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season12 13話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

13.『光り輝く欠片を見つめて』


※1時間スペシャル。

 オモダカが警察から出ると、ヨーコ達が待っていた。観光して待っていたという(ボタンはブイブイグッズを手に入れてご機嫌)。
 そろそろ夕食という時間。ペパーが言っていた食堂に入る前に行きたい場所があると話すヨーコ。
 まずはみんなで花屋へ。看板ポケモンのキレイハナやフシギダネと戯れたりしつつ花を買うヨーコ(ぴっかりさんも一緒)。
 花屋のすぐ近くには住宅地。ヨーコが黙って見つめる先には、家路につく家族が。



 やってきたのは慰霊公園。クスノキ襲撃事件の犠牲者を弔うために造られた場所。
 祭壇に花を手向け手を合わせるヨーコ。みんなも倣う。
 その後、犠牲者の名前が彫られた碑へ。ヨーコの両親の名前と、それからすずの両親とすず兄の名前も見つける(ヨーコの母方の祖父母と伯父にあたるのか)。
 ここでポツポツ話し出すオモダカ。

「両親から、高貴なる者の生き方を教えてもらいました。えばらいこと、強き者は弱き者に心を砕き守ること」

 事件のこともあり、家族のことは今までチリにしか話せなかったというオモダカ。チリの言葉を思い出すヨーコ(『こんなことでえばりたくなかったんやろな』)。それと同時に、ここにバカンスに来た時の思い出も語る。多羅葉の木と速筆文字で父とやりとりしたり、秘密の通路を教えてもらったこと、母と子供部屋でお昼寝をしたこと。
 しかしとてつもない寂しさが襲ってきて、膝をついて泣くオモダカ。
 落ち着いた時、笑顔の容れ物の話をするペパー。

「刈谷の母ちゃんの受け売りっすけどね。あと、泣いてばっかじゃ塩分足りなくなるって言われたなあ」

 涙ぐんでたオモダカ。思わずクスリと笑う。



 ペパーが見つけた食堂へ行くヨーコ達。すると、

「ありゃ、ヨーコちゃん!?」

 名前を呼ばれて振り向くヨーコ。千鶴子が祖母のイトと両親と来ていた。セキエイ学園から帰省したのでみんなで食べに来たという。ぴっかりさんがピカチュウに進化していたことにもびっくりしつつ祝ってくれ、再会を喜んですれる森田一家とヨーコ。
 お店の人の計らいで大きなテーブルに移るヨーコ達。クスノキシティで採れた野菜や海の幸を使った料理を注文する。

「セキエイ学園……、トレーナー育成に重きを置く、カントーの名門校ですね。リーグで活躍する優秀なトレーナーを幾人も輩出してきたことでも知られています」

 オモダカが言うと、千鶴子の母、マリナが首をかしげて、

「ほうじゃ、そちらの皆さんは?」
「あ、紹介するね! グレープアカデミーの制服着とりんさるんはみんなうちの親友で、ライバルのネモさん、料理上手のペパーさん、凄腕ホワイトハッカーのボタンさん。ほいでこん人は……」

 ヨーコ、オモダカを差し、

「パルデアリーグ委員長兼トップチャンピオン兼グレープアカデミー理事長のオモダカさんじゃ!」
「はー、みなさん個性派ぞろいなねえ」

 たまげる千鶴子。ヨーコも千鶴子達をネモ達に紹介する。
 と、千鶴子のフードから(私服で来てた)、フクロウのポケモンが顔を出した。

「わ! モクローさんじゃ!」
「うちの相棒のもくろう。セキエイ学園に入った時にもろうたんじゃ」

 そうこうしている内に料理が来た。海の幸の味噌鍋に野菜の天ぷら、本場のクスノキ巻き。ポケモン達にはポケフーズ。
 千鶴子、ここで他の2体を出す。ロコンのコンちゃんと、ピッピのピーコ。

「コンちゃんは生物学でフィールドワークしとった時に出会うて、ピーコはこのまえ仲間になったばかりなんよ」
「じゃあ、ピーコさんはまだ勝負しとらんかね」
「うん」

 ヨーコとの会話に入るネモ!

「え、じゃあ食べる前に戦らない!?」
「やめろ。手とか汚れるだろ」
「ここでも安定のネモり……」

 止めるペパー。頭を抱えるボタン。ヨーコもオモダカもやれやれ顔。しかし色々話しながら料理を楽しむみんな(科目とか90分授業とかスマホロトムをタブレットに変えて受けてるとか、冒険やジム巡りのためリモートで受けている生徒もいるとか。寮がふたり部屋とかパジャマはジャージだとかバトルコートあるとか)。大人組は街についてあれこれ。
 千鶴子、ヨーコに、

