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season7 3話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

3.『丁丁丁丁丁』


 列柱の前でキョロキョロしているスグリとブライア。

「何、ここ……」

 やってきたゼイユ、驚嘆。

「ずいぶん雰囲気違うわね」
「うん……。なんか神聖な場所な感じがする……」
「ピカチュ……」

 ヨーコとぴっかりさんも目を見張る。

「ゼロの秘宝……、どこだ!?」

 探すスグリ。
 と、ブライア列柱に何か見つける。

「スグリくん、あれだ! 奥の柱に何かある!」

 駆け寄るふたり。続くヨーコ達。
 六角形の水晶のような石がはまっている。意外と大きい。

「この石が、秘宝……?」

 スグリ、目をしばたたく。

「確認するので、待ちたまえ」

 バイオレットブックを開くブライア。
 しかしスグリ、つかつかと石に近づき

「ゼロの秘宝さえ、手に入れれば……」

 それに手をかける。

「今度こそ、ヨーコに勝てる!!」
「ピカァ……?」

 何言ってんのこいつ、なぴっかりさん。

「スグ、あんたまだそんなこと言ってんの!?」

 ゼイユも呆れ気味に言うが、

「ねーちゃんはだまってて!!」

 叫びながら石をひっぱるスグリ。しかしなかなか外れない。

「俺は……、ヨーコがうらやましい……!」

 試行錯誤しながらも、吐露するスグリ。固まるヨーコ。はぁ? な顔のぴっかりさん。

「──ポケモン強くて! どこへでも行けて! 誰とでもなかよくできて! 俺がずっと好きだったオーガポンにも認められて……!」
「スグも頑張ったじゃん!」
「ねーちゃんだって!!」

 遮るスグリ。

「最初イジワルしてたくせに、すぐヨーコのこと好きになったし!」
「それは……」

 うつむくゼイユ。

「俺には……、何も、ないよ。──血がにじむ努力しても、無駄だった!! かなわなかった!!
 俺には、もう、これしか……!!」

(※この間、スグリ目線の、ヨーコ目線の過去のあれこれが交差するような回想シーン)

 次の瞬間、ぴっかりさんが間合いに入りスグリの頭をしっぽで思いっきりはたく(簡易版いかづちおろし)!

「ピッガ! ピガピガ!!」

 言わせておけば好き放題言いやがって! という感じで怒るぴっかりさん。
 ヨーコを指差し、

「ピガヂュ! ピーガー!!」
「これ、スグがヨーコの何を知ってるのかって言いたいんじゃない?」
「え……」

 思わず戸惑うヨーコ。

「ピッガ!」

 そうよ! とうなずくぴっかりさん。

「知ってるも何も……!」

 スグリが反論しようした時、

「まぁまぁ、ひとまずふたりとも矛をおさめて!」

 ブライアが止める。顔をしかめつつも聞くスグリ。

「先生、どうだった?」
「本によると、やはりその結晶しか考えられない!」

 ブライア、スグリに、

「さあ、スグリくん……、ゼロの秘宝を引っこ抜くんだ!!」

 スグリうなずき、改めて石に手をかける。

「ピカ……」
 ありゃダメね、とぴっかりさんヨーコのところに戻る。
 必死に引っ張るスグリ。と、ようやく外れ、弾みに石を落としてしまうスグリ。
 スグリ、ブライアと共に慌てて駆け寄り、床に落ちた石を拾う。

「間違いない!」

 バイオレットブックのページをめくるブライア。

「その結晶こそ、テラパゴスだ!」

 と、石が光り出す。
 ひとりでに浮き上がり、まばゆい光を放つ。
 思わず目を覆うみんな。
 石は大きくなりだし、たかと思うと亀の姿に!
 着地し大きなあくびをする亀ポケモン、もといテラパゴス!



 目覚めたテラパゴス。ふと顔を上げ、ヨーコの姿を認め、歩み寄ろうとする。

「え、え?」

 思わず後退りしてしまうヨーコ。

「あぁっ……」

 スグリ、小さく叫び、

「こっちだ!」

 懐からマスターボールを投げる。テラパゴスに命中し、ややあってカチリと音がする。スグリがゲットした。
 スグリ、マスターボールを拾い上げる。

「今のがテラパゴスさん……?」
「捕まえ……、たんだよね?」

 近づきながら聞くヨーコとゼイユ。

「これで、やっと……」

 ボールを見つめるスグリ。

「素晴らしいよスグリくん! マスターボールを所持しているとは用意がいいね!!」

 ブライア絶賛。

「これでいつでもテラパゴスを研究できるが……、今ここでテラパゴスの力、見せてもらうことは可能だろうか?」
「そんなよくわかんないポケモン、……戦わせて大丈夫なの?」

 思わず聞くゼイユ。

「生息地で見てこそ意味がある! 別の場所よりも力を発揮しやすいだろうし、何よりヘザーが見たであろうものを、私も見たい!」
「ピカチュ……」

 アホだわこいつ、なぴっかりさん

「……だってさ、ヨーコ」

 スグリ、感情のない目でヨーコを見る。

「俺も、試したくてしかたないんだ」
「ピカ?」

 ああん? なぴっかりさん。

「……準備できたら始めようよ」

 ヨーコ、少し考えこくりとうなずき、メンバーを出して色々確認。
 スグリ、声をかけてくる。

「……準備は、いい?」
「うん」

 ヨーコとぴっかりさん、振り向く。
 位置につくふたり。

「位置さついて」

 こくりとうなずき、お互い離れる。

「ああ! はやく見たい! テラパゴス!! その力!!」

 ブライア大はしゃぎ。ゼイユ無言でため息。ふたりともヨーコの後ろにつく。

「覚悟は、いい?」
「……もちろん」

 身構えるヨーコとぴっかりさん。

「今度こそ……、ヨーコに勝つ!!」

 スグリ、テラパゴスを繰り出す!

