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season1 10話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

10.『冒険のひと休みはアカデミーで』
 箸休め回の授業&先生交流。
 冒頭、書類を提出しに校長室へ行くヨーコ。
 そこでクラベルから生徒達の間で流行っている言葉についての話をする。



 それから、エリアゼロに関する歴史の授業を受ける。今日の最後の授業。

「本日はパルデアで最高に未知なる場所、謎の大穴について学ぶ」

 電子黒板に触れるレホール先生。パルデアの大穴の情報が映し出される。

「誰もが知ってるように、パルデア中央には巨大な空洞、『パルデアの大穴』が存在している。穴の中は『エリアゼロ』と呼ばれており、その地層や成分によると、100万年以上も前から存在すると考えられている。そんな謎めく大穴には、昔からあるものが眠ると信じられていた」

 挙手し、答えるヨーコ。

「財宝、とか?」
「フッ、正解だ! なかなかどうして小賢しい」
(ほめられとるんよね?)
「そう! ヨーコが答えたように、大穴の最奥にはこの世のすべての物より価値がある財宝が眠ると信じられていたのだ! 今では研究所が建っておりロマンもへったくれもないがね……」
(研究所、博士の……)

 フトゥーを思い出すヨーコ。

「……ああ、一応行っておくが、パルデアの大穴及びエリアゼロは関係者以外立ち入り禁止だ。
 宝探しだウッヒョー! などというたわけた態度で足を踏み入れないように。可能ならワタシが一目散に調べに行きたいのだから……!!」
「……」(汗)

 ここでチャイムが鳴る。

「おや、時計が進んだか。本日の授業はここまで。次回も歴史の謎を紐解こう」
「ありがとうございましたー」

 それから、職員室へとタイム先生に質問しに行くヨーコ。

「タイム先生!」
「あらヨーコさんごきげんよう。もしかして授業の質問かしら」
「はい」
「それなら先生と一緒に学びましょう! じゃあ、いわが苦手なひこうタイプにいわ技を当てたら、ダメージは何倍かしら?」

 ヨーコ、少し考え、

「2倍、です!」
「そう、正解!」

 と、ここで別のクラスの男の子が来て、

「タイムせんせー、タイムせんせー!」
「あら元気な声だこと。順番にお話しましょうね。タイム先生はひとりだもの」

 にこやかにたしなめるタイム先生。

「タイムせんせーってさ、ジムリーダーだったの、ほんとー!?」
「本当よー。先生ね、すっごく強いんだから!」
「すごーい! なんでやめちゃったのー?」
「それはねえ、順番を守れるいい子にだけ教えちゃおうかな?」
「ぼくまもれるよー! まってるねー」

 走っていく男の子。

「ヨーコさん、さえぎっちゃってごめんなさい。またいつでも質問にいらして」
「はい」

 タイム先生が答えなかったことに、ちょっと驚いているヨーコ。でも何も聞かない。
 ひとまず今日受けるべき授業は終わったので、グラウンドにトレーニングのため向かうヨーコ。そこでキハダ先生に会う。

「押忍! 転入生! グラウンドにトレーニングに来たのか?」
「はい。授業終わったので!」
「どうりでその瞳に闘志を感じたわけだ! よし、親交を深めるため、共にグラウンドを走ろうじゃないか!」

 ぴっかりさん達と一緒に3周走って、

「ふう、いい汗かいたな! 転入生はなかなかいい足コシをしているな」
「コサジとクレペ、歩きでいったりきたりしとりましたから」
「なるほど! わたしも授業がない日にトレーニングに行ってみよう! ちなみに、運動で30分以内に栄養を補給すると筋肉がつきやすいぞ!」
「ほうなんですか?」
「ああ! というわけで付き合ってくれた礼もかねて、わたしの手作りサンドウィッチ! 食べて体を作ってくれ!」
 差し出されるサンドウィッチ。受けとるヨーコ。

「いただきます。……う」

 パサパサしてて匂いキツくて全く味がしない。それでももったいない精神が働き頑張って食べて飲み込むヨーコ。ぴっかりさん達から心配される。

「どうだ、おいしかったかな?」
「ええ、まあ、おいしかった、です……」

 すでに顔が真っ青なヨーコ。

「すまない、気を遣わせてしまったな……。体を動かすのは得意だが、料理はてんでダメなんだ」
「ありゃあ」
「転入生の正直な反応で自分と向き合えたよ……。それでは筋肉痛を楽しみにな……」

 とぼとぼ去っていくキハダ。そこでネモとクラスの子に誘われ、夜食の試食がてら(おいしさに天国! と喜ぶヨーコ。それはそれとして味の感想を言う。ネモの大さじ小さじ発言飛び出す)家庭科室でメニュー教わったり、ネモとぴっかりさんの話をしていたらサワロ先生がやって来た。

