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season9 3話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

3.『いざキタカミ!』


 キタカミ到着。スイリョクタウンにつくなり、

「わー! ここがスイリョクタウン!」

 ネモ、公民館前でおおはしゃぎ。

「なんかパルデアとにおいが違うねー!」
「ハァハァ……、頭ふらふら……」

 見事に乗り物酔いのボタン。

「やっと村、着いたん……?」
「ボタンはバスん中でスマホ見すぎだ」

 ペパーため息。

「だって電波……、不安だったし……」

 ボタンうじうじ。
 と、管理人さんがやってきた。

「どうもどうも、あんたさんたち」
「管理人さん! おひさしぶりです!」
「こんにちは!」

 挨拶するヨーコとネモ。

「はい、こんにちは。あたしは管理人さんです。みなさんのことは、スグリから聞いてますよ」

 にこやかに話す管理人さん。

「ヨーコさん以外は、初めてのキタカミ旅行ですかな?」
「ほうです」
「ピカチュウ」
「はい、そんな感じっす」

 ペパーもうなずく。

「そうですかそうですか。寝泊まりはこの建物の部屋使ってくれていいですからね。布団も干しておいたんで」
「おお……、いたれりつくせり!」

 ボタン、地味に感動。

「ハッハッハ、それではごゆりと過ごしてってくださいね」
「ありがとうございます!」

 お礼を言うネモ。

「そういや、スグリってヤツ、……連絡ないのか?」
「ああ、スグリさん実は、スマホロトム持っとらんくて……」
「は?」

 ヨーコの言葉に、ペパー、ぽかーん。

「え!? え!? スマホをお持ちでない!? そんな人間おるん!?」

 驚愕のボタン。

「ストイックだねー! お家にいるのかな? こっちから出向いてみる?」
「ピカチュ」

 そうしましょうよ、なぴっかりさん。うなずくヨーコ。

「うん。ほうね」
「よっしゃ、オマエの親友にふさわしいのが誰かはっきりしとかねえとな」

 謎に意気込むペパー。

「ピカピカ?」

 あたしを差し置いて何言ってるのよ、なぴっかりさん。

「安心しろ。お前は別格ちゃんだ」
「何張り合っとるん」

 ボタン呆れ顔。

「あはは、はやく戦……、会いたいねー!」
「ていうかやっぱここ、電波弱い。スマホと精神が不安定になるぅ……」

 それぞれつぶやきつつ、ヨーコ先頭に歩いていく。



 行ってみると、スグリは庭にいた。

「スグリさーん!」

 スグリ、ヨーコの姿を認め、

「ヨーコ、ひさしぶり!」
「ピカピカッチュ!」

 あたしも忘れんじゃないわよ! なぴっかりさん。

「あはは、ぴっかりさんもそうか!」

 スグリ、笑いながらふたりを見て、

「ふたりとも、来てくれたんだ!」
「元気そうでよかった」

 安心して笑うヨーコに、スグリ、申し訳なさそうに前髪をいじり、

「ちょっと俺の家バタバタしてて、ごめん、迎えいけなくて……」
「気にせんで。会えてうれしい!」
「ピッカ!」
「にへへ……、うん!」

 元通りの笑みを浮かべるスグリ。胸を撫で下ろすヨーコ。

「あれ、そういやひとりで来たんだか?」
「ううん」

 と、

「じゃまするぜ」
 ペパーたちもやってきた。

「どうも初めまして! わたし、ネモ! ヨーコから聞いてるよ!」

 さっそくグイグイ行くネモ。ヨーコ(汗)。ぴっかりさん&ペパー&ボタン、あちゃー。