「あ、ほうじゃ。うち、進級前のお休み利用して、テラスタル研修受けるんよ」
「え、ホント? 家に泊まりに来る?」

 目を丸くするヨーコ。千鶴子は首を横に振り、

「ううん。アカデミーがホテルとか手配しとるけ大丈夫」
「残念!」

 しょんもりヨーコ。

「よーし、じゃその時に戦ろうね!」
「だから自重しろし」
「すまん千鶴子、コイツドン引きするほどポケモン勝負大好きちゃんなんだ」
「あ、うん、だ、大丈夫……」

 千鶴子苦笑い。



 すっかり食べ終わり外に出るとすっかり夜。
 パルデアでの再会を約束して別れるヨーコと千鶴子。ぴっかりさんともくろうもすっかり意気投合。
 翌日、詫びの品を選ぶついでにゆっくり観光。
 修復作業が始まったサンカク屋敷を寂しそうに、しかし吹っ切れた様子で見つめるオモダカ。
 夕方17時、ユニオンサークルのワープで帰ることに。
 哲に厚くお礼を言うヨーコ達。サンカク屋敷は中庭周りの建物しか壊れていなかったらしく、クスノキシティの文化財として市民に開放するまでの修復作業は時間がかからないとのこと。ミミッキュもミたろうと名付けられ、修復管理・保存スタッフとして市役所で働くことになった。
 哲とミズまる、ミたろうに別れを告げ、ワープするヨーコ達。



 パルデアは朝の10時だった。チリとポピーが出迎えてくれた。
 泣いてオモダカに抱きつくポピー。優しく撫でてやるオモダカ。よかった、と心の底から思うヨーコ。ポピーはヨーコにお礼を言う。
 パルデアカルテットに休むように言い、これから謝罪行脚に行くというオモダカ。同行を申し出るヨーコとぴっかりさん。ネモも進み出るが、オモダカから丁重に断られしぶしぶ引き下がる。



 上着を羽織り、お馴染みの姿で謝罪行脚するオモダカ。ヨーコとぴっかりさんも荷物持ちで同行する。
 詫びの品は千鶴子の家で製造している高級海苔。四天王、リーグスタッフ、警察のお偉いさん、アカデミーの先生方、ジムリーダーに渡し……。
※ヨーコが海苔を使った料理レシピをシェアしたのでむしろみんな大喜び。ジムリーダーにいたってはヨーコがいたので態度が軟化した。
 そらとぶタクシーの中でホッとするヨーコとぴっかりさん。

「よかった。トップが怒られたりせんで」
「話上手なチリがしっかり根回ししてくれていましたからね」
「さすがチリさん!」
「ピカピカ!」
「チャンピオン・ヨーコのお力も大きいですよ。皆さん料理を教えてもらって楽しそうでした」
「いやいや、せっかくのクスノキ名産じゃし、味わってもらわんと……」

 ふとここでヨーコ、

「けど、お詫びの品2つあまりましたね。みんな回ったんに」
「いえ、良いのです」

 微笑むオモダカ。首をかしげると、ぴっかりさんが窓を見て、

「ピカピカチュ?」

 ヨーコも窓を覗く。クレペシティ上空にいた。

「ありゃトップ、クレペに寄るんですか?」

 オモダカ、含み笑い。

「ええ。ずっと行けなかったところに」

 揃って首をかしげるヨーコとぴっかりさん。



 街で花と線香を買い、水も汲んで向かったのはクスノキ寺の奥の院。ヨーコでも滅多に行かないこのお堂の横に、立派なお墓があった。

「父と母の墓です」

 驚くヨーコとぴっかりさん。

「ようやく、来ることができました。……手入れをしてくれていた和尚さま達に、お礼を申し上げなくては」

 そう話しながら、静かに墓に水をかけるオモダカ。
 花を手向け海苔の箱を捧げ、線香をつけようとして、オモダカ、ポツリと、

「……ほのおタイプの技が使えるポケモン、連れてくれば良かったですね」

 ずっこけるヨーコとぴっかりさん。ヨーコ、ツノじろうを出す。線香に向かって、静かにひのこを出すツノじろう。

「ありがとうございます、ウインディ」

 ツノじろう、頭を下げる。

「ありがとうツノじろう」

 ボールへ戻すヨーコ。
 線香も捧げてみんなで手を合わせる。
 この時も両親について話すオモダカ(自分の名前をつけたのは父親の方。もちろんサンカク屋敷の紋になっている植物から)。
 海苔を預けて(1つは和尚に渡す)帰る時、ヨーコはすずからしてもらった欠片の話をする。
 誰も彼もが、キラキラ輝く欠片で、誰かにとっての、懐かしい切れ端。宝物のかけら。
 リーグに到着し、

「今度、チリさんやポピーさんと家に来てつかあさい」
「ピカチュ!」
「ええ、是非」

 ここで仕事終わりの周作が来る。家に泊まって話をしてくれと頼まれるヨーコ。その様子を懐かしげに見ているオモダカ(家でアカデミーの話をした時のことを思い出して)。
 オモダカを気遣い、見上げるヨーコ。うなずくオモダカ。
 北條親子と別れ、執務室に戻るオモダカ。部屋にはチリがいた。

「すっきりした顔しとりますな」
「チャンピオン・ヨーコ達に救われましたから」
「ええなあ、チリちゃんもヨーコ達のセラピー受けたいわー」
「再びお誘いしてくれましたよ。今度は貴方やポピーと一緒にと」
「え、ほんま!? チリちゃんの単独訪問じゃないんはちいと切ないけど」
「まあそう言わず」

 軽口を叩き合う。改めてお礼を言うオモダカ。

「ありがとう、チリ」
「今さらやろ」

 顔をしかめつつも素直に受けとるチリ。ポピーが入ってきて、一気に賑やかになる。



 1週間後の北條家。みんな来客の準備をしている。
 チャイムが鳴り、出迎えるヨーコとぴっかりさん。お客はオモダカとチリ、ポピーだった。
笑顔で迎え入れるふたり。
 空は快晴、波は穏やかな、そんな日のことだった。

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