season5 19話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
19.『ネモの壁』
次の日、久しぶりにぴっかりさんやゴンさんとかけっこしようとグラウンドに行く。するとネモがバトルコートでうろうろしてた。
「ネモさーん」
「あー! ヨーコ!」
「何しとるん?」
「勝負の相手に困ってたんだー! グラウンドで会うなんて、勝負するしかないし、しよっか!」
「ええよ!」
ぴっかりさん&ゴンさんもはりきる。
「やっぱりヨーコ! そうこなくっちゃ!」
ポケモン勝負で2時間くらい過ごすふたり。
「いやー、いい勝負だったねー!」
「ネモさんもさすがじゃ。あの手この手でしかけてきんさる」
「学校最強大会に向けてもっと頑張らないとだもん! 突然誘ったのに付き合ってくれてありがとねー!」
「うん、またね」
少し休憩して、お昼を食べに食堂へ。ネモが生徒に声かけているのを見る。
「それじゃあ、今からグラウンドで勝負しようよ!」
「ええと、きみってネモ……だよね? 生徒会長の……」
「うん、そうだよ!」
「いやー、ハハ……。勝負はまた今度な……」
相手はそそくさ出ていく。ネモ、ヨーコに気付く、
「あ、ヨーコ!」
「今ん人は?」
「ううん、知らない子! サンドウィッチ食べてたら、『オレのポケモン強いぞ!』って言ってる人いたからお誘いしてたの!
どんなポケモンで戦うんだろ! ……すっごく楽しみ!」
ネモ、ハッ、とし、
「あ、勝負の約束したのに連絡先聞き忘れちゃった! 今度会ったら絶対勝負しないと!」
「あはは……」
「ヨーコは……、今からご飯だよね? おジャマしちゃ悪いし、またねー!」
「うん、またね」
食べてレシピとか聞いてると、スケッチブックを切らす。買いに購買に行くと、
「モンスターボール、多めに買っとかないと……」
ネモがボールを選んでいた。
「ネモさん」
「ヨーコ!」
ネモ少し驚いて、
「聞いてー、さっき食堂で会った人! エントランスで再開したから勝負に誘ったのに断られたの!
『ネモはチャンピオンで天才だから、戦っても負けるしやりたくない』……って言われちゃった! ポケモン勝負って、負けても楽しいのにね!?」
「うーん……」
スグリをぼんやり思い出すヨーコ。
「やっぱり勝ちたい、と思うかもね。負けたまんまじゃおられんというか」
「あ、まぁ、そうかー……。もちろん負けるより勝ちたいけど、負けても楽しいって気持ちがさあ!
──うーん……。ポケモン勝負ってむずかしい」
ネモ考え込んでから、憤り、
「……っていうか天才ってさ! 頑張ってるのにそんな言葉でまとめられるの好きじゃないなー!
私、ボール投げるのとか下手だし……」
「ネモさん……」
スグリに言われた言葉(何でも持ってる)が頭の中で響く。
「──気分を落ち着けるためにポケモン勝負してくるよ。またね、ヨーコ」
「あ、うん」
自室で買ったばかりのスケッチブックを開いて絵を描き、自分も気持ちを落ち着かせる。机に忘れ物したのを思いだし1-Aの教室に。ネモがいた。
「あ、ヨーコだー!」
「ありゃ、ネモさん」
忘れ物を取り出しながらぱちくりなヨーコ。
「なんとなく教室にいたら会えるかなって思ってた! そしたら本当に会えちゃった!」
「え、そ、そんな照れるわあ」
「せっかくだし、私の部屋でちょっと話そうよー!」
ネモの部屋へ。
*
「んジャカパーン!! ネモルームへようこそー!」
「わあ、ととのっとる! それにネモさんっぽいなねえ」
「あれ? そういえばヨーコの部屋には言ったことあるけど……、逆パターンは初めてだったり……!?」
「あ、うん」
「──あのさ、ヨーコ。私さ……」
おもむろに語りだすネモ。
「ポケモン勝負が好きで、すっごくすっごく好きなのね?」
「うん、知っとるよ」
「うんうん。それでね……、好きなものって、やりこむじゃん。そしたらなんか……、チャンピオンになったんだよね」
「うん」
「実はそれってすごいことで、普通は……、みんなはそう簡単にいかないんだって。ネモは天才だからーとか、育ちが違うからー、とか、当時色々言われたの。
そしたら、なんかみんなとの壁? みたいなの感じちゃって、友達とのポケモン勝負もおたがいが楽しめるように手を抜くようになったんだ」
「壁……」
「……あ! もちろん今はしてないよ! 全力!
本気を出しても負けちゃうような相手が隣にいて、すっごく楽しいんだもん!」
ちょっと照れるヨーコ。
「だからヨーコ。きみだけは、私とずーっと対等でいてほしいな!」
「もちろん! うちら友達でライバルじゃろ?」
「えへへ……、ありがと、ヨーコ! なんか恥ずかしい話しちゃった!」
「いやいや、そんなことありゃせんよ」
「あ! 私とヨーコは対等だから、部屋も同じくらい来てもらわないと! ネモルーム、ヨーコならいつでも歓迎するよ! 今度の学校最強大会は負けないからー!」
「やってみんさい、返り討ちしたるわ!」
なんだかヨーコも明るい気持ちになれた。
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