season5 8話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
8.『再戦、絶対零度トリック』
夜のナッペ山界隈はひんやり。急いでタクシーでナッペ山ジムへ。
「こんばんはー」
中にいたグルーシャ、目を丸くし、
「あれ? あんたは……」
「お久しぶりです。北條陽子です」
「こんな時間にすべりに来たの? 今日そんなに天候と雪の調子よかったか……?」
「あ、いえ、グルーシャさんに会いに来たんです」
「むむ……、まったく意味がわからないんだけど」
眉をひそめるグルーシャ。
「ええとですね……」
とかくかくしかじか。
「……なるほどね。あんたがオモダカさんの代わりなのか。──チャンピオンランクになって、夢が叶ったみたいでよかったね」
「どうも……」
少しうつむくヨーコ。グルーシャ、少し黙り、
「……いや、悪かった。どうしても皮肉っぽく聞こえるな。本当にすごいことだと思ってるよ」
グルーシャ、一瞬口をつぐみ、
「ただ、ぼくとしては……、複雑でさ」
ヨーコも何も言えない。
「実力を見にきたんだろ? さっさと終わらせよう」
「はい」
「……表に出ようか。雪が降ってなければいいね」
ということでバトルコートへ。
*
近くの山小屋に泊まっていた人達が、バトルコートにわらわらと集まってきた。雪は降っていない。
グルーシャ、空を見上げながら、
「あんたにとっては幸運な天気だ。雪山が優しさを見せたのかな」
ヨーコに視線を戻し、
「年に何度か、こういうふうにリーグの視察があるんだ。ふさわしい実力を発揮できなければ、ジムリーダーから降ろされるテスト」
グルーシャ、低い声で、
「……オモダカさんは形式的なものって言ってるけど、スノーボーダーの夢を絶たれて残りの際のさえも刈りとられたら、ぼくには何が残るんだ?」
グルーシャ、ヨーコが何か言う前に、
「ちょっとサムいこと言っちゃったけど、……話はもう少し簡単なんだ。──あんたを完膚なきまでに凍えさせればいいだけだから」
「──凍っても溶かします!」
お互い身構える。グルーシャ1体目モスノウ!
「コンディションはそこそこ。あんたを負かすには充分かな」
「食いついてみせます!」
ヒナじろう登場。ドリルくちばしを急所に当てワンパン!
2体目マニューラ、ヒナじろう続投。つじぎりで効果抜群! こちらもマジカルシャインで効果抜群! しかし倒れないマニューラ。ヒナじろうゴンさんに交代。つじぎりくらうも倒れないゴンさん。天候は吹雪に。
少し威力の上がったれいとうパンチくらうが、そのままヘビーボンバーを急所に当ててとどめ!
3体目ツンベアー。ゴンさん続投。ヘビーボンバーくらわすが、耐えてつららおとし! ここでわっぷるさん登場。つららおとしくらうが効果今一つで助かる。アクアステップでワンパン!
*
4体目ハルクジラ対わっぷるさん続投。
アクアステップ急所にあてるが、次の攻撃を受ける前にとびはねるハルクジラ! なんとかかわしてアクロバットでとどめ。
「サムい結果にさせない。零度のトリックで翻弄する」
クールに言い放ち、5体目チルタリスを出すグルーシャ。
「全て溶かします! ポンさん!」
ポンさん竈の仮面バージョン登場!
「面影宿して、ポンさん!」
ポンさんテラスタル!
「雪よ、結晶よ、ぼくたちに降り積もって」
グルーシャもテラスタル。
ポンさんじごくづき! だがぼうふうくらって混乱。自分を攻撃してしまったところを、
「熱を奪うこの技で、あんたの頭を冷やそうか」
れいとうビームで足元を凍らせ、動けなくして再びぼうふう。
だがなんとか正気を取り戻しツタこんぼうで足元を溶かすとともにとどめ! 勝利!
「ポンさんえらい!」
「ほーにー……」
ポンさん目を回しつつもガッツポーズ。
「──あんたの熱さ、キライじゃないよ」
グルーシャ、ふう、と息を吐き、
「オモダカさんも人が悪い。絶対勝てない相手をよこすなんて」
グルーシャ、夜空を見上げる。静かに雪が降ってきた。
「だけど後悔はしていない。実力は出しきったつもりだ。本気であんたにぶつかって負けて……、くやしいって思えた。もう少し本気でジムリーダーやってみようって思った」
「グルーシャさん……」
「ぼくの冷めきった情熱にふたたび火を灯してくれて……、ありがとう、ヨーコ」
にっこり笑い、初めてヨーコの名前を呼ぶグルーシャ。
「次やるときは負けないよ。風邪引かないように気をつけて雪山下って」
「はい、ありがとうございました!」
頭を下げるヨーコ。あれが本当のグルーシャさんだと思った。
ミライドンでフリッジタウンへ滑空し、屋台で熱々の料理を食べるヨーコ達。その後タクシーに乗って学校に戻る。
寮の部屋でお風呂にゆっくりつかり、暖かくして寝る。次は最終日。
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