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season7 1話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

※season6と連チャン。最終回除いてOPEDなし

『ゼロの秘宝、その在処』


1.『最奥の奥』


 パルデアの空港につき、ゼロゲートにそらとぶタクシーで直行するヨーコ達。そこから第1観測ユニットにワープ。
 外に出てみると、ブライアさっそく駆け出し、

「ここが……、これこそが……、夢にまでみたエリアゼロ!」
「何よこれ……、すっごい」

 この世ならざる景色に、ゼイユも息を飲む。

「わやじゃ……」
 スグリ、思わず素が出る。ヨーコとぴっかりさんとゼイユ、スグリを見る。ついと顔をそむけるスグリに笑うふたり。ぴっかりさんはニヤニヤ。
 スグリ照れ隠しに、

「え、えっと……、ヨーコは前に来たこと、あるん……だよな?」
「うん、友達と!」
「ピカピカ!」
「友達……」

 つぶやくスグリ。と、ミライドン出てきた。

「アギャッス!!」
「あ、ミライドンさん」
「ピカピ」
「ひゃ! びっくりした!」

 ゼイユびっくり。

「もう! なんとかドン……だっけ!? あんたねえ……、でかいのよ!」
「ミライドンさんじゃ、ゼイユさん」
「アギャ……?」

 ちょっと困惑気味のミライドン。

「きみもメンバーだったんだね」

 スグリもミライドンを見る。ブライア興奮気味に、

「君がエリアゼロで見つかったといわれるポケモンだね! この子もとても気になるが……」

 考え込み、

「今回の調査で確かめたいのは、エリアゼロの最深部……、そのさらに奥なんだ!」
「さらに奥? ゼロラボよりもですか?」
「ああ」

 ブライア、うなずきバイオレットブックを取り出す。

「ヘザーの手記によると、彼は最深部からさらに下へ落ちた」
「へー? 最深部って、一番下って意味じゃないんだ」

 首をかしげるゼイユ。ブライアにっこり。

「不思議なことにね!」

 が、すぐに眉をひそめ、

「ただし、そこへの道筋も行き方もまったくおぼえていないと記されている」

 少し考え込む。

「ヘザーを信じるなら、きっとエリアゼロのさらに下に、知られざる空間があるはず……」

 ブライア、提案。

「とりいそぎは最深部、ゼロラボとやらに向かおう。ヨーコくん先導をたのんだよ」
「はい。ほんならみなさん、ミライドンさんに乗ってつかあさい」
「ピカチュ」

 ヨーコとぴっかりさん乗り込む。
 次々に乗り、最後ためらいがちに乗るスグリ。

「ほいじゃ飛ばしますよ!」

 一気に下へ落ちる!
 悲鳴を上げる姉弟。大興奮なブライア。
 結晶が見えたのを確認し、滑空モードへ移行。
 そのままゼロラボの手前の坂に着地する。

「あったあった!」

 ミライドンを戻し歩いていく一行。
 ラボ前に来ると、ゼイユため息まじりに、

「何ここ、すっごい! てらす池みたい!」
「じゃろ? うちも思うた」
「ピカチュ」
「ヨーコくん、ピカチュウ、ここがゼロラボかな? オモダカさんが教えてくれた外観の様子と一致しているが」
「はい、間違いなくここがほうです!」
「ピカピカ!」

 スグリも見上げ、

「ここが最深部……?」
「うちらの時はほうじゃったけど、ブライア先生の話聞いてると違う気もする……」
「そうだね。ある意味そうで、ある意味違う」

 ブライア、エリアゼロに目を向け、

「かつてエリアゼロ観測隊が到達した最深部はここ。そしてゼロラボ内の下の階には、用途不明の謎の部屋があるとのこと」
(タイムマシンの部屋か……)