「ポケモン勝負強いんだね!?」
「え、えっと……、いや、そんなことは……」

 しどろもどろなスグリ。

「グイグイいきすぎ」

 ボタンため息。

「うちはボタン。なかよくはゆっくりめでよろしく」
「オレはペパーだ。ヨーコの一番の親友な」
「ピカピ……」

 どや顔ペパーにこらこら、とぴっかりさんジト目。

「すぐマウントとんなし」

 ボタンもたしなめる。

「俺はスグリ。ヨーコとは林間学校で会って、友達になったんだ」

 スグリ、にこやかに自己紹介。少し恥ずかしそうに、

「あと、えっと……、俺はブルーベリー学園に通ってて、……あ、今は休学中だけど」
「え! そうなん! 気持ちめっちゃわかる!」

 大きくうなずくボタン。

「あ! ボタン、裏切り者……」

 思わず本音が出るペパー。

「なかよくはゆっくりじゃなかったのかよ」
「や、同じ匂い感じたんで」

 眼鏡くい、なボタン。スグリ笑いだし、

「ヨーコは友達も個性的だな」

 ネモ達を見て、

「ヨーコの大切な人は、俺にとっても大切だ。しばらくの間、キタカミで楽しく過ごしてほしいべ」
「ありがとう! それじゃ勝負しよっ!」
「え?」

 スグリぱちくり。

「ネモさん」(苦笑&(汗))
「ピカピ……」(じとー)
「公民館の前、戦れそうだった! レッツゴー!」

 走ってってしまうネモ。スグリ、きょとんとしつつも、

「もしかして俺……、ついてこいって言われてる?」
「いってらっしゃい! がんばって」

 ヨーコ苦笑で送り出す。

「うう……、ねーちゃんとは違う意味で強引だべ……」

 とぼとぼながらもきっちり向かうスグリ。

「……もしかして、スグリっていいヤツ?」

 ペパー、ボタンに、

「そりゃそうでしょ、ヨーコの友達だもん」
「……うーん、そっか」

 ため息まじりながらも、認めるペパー。

「オレ、感じ悪かったかも。ちょっと……、反省だな」
「人見知りは人見知りを見抜く能力あるんよね」



 ヨーコとぴっかりさんが行ってみると、勝負が終わったところだった。
「おーい、どーなったーん?」
「あ、ヨーコー!」
「俺、ボロ負けだべ……。ネモ……、さんって何者だ?」
「うちのライバルで、うちと同じパルデア地方のチャンピオンじゃ」
「ヨーコのライバル!?」

 スグリ、ちょっぴり悔しげ。でもすぐに、

「っていや、チャンピオン!? ……だったら強さも納得だ」
「スグリくん強い! 楽しい! さすが強豪校のチャンピオンだ!」

 ネモ楽しげに駆け寄る。しかしスグリはうつむき、

「い、いや……、もう違うし、勝ててないし……」
「スグリさん……」
「勝っても負けても、ポケモン勝負って楽しいよね!」

 すかさず明るく言うネモ。スグリ、悲しげな顔が消える。ネモを見て、

「……んだな!」

 明るく笑う。ヨーコとぴっかりさんも一安心。

「ネモってそういうヤツなんだ」
「だいじょぶ? ドン引きしとく?」

 ペパーとボタンもやってきた。

「ちょっと!」

 すかさずムッ、なネモ。スグリ慌てて、

「い、いや、楽しいよ!」

 ネモを見て改めて、

「うん……、わや楽しい!」
「ほらー!」

 クスクス笑うみんな。と、ペパーの隣、いつの間にかゼイユがぬっ、と現れていた!

「おわっ、誰だ!?」

のけぞるペパー。

「ゼイユさん!」
「ねーちゃん! 大丈夫なの!?」

 声をかけるスグリ。

「キ……、キ……」

 目が怪しく光っているゼイユ。そして、

「キビキビー!!」

 謎のダンスをノリノリで踊り出す!!