「おや、君は……」
「あ、サワロ先生!」
「今、ヨーコに料理の試食してもらってたんです」

 振り向くネモとクラスの子。

「ようこそワガハイの城、家庭科室へ」

 丁寧に挨拶し、ヨーコを見るサワロ先生。

「1-A、北條陽子さん。君の活躍は色んなところから漏れ聞こえてくる」
「へ、活躍?」

 ヨーコ、お目々ぱちくり。

「やれ勝負強いだの、やれすごいポケモンを連れているだの、各種方面から伝わってくるのだ」
「……ほうなん?」

 振り向くヨーコ。うんうん、とうなずくふたり。

「噂の当人は迷惑かもしれぬが、みな君に興味があるのだよ。ここ家庭科室は生徒の憩いの場でね、各人おやつを食べながら噂話に花を咲かせているのだ。
 ヨーコさんは最近もっぱら話題の中心なので、ワガハイも興味深くてな。気分を害していなければいつでも来訪したまえ」
「ありがとうございます」
「よかったねヨーコ」
「よっ、有名人!」

 にっこりなふたり。そこでキハダ先生が入ってきて、

「失礼いたします!」
「キハダ先生!」

 ヨーコびっくり。

「おお転入生! また会うとは奇遇だな!」
「先生こそ」

 ヨーコが言うと、キハダ先生少し気まずそうに、

「ああ、ちょっとな」

 サワロ先生が聞く。

「またサンドウィッチの特訓かね?」

飛び上がるキハダ先生。

「サワロ先生! もしかしてバレていた……?」
「これは失礼、内緒にしていたのかね?」

 詫びるサワロ先生に、キハダ先生照れ臭そうに、

「というわけではないのですが、特訓してると表立って言うのも格好つかないものですよ」
「心得た。以後気をつけよう」
「では道具をお借りいたします」

 キハダ先生、道具を借りて材料並べ、たかと思いきや、なにやら大暴れを始めカオスな状態に。

「えと、あれ、特訓、かね……」

 呆然なヨーコに、思わずネモ達も、

「ヨーコも思うー?」
「最近キハダ先生、ここでよくサンドウィッチ作ってて味見求められるんだけど、どうしても料理してるように見えないしで、ねえ」
「ああ、うん……」

 察するヨーコ。そして、

「出来た! ヨーコ、食べてみてくれ! なまハムやきベーコンチョリソーもりもりの特訓サンドウィッチだ!」
「肉ばっか!」
「でも勝負前によさそう!」

 ツッコむクラスの子、目を輝かせるネモ。
 ヨーコ恐る恐る食べてみる。今度はジュルジュルして食べにくく、そして相変わらず味がしない。それでも完食するヨーコ。ひと欠片味見したサワロ先生もアレな顔に。

「どうだった?」
「えと、食べ物のバランスがあんまし……」
「え、食材に問題が!? 筋肉のための食材が、逆に料理の味を粉砕していたのだな……」

 サワロ先生、咳払いし、

「まずはバター、バターを使ってみたまえ……。食材の水分がパンをビチャビチャにするのを防ぎ、風味もよくなるであろう」
「さすがサワロ先生。メモメモ」

 すかさずメモを取るクラスの子。

「バター! なるほど! ご教示感謝します! でもどうして料理中に教えてくれなかったんです?」
「いや、ワガハイには、キハダ先生がただキッチンで暴れているように見えて、料理にはまだ着手していないのかと……」

 うんうん、とうなずく他のメンバー。チーン、とした沈黙。

「……とにかく! キミとサワロ先生のおかげで何かつかみかけている! 助言、感謝するぞ!」

 去っていくキハダ先生。とたんにぎゅるぎゅる鳴り出し、ヨーコおトイレへ。



トイレから出るとネモたちが駆け寄ってきた。

「ヨーコ大丈夫?」
ネモ聞いてくる。ヨーコうなずき、
「うん大丈夫。けどさすがに2個はきつかった」
「あれ2個も食べたんだ……」

 呆然とするクラスの子。

「ヨーコは優しいね。念のため保健室で薬飲んで寝よ? 案内するよ」
「うん。先生に話したら休ませてくれるし」

 ヨーコ、ネモたちと一緒に医務室へ。

「ようこそー、ミモザの医務室へー」

 女性の先生が出迎えてくれた。

「ミモリン! クラスメイトがキハダ先生の料理の特訓に付き合ったせいでお腹壊しかけたの!」
「お薬お願いします!」
「もー、ミモリン呼び禁止って言ってんでしょ!」

 クラスの子にツッコみ、ヨーコを見る先生。
 まばたきして、

「って、あれ? 初めて見る顔だね?」
「あ、ついこの間ここに来まして」
「へえー、転入してきたばっかりなんだー。名前は?」
「北條陽子です」
「あー、ヨーコね! 噂になってる子じゃーん。見学の時にスター団とガチンコしたとか、入学早々崖から落ちたとか? けっこー話題の人だよ」
「え、そがあに?」