 ヨーコ気付く。

「だが、私が行きたいのはそれよりももっと下なんだ……」
「よくわかんないけど、その……、ゼロラボっての? 入ったらいいってこと?」

 ゼイユ聞く。スグリが、

「でも、ドア、閉まってる」
「んー? 本当ね」

 ゼイユ、ヨーコに、

「ヨーコ、どうすんの? 前に入ったことあるんでしょ?」
「あそこのパネルを操作して、ロックを解除すれば入れてじゃ」
「ピカチュ!」

 ヨーコとぴっかりさん、入り口のパネルを見る。

「なんかスパイみたい……、わや、かっこいい」

 つぶやくスグリ。ハッとこちらに顔を向ける。
 ゼイユとヨーコがスグリを見ている。

「なんでもない」

 すぐに顔をそむけるスグリ。隠れて笑うゼイユ。ヨーコも笑いをこらえる。やれやれ顔ぴっかりさん。ブライアはにっこり。

「ではヨーコくん、パネルを操作して開錠をたのめるかな?」
「はい」
「パネルでロック解除、いいな……」

 またぽつりとつぶやくスグリ。ヨーコとぴっかりさんが見ると、

「あ、別になんでも……、ない」

 またしてもぷい。顔を見合わせるふたり。

「ゼロラボってより、あれは名づけててらすラボね。さ、ヨーコやったれ」
「うん」

 ゼイユに後押しされ、ヨーコとぴっかりさん、パネルに向かう。
 来ると、パネルの案内が出る。

『ゼロラボのゲートを開きますか?』

 ヨーコ、ボタンに手を伸ばしイエス、の方にポチる。しかし、

『長期間認証サレナカッタタメ、入リ口ガロックサレマシタ』

 の音声案内が……。

「ありゃあ」
「ピカピ……」
「どういうこと、動かないの?」

 いつの間にか後ろに来ていたゼイユが聞く。
 スグリとブライアも一緒。

「うん……」「ピカ……」
「以前は開いたのだよね。何か条件が違うのだろうか」

 ブライアの問いに、ヨーコ、

「中に博士……の知り合いみたあな人がおって、そん人が4つのロックを解除するよう言ってくれんさったんです」
「なるほど……。事前準備と、中にいた者のフォローがあったのだね」

 と、ピポン、と謎の音がパネルから。

『あおのディスクノ反応ヲ検知シマシタ』

 パネル喋り出す。スグリびっくり。

「おわっ、なんかしゃべってる」
『あおのディスクヲ挿入スルト、アクセス権ガ拡大サレマス。あおのディスクヲ挿入シテクダサイ』
「ただの機械音声よ。わざマシンマシンと一緒じゃん?」

 明るく言うゼイユに、どこか恥ずかしげに黙りこくるスグリ。

「あおのディスクとは、いったい……」

 考え込むブライア。

「ピカチュ」

 ぴっかりさん、ヨーコに言う。

「うん」

 ヨーコ、カバンをがさごそして、

「確か、トップが持たせてくれた謎アイテムがそんな名前だったような……」
「オモダカさんが持たせてくれた謎のアイテム?」
「えー、おもしろそう! あたしが許可するわ! ヨーコ、やっちゃいなさい!」

 聞き返すブライア。ゼイユはノリノリ!

「アイアイサー」
「ピカ!」

 ぴしっと敬礼しパネルに向き直るヨーコとぴっかりさん。

『あおノディスクヲ挿入シテクダサイ、あおノディスクヲ挿入シテクダサイ』

 音声案内に従い、ヨーコ、ディスク挿入。



『あおのディスク、認証完了。ゼロラボ内エレベーター行キ先ヲ、ゼロの大空洞ニ変更シマシタ』

 ゴゴゴゴゴ……、と音がしてゲート開く。

「開(あ)いた」

 ぽつんと言うスグリ。

「伝説のポケモン、中にいるのか……」
「オモダカさんからあずかったディスクが鍵になるとは……、かがやかしいサプライズだね」

 ブライアしみじみ。

「よし、はやく入るわよ! ヨーコ、ピカチュウ、あんたらが先頭ね!」
「はいはい」

 ヨーコ苦笑。ぴっかりさんちょっとジト目。
 ということで中へ。

「ここに来るのも本当に久方ぶりじゃねえ」
「ピカチュ」

 ゼロラボ内、足元に気を付けながら進む。スグリも黙って続く、ゼイユ、ちょっと駆け出すが、すぐにぶつかる。

「ゼイユさん!」
「ねえ! 暗すぎよ! 頭ぶつけたんだけど!」
「後先考えず走るからだよ!」

 思わずツッコむスグリ。ゼイユ微笑みながら振り向き、

「スグ、あんた……」

 にっこり笑って、

「ちょっと元気出た?」

 スグリ、少し目を見開くが、すぐに顔をそむける。

「……うるさいな」

 と、ふと気付き、

「先生は?」
「ああ、しんがりで来とりんさっとったけど」
「あっちでめっちゃ物色してるわ」

 ゼイユの言葉に振り向くと、かつての研究スペースで本をあさってるブライア。ぴっかりさんすかさずしっぽで向こう脛はたく。

「痛!」
「先生そこまでですよ」
「誰かの写真とかあったし、じっくり見ちゃダメでしょ……」
「ああ、すまない、つい……」

 ヨーコとスグリの愚痴に、殊勝にも詫びるブライア。

「ピカピカ!」

 そうよ! と同意するぴっかりさん。

「ふーん、倫理的じゃん」

 感心するゼイユ。
 と、エレベーターのランプが点灯、音がした。

「先生ー! エレベーター! 下! 行けそう! 下、下!」
「下とね!!」

 ゼイユの呼びかけに駆け寄ってくるブライア。みんなでエレベーター前に集合。

「おお! ヨーコくんたちはこのエレベーターで、例の用途不明の部屋に行ったのかな?」
「ほうです!」
「ピカピカ!」
「なんと! これが……!!」

 目を輝かせるブライア。

「さっそく降りてみよう!」

 エレベーターのボタンを押し、

「さあ、はやく!」

 先に乗り込むブライア。ゼイユ、ヨーコ&ぴっかりさんの順に続く。

「話聞いてると、あんたら大冒険しすぎじゃない? そりゃ肝も据わってるわ」
「いやあ、まぁ……」

 スグリ、黙ったまま乗り込む。エレベーターのドアが閉じられる。



 エレベーター内、

「ああ、なんてすごい! どんどん下へと降りているね!!」

 やっぱり大興奮ブライア。

「……そりゃ、エレベーターですから」

 ゼイユ、柔らかくツッコむ。

「けっこうスピードあんのね? 浮遊感あるわー」

 スグリ、少し考え、

「あの……、さ!」

 みんなスグリを見る。

「ロック解除したあのパネル……、エレベーターの行き先がどうとか言ってなかった?」
「言われてみれば……」
「なーんか……、言ってたかも。行き先を変更……、だっけ?」
「ゼロラボ内のエレベーターは1基だけ……、今乗っているものが該当するだろうね」