「キビキビー!! キビキビー!!」
「ゼ、ゼイユさん!? どしたん!?」
「ピカチュウ!?」

 ヨーコ&ぴっかりさん驚愕。

「スグリくんのお姉ちゃん? 勝負……、まじりたいのかな?」

 ニコニコなネモにボタン冷静にツッコむ。

「いや、どう見ても違うでしょ……」
「ごめんみんな! ねーちゃん運ぶの手伝って!!」
「運ぶのか!? わ、わかった……」

 しどろもどろながらもうなずくペパー。その間も踊り続けるゼイユ……。



 夕方。姉弟の家。

「お姉ちゃんについてあげなくて平気?」

 ネモが聞くと、スグリうつむいて、

「うん……。昼はじーちゃんとばーちゃんが見てくれてて、さっきは目を離したすきに……」

 スグリ、本当に申し訳なさそうに、

「みんな、手伝ってもらってごめんな」
「あ、いや、こんなのお安いご用だけどよ……」
「え、えーと? お姉ちゃんめっちゃあらぶってたけど……?」

 戸惑いペパー&ボタン。

「いつもはあんなじゃないんだ」
「ホッ、そうなん」

 胸を撫で下ろすボタン。

「ヨーコたちと会えるの楽しみで、気分が上がってるだけだと思うんだ」
「ほうなん?」
「それは……、そうなのか?」

 キョトンなヨーコと腕を組むペパー。

「ピカピカ?」

 怪しくない? なぴっかりさん。

「うん……。だからきっとキビキビって叫びながら、変な踊り踊ってるだけで……」
「いつからなん? それ。何があってこがなことに……」

 ヨーコが聞くと、スグリ少し考え込みながら、

「ヨーコに手紙送ってからすぐ……、かな……。次の朝起きたらああなってて、原因はわかんね……」

 スグリため息まじりに、

「……やっぱり、変だよな。──村の人が言うように、呪い……、なのかも」
「の、呪い!?」

 のけぞるペパー。

「突然のオカルト感。ゾゾゾ……」

 ボタンも身震い。

「呪いってわからないけど、そういった言い伝えとか伝承があったり?」

 冷静に聞くネモ。

「うーん……、オーガポンもともっこも、ヨーコがみんな捕まえたりやっつけたからなぁ……」
「ヨーコ、キタカミでもやりたい放題ちゃんだな……」

 ペパー(汗)

「いやあ、あはは……」

 苦笑いヨーコ。ぴっかりさんひそかにどや顔。

「ねーちゃんは自由すぎて、わがままで口も悪いけど……」

 肩を落とすスグリ。

「はやくいつものねーちゃんに戻ってほしい」
「そうだよね……」

 静かにうなずくネモ。

「何か手伝えることあったら、オレたち協力するぜ!」
「えっ?」

 満面の笑みのペパーに、スグリ、キョトン。

「親友の友達がこまってるなら、ひと肌脱がねえとな!」
「うん、うん! まかせて! オカルトは信じてないけど!」

 ボタンもにっこり。

「呪いとかオカルトっぽいの、非科学的でありえんし、怖くないよ」
「ボタンさんらしい」
「ピッカ」

 ヨーコとぴっかりさん笑う。

「だね! 呪いと戦うなら、わたしも力になるよ!」

 ネモ意気込む!

「ポケモンが出せるなら、どんな相手もやっつけちゃう!」
「みんな……、いいの?」

 スグリみんなを見渡す。

「まかせてつかあさいスグリさん!」

 ヨーコもにっこり。

「うちら友達じゃろ?」
「ピカピカッチュウ!」

 水くさいわね! なぴっかりさん。

「ヨーコの友達みんないい人だな。わやうらやましいべ……!」

 思わず涙ぐむスグリ。

「ヨーコ……、みんな……、ありがとう!」

 慌ててぬぐい、笑って、

「今日は日ぃさ暮れてきたし、明日からいろいろ手伝ってほしい! 今夜は公民館でみんなの歓迎会開かせて!」
「うん!」「ピカ!」「おけー!」「おうよ!」「はーい!」

 同時にうなずくみんな。



 公民館へ。スグリと共にキタカミのヘルシーな料理をいただいてわいわいがやがや。ラインナップは山菜の混ぜご飯に椎茸煮付け(醤油系)、筍煮(醤油系)をそれぞれ大鉢に盛り付けてたものと山菜の天ぷら。あと特製ポケフーズ。
 それから玄関付近のソファでくつろぐみんな(ネモは桃沢商店へ)。
 しばらくして、

「ジュース買ってきたよ!」

 ネモが戻ってきた。

「やりっ! 糖分! 炭酸!」

 一足早く駆け出すボタン。みんなも続く。

「桃沢商店わかった?」

 スグリが聞くと、ネモ明るく、

「すぐわかったよ! 近かったしね!」

 それから少し考え込む。

「お店の人いなかったからお金だけ置いてきたけど、よかったかな?」
「桃沢のばっちゃんたまにいなくて、みんなそうしてっから平気」

 笑うスグリ。ペパー驚愕。

「おお……、パルデアだと考えられねえー」

 と、口元をハンカチでふいているネモ。ボタン聞く。

「あれ? ネモなんか食べてきたん?」
「ご自由にどうぞって、おもちがひとつだけ置いてあって……」

 それをよそにスグリに聞くペパー。

「スグリ! テレビってチャンネル変えられんのか? ずっと村の紹介ムービー流れてるけど」
「管理人さんがリモコン隠してて、これしか観れねんだ……」
「だったらリモコン探して、みんなで映画とか観ようぜ!」

 ノリノリペパー!

