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雲の出る地に行った話三-四

 稲佐の浜からまた歩いて戻る。夕暮れ時の大社を歩いてみたいので、時間を潰すべく古代出雲歴史博物館に行った。

古代出雲歴史博物館。こっちも大きい

 展示品にはただただ圧倒された。数えきれないほどの剣に銅鐸。遥か昔の、巨大な本殿の姿。
 スケールが大きいと言うにはあまりにも安っぽく、深いその歴史。こうでなければ、神話は出来はしない。そしてその神話を産み出した人々の想像力も、全く以て果てしない。館内のカフェでカフェラテを飲みながらぼんやり思った。


室内展示の剣。もう何も言うまい。


上り下りは大変だけど、立派な古代の大社。

 唯一残念なことは、売店に『ぼおるぺん古事記』がなかったことだった。かの有名な水木しげる先生の古代出雲の本ならあったけど。

 ご縁横丁に戻って軽い夕食をとる。小さいノドグロの丼。やっぱり味が濃くていい。それから別の店でノンアルコールのジンジャードリンクをいただいた。甘くなくほんのり辛くて、さっぱりとした飲み口だった。


ノドグロの丼。醤油をかけていただきます。


 ほどよく日が傾き、三度出雲大社へ向かった。
 ちょうど雲が出てきて暗くなる。これからは人でないものの時間だと告げているようだった。
 そして悲しいことに、コロナのせいかお参りの時間が夕方で終了と告げられ、慌てて挨拶し写真を撮って立ち去った。調べなかったこちらがわるいが、赤くなった太陽を見て悲しくなった。


日が沈む時の出雲大社。もうすぐ黄昏時。
 羽衣みたいな雲。


スタバの明かりと夕焼け雲のコントラスト

 明日が最終日。ホテルに帰るバスの中で、帰りたくないと大人げなくさめざめと泣いた。
 せめてものなぐさめに、部屋に帰るなり博物館で買ったクッキーと、ぜんざいの店でもらったコーヒーでくつろいだ。
 帰りの列車が出るのは昼近く。早く出て大社に行って別れを告げようと決めた。

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