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season1 19話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

19.『シェダルの別火』


 放課後、今度はスター団ほのお組「チーム・シェダル」の元へ向かうヨーコ。
 例によってぴっかりさん&わっぷるさんと歩いていくと、ネルケがたたずんでいた。

「……ヨーコか」

 ヨーコに気付き振り向くネルケ。

「ク……、ネルケさん」
「そうだ。今のオレはネルケ。よくわかってるじゃないか」
「はあ」

 ヨーコ(汗)。ぴっかりさん&わっぷるさんは相変わらず胡散臭そうなものを見る目付き。

「ヨーコ、まずは感謝するぜ。おかげでスターダスト大作戦に加わることができたからな」
「ネルケさんは、なんのために?」
「スター団の問題とその謎……、それを突き止めるためだ」
「どういうことです?」
「いじめで多くの生徒を退学に追い込んだ……、アジトにこもってアカデミーに襲撃する計画を立てている……、いくつかヤバい噂はあるが、あくまで噂レベル。今直面している一番の問題は……」

 ここで一息つくネルケ。

「団員達のあまりにも長い無断欠席……、不登校の状況なんだ」
「え」

 虚をつかれるヨーコ。

「こと5名の生徒……、スター団でボスと呼ばれる生徒は、1年以上学校に来ていない。加えて最近は、お前のクワッス、──今はウェルカモか、がやられたみたいに、したっぱ達がやんちゃを始めてるようで──」

 一旦言葉を切るネルケ。

「──だから、私はスター団に解散を要望しました。そして要望を無視するならば、退学してもらう他ない、と……」

 校長の言葉遣いに戻っていることも気にも留めず、黙って聞くヨーコ達。顔を上げて話すネルケ。

「しかし、スター団から返事はなし。解散か退学かどちらかを選択する期限も迫っている……。そんな折に聞こえたのが、あなたとカシオペアの電話です」

 噂をすると電話が。
『……こちらカシオペア。ヨーコ、聞こえるか?』
「!」「っ!」

 目を見開くヨーコとネルケ。ネルケはひそひそ声に。

(続きはまたの機会に……。それではお気をつけて)

 黙ってうなずくヨーコ。去っていくネルケ。

『アジトが近いようだが、誰か……いたのか?』
「いえ、うちと相棒達だけです」
『……ボスを1人倒したことで、スター団は警戒を強めている。アジト攻略も以前より厳しいものになるだろう』

 バレてないようで内心ほっとするヨーコ達。

『くれぐれも注意してくれ。また連絡する』

 切れる電話。アジトに近付くヨーコ。見張りがひとり。
 ヨーコの姿を認め睨み付けてくる。

「……おい、なんだよ。ここスター団のアジトだぞ」

 わざと黙るヨーコ。苛立つ見張り。

「さっさと帰ってくれない? でないと正当防衛だぜ?」
「帰りませんよ。帰るわけなかろうが」

 強気な口調に少し怖じ気づくが、イキる見張り。

「よーし、じゃ正当防衛でボッコボコにしてやる!」

 デルビルを出してくる見張り。

「ぴっかりさん、前みたあに露払いじゃ!」

 さっそく攻撃を仕掛けられるが、かわして姿を消すぴっかりさん。

「ど、どこ行った?」
「あなをほる!」

 地面から出てきたぴっかりさんにワンパンされるデルビル。

「オレの正当防衛が……!」 

 へなへなになるしたっぱ。

「あんためちゃ強いじゃん……」
「当たり前じゃ。ジムバッジ3つの実力なめんな!」
「っていうか、もしかしてスター団にケンカ売ってる人?」
「はい、北條陽子です」
「ご丁寧にありがとう! 激マズなんでオレは仲間のとこに帰ります! では! お疲れ様でスター!!」

 アジトに帰る見張り。入れ替わりにやってくるネルケ。

「おーい! ヨーコ!」
「あ、ネルケさん」
「ほのお組アジトの調査をカシオペアに頼まれたんだ。終わったから手伝いに来たんだが、もう必要ないみたいだな」
「ええ。ぴっかりさんがやってくれました」
「ピッカ!」

 すると、

「ボウ! ホウボウ!」
「「ん?」」「ピカ?」「ウェルプ」

 一匹のカルボウが。

「カルボウさん?」
「こいつは、ボウジロウか?」
「ボウ!!」
「やっぱりそうだ! なぜここに……?」

 眼鏡を上げるネルケ。

「お知り合いですか?」
「ピカチュ?」

 聞くヨーコとぴっかりさん。

「ええ。アカデミーの敷地内でお世話をしているポケモンなのですが……」
「ああ、昔のわっぷるさんみたあな」
「ウェルプ」

 うなずくわっぷるさん。

「ボウー!!」

 アジトに行ってしまうボウジロウ。

「あ! ボウジロウ! ……行ってしまった」
「どうしたんですかね。まさかあん子もわっぷるさんみたあに……」
「ええ。スター団ほのお組と何か関係が何か関係があるのかもしれません……」