「いけ、テラパゴス! ヨーコに力、見せてやれ!」

 テラパゴス、テラスチェンジ! 姿が変わる。

「おお! 姿が……」
「ナエトルがゼニガメになった感じ?」

 それぞれコメントするブライアとゼイユ。

「これがゼロの秘宝の真の姿!?」

 目を見開くスグリ。

「これなら……、勝てる……!!」
「──お手並み拝見。ぴっかりさん、かみなりパンチ!」

 と、テラパゴス、甲羅を輝かせる。かみなりパンチ、効果今一つ。

「あんまし効かん! なんで!?」
「タイプ相性を歪める力、か……」

 つぶやき叫ぶスグリ。

「テラパゴス、だいちのちから!」

 効果抜群、ぴっかりさん大ピンチ。
 ヨーコ、ぴっかりさんを戻しわっぷるさんを投入。
 テラパゴスのだいちのちからがおそいかかる!
 畳み掛けてしねんのずつき!

「テラスタルせんとやばいか……」

 ヨーコ、わっぷるさんをテラスタル! 即座にアクアステップ! しかし固い。
 と、ブライアつぶやく。

「テラパゴスの力はこんなものでは……、何か条件が足りていない……?」
「防御固くて普通に強そうですけど?」

 ゼイユ言う。
 と、テラパゴス、だいちのちからでわっぷるさん追い詰める。

「特性:げきりゅうの力、見せてやりんさい!」

 わっぷるさん最後のアクアステップ! 倒れるテラパゴス!

「な……、なんで??」

 スグリ呆然。

「テラパゴスさえ……、ゼロの秘宝さえあれば……、強くなれるんじゃ……ないの?」

 目を伏せ、

「ヨーコに勝てるんじゃないの!?!?」

 ヨーコ、ぴっかりさんを回復させながらスグリを見る。憐れみの目。
 ゼイユ近づきながら、

「スグ、いい加減もうやめ……」
「やはり、おかしい」

 遮りテラパゴスを見るブライア。

「テラスタルエネルギーの出力が低すぎる。バイオレットブックに描かれた姿と違うのも気にかかる……」
「テラパゴスは、ゼロの秘宝じゃないってこと?」

 思わず聞くスグリ。

「いや……、足りないのかも? ──秘宝たりえる条件が……」

 バイオレットブックを調べるブライア。やがてハッ、と気付き、

「そうか! テラパゴスはテラスタルエネルギーそのもの! スグリくん! 今すぐテラパゴスをテラスタルしてみたまえ!!」
「は?」
「え?」
「ピカ?」

 呆然なヨーコ、ゼイユ、ぴっかりさん。
 ぴっかりさんにいたっては、やっぱりアホだこいつ、の顔。

「テラスタルオーブのエネルギーに呼応して……、秘宝は秘宝たるかがやきを発するだろう!!」
「……わかった」

 スグリうなずき、テラパゴスをテラスタル。
いつもの結晶におおわれた──かと思うとまばゆい光を放ち、風が吹き荒れる!
 みんな顔を覆う中、ひとり嬉しそうなブライア。

「やはり! バイオレットブックは正しかった!!」

 大仰な仕草でテラパゴスを見る。

「テラパゴスが完全に目覚めた姿! これこそが! ゼロの秘宝!!」

 テラパゴス、バイオレットブックに描かれた姿に! 美しくも恐ろしいまでのかがやきを放っている。
 と、エネルギーの一部が、スグリめがけて飛んでくる! ヨーコ、即ボールを投げる!
 思わず目を閉じるスグリ。しかし何も起こらない。
 目を開くと、バトルモードのミライドン。雄々しいテツノオロチの姿。
 ミライドン、スグリごしに、ヨーコにうなずく。ヨーコもぴっかりさんとうなずき返す。
 と、床に亀裂が!

「ヤバいよ、スグ!」

 ゼイユ叫ぶ。

「ボールに戻したほうがいいって!」
「う、うん……!」

 スグリ、マスターボールを取り出す。

「戻れ! テラパゴス!」

 しかし謎のバリアにはじかれ戻らない。それどころかはじかれ、マスターボールが無惨に砕ける……。

「……えっ?」

 スグリ、呆然とヨーコ達に振り向く。

「戻らない……、どうし……」

 テラパゴス、改めて光を放つ! そして落ち着いたところで、ヨーコとゼイユ、テラパゴスに対峙。

「エネルギーが暴走している!? ──このままでは危険だ!」

 さすがのブライアも愕然。

「すまないみんな! テラパゴスを……、止めてくれ!!」
「ったく、生きて帰れたら、始末書書きなさいよね!」

 とヤバソチャ出すゼイユ。

「縁起でもないこと言わんといて、ゼイユさん!」

 ミライドンを戻したヨーコも、ぴっかりさんを出す!

「ピカピカ!」
「ねえ! スグもはやく!」

 スグリに振り向くゼイユ。

「テラパゴスなんとかしないと……!!」

 しかしスグリは慄然とつぶやくばかり。

「こ、こんなはずじゃ……。違う……、俺のせいで……、こんなことに……!?」

 と、テラパゴスの周りにエネルギーが集まりはじめ、テラスタルシールドを生成!

「結晶でのレイドバトルとおんなじ……!」
「ピカチュウ……!」

 藍の円盤戦、開始。

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