 振り向くヨーコ。うんうん、と再びうなずくネモとクラスの子。

「で? お腹壊しかけたって?」
「はい、うちだけ。相棒達は食べとらんけえ大丈夫なんですけど」
「学校のお薬は市販のヤツだけど、取りあえずこれ飲んでゆっくり寝ときなよ。ここトイレも近いし。あと水分を欠かさずとること」
「おいしいみず買ってくるね!」
「うん、ありがとう」

 一旦、医務室を出るふたり。

「あ、そうだ。宝探しってやつ、始まったんでしょー? 外で面白いことあったらさ、今度でいいから医務室まで教えにきてよ」
「ええんですか?」
「だってあたしヒマなんだー。授業も持ってないし、ここサボりに来る生徒ばっかだし……」
 口調の割にはどこか優しげなミモザ先生。

(その割には、ここすっごくあったかい感じする)

 ヨーコも思って、

「はい! 使わせてもらった恩返しせんと」
「んじゃよろー、約束だよ。さ、休みな」

 ここでネモ達が戻ってきた。

「ヨーコ、お水ー」

 水を飲み、ベッドでゆっくりするヨーコ。



 夕方になった。
 元気になったので、ミモザに礼を言ってリハビリがてら町を歩こうとエントランスへ行くヨーコ。するとタイムが何やら考え込んでいる。
「タイム先生」
「あら、ヨーコさん」

 少し黙りこむタイム先生。

「先生?」
「……もし、変なこと言ってたらごめんなさいね。ひょっとして、さっきから私を見てました?」
「いえ? 今来たところです」
「そ、そうよね……。ごめんなさい……。先生ね、最近たまに視線を感じるというか、誰かに見られてるような気がするときがあって……」
「ゴーストタイプのポケモンですかね?」
「いいえ、人に見られてる感じね。妹がゴーストに詳しいから一応相談したけど、多分霊じゃないよって言われたし」
「妹さん?」
「フリッジタウンでジムリーダーしてるの。ヨーコさんジムを回ってるのよね? いずれ戦うと思うわ」

 マップを見るヨーコ。確かに書かれてある。

「ほんまじゃ、ゴーストタイプのジムリーダーさん」
「質問のタイミングをうかがってる生徒がこっそり見つめてるのかしら」
「うーん、ゴーストじゃなかったら、そうかもですねえ」

 タイム先生クスクスと、

「うふふ、ドキドキ熱視線ね。もしそういう人が周りにいたら教えてもらえると嬉しいわ。先生の方から質問聞きにいっちゃう!」


 外へ出るとすっかり夜。美しい星にため息が出るヨーコ。安心しているとお腹がすいてきて、食堂で軽く食べようとするとサワロ先生にまた会った。

「あ、サワロ先生」
「ヨーコさん、お腹は大丈夫か?」
「はい。医務室でお休みしましたけえ」
「それは何よりだ。きみも食事かね?」
「ええ、何か軽く食べとこうかと」
「フッ、たくさん食べて体を育むがいい。ワガハイは学生食堂の視察……というところかな」
「視察?」
「生徒が普段口にしている栄養素をチェックしているのだ。食堂のラインナップで気になるのは、甘くておいしいピーナッツバターサンドだな」
「う、今のうちには食べれんやつ……」
「はは、それではひとつ注文しよう……」

 と、通りかかった生徒が、

「あ、サワロ先生だ。ダンディーでかっこいー」
「先生も食堂来るんだね。たまごサンド食べるのかな?」
「えー? 食べるなら絶対辛~いおとなのサンドだって!」
「ああー、クールな感じー! きっとおとなのサンドだわよー!」

 サワロ先生、食堂のおばちゃんに低い声で、

「……おとなのサンドをひとついただけないか?」 

すかさずヨーコ、アシスト!

「先生、ピーナッツ! ピーナッツバターサンドおすすめです! うちの代わりにおいしく食べてつかあさい!!」
「あ、ああそうかね? やはりそちらを買わせていただこう」

 ヨーコはミルクスープを頼む。
 注文待ちの間話す。

「思わず苦手な辛いものを注文するところだった……。ヨーコさん、きみの制止に感謝する」
「いえ。先生もうちのお父さんと同じなんですねえ。かっこええけど甘いもの好きで……」
「そうか。どうにもワガハイはダンディーやらたくましいやら、ニヒルやらシブいやら言われてがちでな。生徒達の夢をくずさぬよう振る舞ってしまう気があるのだ。意図せずきみには本性を見せてしまったな……。内緒にしてくれたまえよ」
「もちろんです!」

 サワロ先生の注文ブザーが鳴る。

「それでは、ヨーコさんの代わりにいただくとしよう。ワガハイのことは気にせず、体調に気を付けて食事を摂るのだぞ」
「はい!」

 そこでネモが入ってきて心配される。
「もうお腹大丈夫?」
「うん。お陰様で」
(色々あったけど、すっごく楽しい1日じゃった)
 ネモと夕食をとりながら、ジムチャレンジの話をするのだった。


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