 ネルケ、ヨーコに、

「私はあの子を追ってから行きます! ヨーコさんは先にアジトへ」
「はい!」

 ネルケ、ボウジロウを追いかけていく。

 そこでカシオペアから電話が。

『……したっぱに対処できたか』
「はい」
『そこにたむろしているのは、スター団ほのお組、チーム・シェダルだ。ボスのメロコはスター団きってのなんでも屋。どんな問題も強引に解決する。
 おそらくメロコは、我々の宣戦布告で荒れているはず。今頃したっぱ達がアジトで彼女をなだめているだろう。ならばしたっぱたちをどんどん倒せばいい。なだめる相手がいなくなれば、彼女は姿を見せるだろう』
「は、はぁ」(ぶち怒った時の径子お母さんみたあじゃ)
※ここで径子のくしゃみのカットが入る。
『準備が出来たら前のようにゴングを鳴らして大作戦開始! チーム・シェダルにカチこんでくれ』
「わかりました」

 電話が切れる。
 まんじゅうも出し、確認するヨーコ。

「みんな、準備ええかね?」

 うなずくメンバー。いざカチコミ。鳴り響くスピーカー。
『まぐれでほかのチームに勝ったやつがアジトにカチこんできました! スター団の力の見せ所です! 侵入者を叩き出してあげましょう! 10分以内にオレたちのポケモン30匹倒せるまで、ボスの手はわずらわせないぜ!!』

 前の如く無双しまくるヨーコ達。

「叩き出せるもんなら出してみいや!」
「守りきれませんでした……。そろそろボスの出番です!」
 例によってスターモービルで登場、ボスのメロコ。
「……テメーか、オレらにケンカ売ってんのは」

 ガンを飛ばしてくるメロコ。

「ええ、北條陽子です」
「細けぇことはどうでもいい。ケンカ売られたら買う……、それだけの話だ。……爆ぜろや」

 メロコ、コータスを出す。
 わっぷるさんをスターモービルにとっておくべく、ぴっかりさんが先鋒。

「テメーはオレが……、はっ倒す」
「……やってみんさい」
「ピカチュ!」

 あなをほるで大ダメージを負わすも、ひでりを使われ上がった火力に破れてしまうぴっかりさん。

「今のは……、やられたしたっぱ連中の分だ」
(……強い!)

 続いてまんじゅう。

「燃えろ……! んで! 灰になっちまえ!!」

 コータスからかえんぐるまをくらうついでにどくびしをまくまんじゅう。マッドショットでコータスを倒す。

「……チッ! オレはまだ燃えッカスになってねぇんだよ!!」

 スターモービルを出すメロコ。どく状態にすることに成功するが、素早さの前に破れてしまうまんじゅう。

「真打ち登場じゃ! わっぷるさんあんたの力見せたれ!」

 切り札わっぷるさん。ひでりにもめげずテラスタル!
 パワーアップしたみずのはどう&アクアカッターで粘り強く追い詰め倒す!

「ったく。これで終わりかよ。やれやれ……」

 メロコの回想入る。

「燃えて、燃えて……、燃え尽きちまったか。……ここまでだな」

 笑いながらヨーコの元に来て、

「テメーのポケモン、マジで気合い入ってたぜ」
「ホント!? ありがとう!」

 思わず笑顔になるヨーコ。

「ああ、そしてこのオレに勝ったんだ。胸張ってダンバッジ持ってけ」

 バッジをもらい握手するも強く握られる。

「痛い痛いメロコさん痛い」
「へっ……」

 すぐに手を離してくれる。

「もうどうにでもなれだ。わざマシンもくれてやるよ」

ニトロチャージのわざマをもらう。

「あ、ありがとうございます」
「勘違いすんなよ。テメーにやるんじゃねえ。テメーの仲間のポケモンにやるんだからな……」
「あ、はい……」

 苦笑いになるヨーコ。

「……用は済んだろ。ひとりにさせろよ」

 なんとなく動けないヨーコ。ネルケが来る。

「スター団のメロコ。会って欲しいポケモンがいる」
「……なんだ、テメー」

 するとボウジロウがネルケの後ろから出てくる。

「ボウ!」
「カルボウ? いや、お前は……」
「ボウボウ!」
「ボウジロウか……。お前、どうして……」

 目を見開くメロコ。

「この子はあんたを探してアジトに来たみたいだぜ」
「ボウ!」

 うなずくボウジロウ。

「お前……」
「懐かれてるみたいだな」
「──アカデミー行ってたころは、コイツと毎日遊んでたからな。火のゆらめき見てりゃ、考えてることくらいわかるぜ」
「すごい」