「さすがに公民館の中のどっかにはあるだろ!?」
「そ、そんなこと……、考えたこともなかった」

 びっくりスグリ。

「探そ探そ! 大画面でゲームに一票!」

 ボタンやってくる。ネモも、

「宝探しみたいで楽しそう! 手分けして探してみよっ!」
「賛成!」
「ピカピカ!」

 ヨーコとぴっかりさん手を挙げる!

「へへっ、ヨーコとピカチュウもやる気だぜ!」
「じゃ、じゃあ……、見つけた人が……」

 スグリ、わくわく提案。いきなり奥に駆け出す!

「チャンネル権……、いただきだ!」
「あっ! スグリ! 抜け駆けズリいぞー!」

 追いかけるペパー。それを機にあちこちにちらばるみんな。ヨーコもぴっかりさんと別れる。

「うーん、管理人さん奥の部屋にはあんまり行かねんだよな」
「受付の引き出しは全滅かー。もっと意外なとこあったりしてな」
「トイレの中はさすがにないか」
「ピカピカー」

 スグリとペパー、ボタン、ぴっかりさんがそれぞれ探す中、ひとりだけ玄関で静かにしているネモ。首をかしげつつも、会議室あたりに行ってみるヨーコ。
と、プランターの中に何かが入っているのが見えた!

「ん?」

 ヨーコ、手に取ってみる。リモコンだった!

「みんなー、リモコンあったでー!」
「げっ! オマエがチャンネル権いただきかよ!」

 ペパーびっくり。横をすりぬけぴっかりさんも肩に乗る。

「ピカ、ピカッチュ!」

 なによ、やるじゃない! なぴっかりさん。

「わやー、さすがヨーコだな」
「ヨーコもゲームやりたいよね? ね?」

 スグリとボタンもノリノリ。
 と、ペパー後ろを振り向き、

「あれ? そういやネモは? ……トイレか?」

 みんなも見る。確かにいない。

「いや、入っとらんよ。うち、そこらへん見てたから」
「奥にも来てねえべ」

 首を振るボタンとスグリ。

「もしかして……」

 ペパー、少し考え込み、

「どっかに隠れて、オレたち驚かそうってか!?」
「んー? ネモのスマホ、電話しても出んね」

 スマホをいじっているボタン。

「え? 電話してんのかよ」

 ペパー、ややあって小首をかしげ、

「……電話してんのに、着信音聞こえねえの、おかしくねー?」
「あ、たしかに」

 うなずくボタン。

「そういうもんなんだ? んだば、ネモさんは……?」
「外に出た、ってことかね? さっき玄関におりんさったし」
「えー……、さっきの流れで公民館の外までリモコン探しに行く……?」

 思い出すヨーコに、冷静にツッコむボタン。

「でも、そうとしか考えられねえよな……」
「商店に買い忘れでもあったのかな?」

 考え込むペパーとスグリに、

「ピカピカ、ピッカ?」

 なにやら言うぴっかりさん。

「ぴっかりさん、何て?」

 通訳求めるボタン。

「強いポケモン探しに行ったんじゃないの? って」
「なるほど、ありうるな」
「ここでもマジネモいな」

 ヨーコの翻訳にうなずくペパーとボタン。

「でも、こんな夜に出るかねえ。いくら夜に出やすいポケモンがおりんさるからって」

 首をひねるヨーコ。

「ピカピカ……」

 そうなのよねえ、とぴっかりさんもうなずく。

「けどもしそれで村から外れたら、夜は土地勘ないとあぶね……」

 スグリ、顔が引き締まる。

「……俺とヨーコとぴっかりさんで、ちょっと外さ探してみる。ペパーくんとボタンさんは、公民館残っててもらえっと」
「え……、でもよ……」

 心配げに振り向くペパー。しっかり言うスグリ。

「入れ違いになっちまうかも。だからネモさん帰ってきたら、ヨーコに電話してほしいんだ」
「たしかにな……」

 ペパーうなずき、

「わかった、オマエら気をつけて行けよ!」

 にっこり笑う。

「待機はまかせろ!」

 ボタンも胸をはる。

「ヨーコ、ぴっかりさん、行くべ」
「うん!」
「ピカ!」
「夜道気をつけろよー」

 外にでるヨーコ達に声をかけてくれるペパー。
 一方ボタン、ペパーに、

「ネモ、大丈夫かな?」
「なんだよ、ヨーコ達が行ってんだから大丈夫ちゃんだろ」
「そうだけど……」

 ボタン、考え込みながら、

「なんでか呪いの話思い出して、ゾゾってきた……」
「な……」

 ペパー、思わず絶句……。

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