 ブライアの言葉に、ゼイユ聞き返す。

「えーと、つまり……?」
「ふふふ……」

 ブライア、楽しげに含み笑い。

「私たちはいったい、どこへ向かっているのだろうね?」

 黙って考え込む他3人。


 到着。ドアの開いた先には。

「おお……」

 先に駆け出すブライア。ヨーコ達、絶句。
 そこは一面に結晶が広がる空間!

「おおおおおおおお!!!!」

 またまた大興奮なブライア。

「ここが……、エリアゼロのさらに奥?」

 ゼイユ呆然。ブライア、スマホロトムで確認し、

「ああ! データ上では先ほどよりもっと下層に位置しているよ!」

 手をわちゃわちゃ動かす。

「以前の到着地点より、さらにエレベーターが下に降りたのでは!?」
「えー、エリアゼロでさえ驚きなのに……」

 顔をしかめるゼイユ。

「もう何が来ても驚かない自信あるわ」

 と、横を向いていたスグリが、

「ね、ねえ……」

 みんな振り向く。

「これ……、何?」

 なぜか書類のつまれた研究机が。

「おおおおおおおお!!!!」

 何度目かもわからない大興奮ブライア、さっそく駆け寄る。

「なんでこんなとこに机が!?」

 ゼイユもびっくり。首をかしげるヨーコ&ぴっかりさん。

「さあ……」
「ピカ……」
「おお……、こ、これは……」

 ブライア、目を見開き、書類の束のひとつを見せる。

「かの有名なフトゥー博士のレポートだ!!」
「博士の!?」

 食い入るように読むヨーコ達。

『概要とステラ
エリアゼロよりさらに下層には、巨大な空洞が存在しており、その最深部にはテラパゴス……、ゼロの秘宝が眠っている。その体は結晶体となり外敵から身を守っている。目覚めるには少し時間が必要そうだ。
 そのテラパゴスの影響であろうか。大空洞内では地上では見たことがないテラスタル現象が起きている。
 すべてのタイプを宿したテラスタル……。僕はそのテラスタイプを仮にステラと呼ぶことにする』
「テラパゴスがゼロの秘宝……!?」

 驚愕のブライア。

「結晶体となり眠っている!? そしてステラとはいったい!? ああなんてかがやかしい! ヘザーが記していないことがこんなに!」
「まあ、フトゥー博士はヘザーさんの書いた本が大好きで学者さんになりましたけえね……」

 ヨーコ(汗)。

「この書類がすでに宝の山だよ!!」

 戻しながらも他の書類を漁るブライア。ぴっかりさん呆れ顔。ゼイユも、

「こんな謎空間でよくあんなにさわげるわね……」

 一方スグリは、

「伝説のポケモン、テラパゴス。ゼロの……、秘宝……!」

 つぶやき、ブライアに、

「先生、はやく奥行こうよ」
「まだ読み足りないが……、ううむ……、そうだね!」

 ブライア後ろ髪を引かれながらも離れる。

「真実はみずからの目で確かめてこそ意味がある!」
「注意しながら進みましょ」
「うん」

 先に歩き出すゼイユ。

「すっごい地下だから? ちょっと空気薄くない?」
「あのデスクは帰りぎわに思いっきり調べるとしよう!」

 ヨーコもゼイユとブライアのあとに続こうとした時、別のレポートが目に入る。

『ゼロの大空洞
 エリアゼロよりさらに下層をゼロの大空洞と呼んでいる。この空洞が形作られたのは、地層から推察するに約200万年前。空洞ができる直前まで、無数の何かが穴を埋めつくしていた形跡がある。
 陥没の深さは約1000M(メートル)。何度も崩落をくり返した跡がある。原因はおそらく地殻活動や雨水、地下水による浸食。最後に最大の崩落が起きたあと、現在まで地形は安定している』

 と、間にメモがあり、それを手に取るヨーコ。

『秘宝を調査中に転移。気温、湿度から察するに、文献で読んだ東方の地だ。
 硫黄の匂い。高い場所。池の付近にて出会った子供から白い本を……』
「ヨーコ」

 スグリが呼びかけてくる。
 ヨーコ顔を上げる。スグリは変わらず無表情。

「……はやく行こうよ」
「……うん」
「ピカピカ……」

 ぴっかりさん顔をしかめる。生意気ね、な感じ。
 かくして主人公コンビも進み始める。

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