 感嘆するヨーコ。同時にホッとする。

(良かった。ひどい目に合わされとらんかったんじゃね)
「ボウジロウは、何を思ってここに来たんだろうな」
「ボウボウ!」
「……」

 黙って背を向けるメロコ。寄り添うボウジロウ。

「ボウボウ!」
「ボウジロウ……」

 ボウジロウを見るメロコ。

「──オレには、ボウジロウがあんたに戻ってきてほしいと言ってるように……」
「……ウゼえ」
「メロコさん……」

 苦しそうなメロコが心配になっているヨーコ。

「──スター団はアジトでアカデミーを襲う計画を立てているとか……?」
「そんな噂、あんのかよ。あのころから何も変わってねえな。マジでありえねえから」

 吐き捨てる様に言うメロコに、首をかしげるヨーコ。引き続き問うネルケ。

「さっきまで改造車を乗り回してたのは?」
「スターモービル……。昔、ケンカ用に作ったんだ。実際に使ったのはテメーら相手が初だけどな」
「初……?」
「昔のケンカ……?」

 そろって聞き返すヨーコとネルケ。

「スター大作戦って、知ってるか?」
「スター大作戦?」
「スターダスト大作戦じゃなくか? 初耳だな……」
 メロコの質問に、またしても首をかしげるヨーコとネルケ。

「そうか、知らねえよな……」

 寂しげに笑うメロコ。

「オレらスター団にとっては、宝物みたいな思い出だったんだ」

 何も言えないヨーコ。



 アジトを出るとカシオペアから電話。団バッジを無言で見せる。

『……すまない、また考え事をしていた』

 LPとわざマシンのデータをもらう。

『……補給班にわざマシンの材料も届けさせる』

そして現れるボタン。

「ど、どもー、補給班です……」
「あ、ボタンさん、お疲れ様」

と、突然出てくるミライドン。

「アギャス!」
「うわっ、何なん!?」
「ミライドンさん!」
 ボタンの匂いを嗅ぎ、気に入ったのかなめ始めるミライドン。
「ちょ、やっ、やめろ……! た、助けてー!!!!」

 慌てて止めるヨーコ達。でもなめ続けるミライドン。しばらくして満足したのか眠る。

「うう、ヨダレでベトベト……。マジで何なん、あれ……?」
「うーん、謎のポケモン、としか……」
「えっ、よくわからんポケモンつれてるのドン引きなんだが……?」
「何も悪させんよ? むしろうちらを乗せて走ってくれんさるし。高いところから落ちてもへっちゃらやし」
「うーん、ある意味すごいけど……。えっ、すごいか?」

 気を取り直すボタン。

「って、えと……、忘れないうちに、報酬ね」

 また落とし物をもらう。

「えと、名前、ヨーコ……、だよね?」
「うん。北條陽子。あ、この子達は切り札のわっぷるさん。ムードメーカーのまんじゅう」

 ヨーコ、回復させたわっぷるさんとまんじゅうを紹介する。

「いやポケモン達の名前ゆるいな。こないだも思ったけど」

 ツッコミを入れるボタン。気を取り直し、

「ヨーコ、スターダスト大作戦戦闘班から見て……、スター団って、どうなん?」
「え、普通に強いよ? ボスさんは特に。何度もひやりとさせられたもん」
「……ふーん」

 ちょっと思わしげなボタン。

「噂だと、スター団って、根っからの不良じゃないんだって。大抵がいじめられていたり、人付き合いが苦手なだけ……。そんな連中が集まって、スター団が結成された。ひとりでは立ち向かえないいじめに打ち勝つために……」
「いじめ? いじめられとった人達じゃったん……?」

 ちょっと信じられないヨーコ。でもメロコの台詞を思い出し押し黙る。

「──あっ、これ、生徒達のSNSハッキングして突き止めた情報。なんでも5人のボスを集めて、団を作った真の黒幕もいるとか……」
(それが、マジボス……、かね)
「しゃべりすぎた。のど、痛い……」
「あ、それなら、これ……」

 懐からミツハニあめを取り出すヨーコ。

「甘うてのどにええんじゃと。もらってばっかりやし」
「あ、ありがと……。残りの団のアジトも、えと……、がんばって」
「うん」

 見送りながら、ポツリと呟くヨーコ。

「メロコさんの笑った顔、なんかよかった……」

 もにょもにょがはっきりとした形になりかける。黙ってうなずくぴっかりさん達。

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