルデアチャンピオン及びブルベリーグチャンピオンとしてトレーナー基礎学の授業をしてほしいとのこと。
その間、部室にてスグリとネリネ。
「ネリネ、俺、また、がんばるよ」
「よかった……、本当に」
胸を撫でおろすネリネ。
「スグリが学園に戻って、ネリネはうれしい」
微かに笑って拍手。
「ねーちゃんにもネリネにも、心配ばっかかけたから。本当に……、ごめんな」
「謝罪は不要。スグリが今すべきことは、ただ前進あるのみ」
「……んだな! ありがと!」
スグリもにっこり。
「ネリネに言いきられちまうと、そうだよなーって思うよ!」
ネリネ、少し顔を赤らめ、目を閉じて柔らかく、
「……がんばって」
と、ここでゼイユが入ってくる。
「やっとまともな勝負が出来るようになったじゃない」
「ねーちゃん!」
「ゼイユ」
「ていうかスグあんたさ、いつまでその髪型してんのよ?」
「え、なんで? へ、変かな……?」
「はぁー……、あたし、ずっと言いたかったの」
ゼイユ、大袈裟にため息ついて、
「イキってて似合ってないって」
「イ、イキって……、ない!」
スグリ恥ずかしそうに叫ぶ。
「うぅー、これは……、本気出すために結んでんの!」
「へーえ? あんた髪結ばないと、本気出せないのー? マジー!? お子ちゃますぎー!」
「ねーちゃんうるさい! バカ! バーカ!」
「誰がバカだ! 手ぇ出るよ!」
姉弟ゲンカが戻ってきたことに、ひそかに柔らかい笑みを浮かべているネリネ。
ここでアカデミーの制服を身に纏い入るヨーコ。アカデミーの制服を見たことがある姉弟とタロ以外からは雰囲気の違いに驚かれる。それからかくかくしかじか。
「それにしても、全部の単元テストを終わらせて先生までやるなんて! やっぱりヨーコさんはすごいです! 誰かさんにヨーコさんの爪の垢を煎じて飲ませたいくらい!」
タロじろり。ちょっと気まずげなカキツバタ。
「座学の時は苦手な人でも分かるようがんばるけえ」
「お願いします! ヨーコ先生!」
アカマツ感動。
スグリとゼイユも勉強のため参加決定! ということでヨーコ先生の授業がスタートする!
(おまかせバトルを中心に良きトレーナーとは? を考えていく。授業はアカデミーのように何度も行う)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?