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season3 22話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

22.『秘伝スパイス、湖畔にあり』


 街で夕食を食べ戻ると、クラベルと会い校長室へ。

「スターダスト大作戦ではありがとうございました。ボタンさんの処遇もいい方向へ進められたので、校長として一安心です」
「はい。本当に、よかったです……」
「ボタンさんは、あなたにとても感謝していましたよ」
「そんな、お礼をいうんはこっちなんに。お墓のことも謝ってくれんさって」

 微笑むクラベル。

「こんなことを頼むものではないと重々承知しているのですが……、ヨーコさんには、今後ともボタンさんとなかよくしていただけるとうれしいです」
「大丈夫、もう友達ですけえ」

 しっかりとうなずくヨーコに、クラベル、本当に嬉しそうに、

「……あなたが転入してくれて、本当によかった。
 ──いつまでも素敵な、ヨーコさんでいてくださいね」



 翌日、最後の秘伝スパイスがあるとスマホに書かれたオージャの湖へ向かうヨーコ。
 列柱洞まで空とぶタクシーで行き、そこから湖へ。

「大けー……」
「ピカー……」

 その大きさに感嘆するヨーコとぴっかりさん。ミライドンにライドし、なみのりモードになった時電話が。

「はい、北條陽子です」
『よう、ヨーコ!』
「ペパーさん! 今オージャの湖に来たとこじゃ」
『そうかオレもだ。この湖のどっかにいるらしいのが偽龍のヌシだ。でも誰ひとりとして姿形を見たことねえんだと』
「誰ひとり? へんなねえ」
『ああ。いったいどんな恐ろしい見た目してんだろな? 姿がわかんねえから探しようがないぜ……』
「むしポケモンつぶしにあたるしかないかね」
『だな。「オレがヌシー!」って自己紹介してくれたらわかりやすいのにな!』
「あはは」

 電話切れる。湖の島にあがったり。
 途中で勝負した学生からおいしそうなポケモン見たとか聞いたり。

「そのポケモン、歩いてたら大きなポケモンにパクっと食べられたんだ。自分をおいしそうに見せてたらそりゃあ食べられちゃうよ」

 湖を渡るとカジリガメとカムカメの群れやヤドン、ミニリュー、ゴルダック、ギャラドス、ヘイラッシャがぷかぷかしている。ミガルーサに追いかけられたり。
 ついでに湖のほとりでピクニックしてる人からスシふうサンドの作り方を教えてもらった。
 そして島のひとつに上陸。おいしそうなポケモンがいた。

「確かにおすしみたあなポケモンさんがおる」

 調べてみるとシャリタツ。ヘイラッシャと組んで狩りをするらしい。ドラゴンタイプ。
 鳴き声をあげながらのんびりしている中を歩いていると、ひときわ大きいシャリタツがいた。

「ヌシヌシー」
「ん?」

 鳴き声を聞き、ヨーコ、近づいてみる。

「ねえ、あんた……」

 と、シャリタツ、

「オレヌシー!!」

 叫んだとたん、ヘイラッシャが出てきてぱくり!
さっきの人が言ってたのはこれかと思い、ヘイラッシャと対峙! ぴっかりさん出る。かみなりパンチでこうかばつぐん。しかしのしかかられる。
 なんとか脱出しエレキボール! ヘイラッシャ沈み、泳ぎ始める。ライドして追いかけるヨーコ。
 そしてある島の岩壁に来たとたん沈む。よくよく見るとさっきのシャリタツとヘイラッシャがいる。ヘイラッシャ、尾びれで岩壁壊す。そこへと入るシャリタツ。
「え?」
 
 と、ペパーかけつける。

「ヨーコ! ヌシ発見したのか!?」
「うん、えと……」


 なんとも表現できないでいると、ペパー、ヘイラッシャを見て、

「アイツが偽竜のヌシ……!? でっけえ……、竜……、ってかさかなポケモンじゃね!?」
「うん。ヘイラッシャさんいうんじゃと」
「ん……?」

 ペパーと見ると、洞穴からシャリタツが戻ってきた。それをパクリと飲み込むヘイラッシャ。

「ス……、スシが!! でっかいヌシに食われちまった!? しょ……、食物連鎖かよー!?」
「ありゃシャリタツさんいうポケモンさんじゃ!」

 と言いつつなにかひっかかるヨーコ。
と、スパイスの力でパワーアップするシャリタツ。ぴっかりさんとヨクバリス出る!
 ぴっかりさんテラスタル。さっそくかみなりパンチ! 効果抜群! しかしアクアテールがヨクバリスに当たる。

「食物連鎖に興味津々! こいつでごちそうさんしてやるぜ!」

 ヨクバリス、しっぽをふるで防御下げてくれる。たたみかけてかみなりパンチ! シャリタツ倒れる。

「や……、やったな、ヨーコ!」
「う、うん……」

 ちょっと釈然としないヨーコ。しかし張り切るペパー。

「ヌシも倒したことだし、お次は秘伝スパイスを……」
「ヌシ……」
「んん……?」
「ん?」
 聞こえてきた鳴き声に前方を見るふたりとぴっかりさん。
「あ!」
「なんだアイツ、食われたんじゃなかったのか」

 さっきのシャリタツがいた。

「オ……、オ……、オレモヌシー!!」
「うお!? アイツ! なんかやる気だぞ!?」
「もしかして偽竜って……」

 シャリタツがドラゴンタイプであることを思いだし合点がいくヨーコ。

「このポケモンの方!?」
「本当ちゃんかー!?」

 ペパーの叫びと共にブーストかかるシャリタツ! 第2ラウンドスタート!



「ぴっかりさんいける?」
「ピカピカ!」
 ぴっかりさん再びテラスタル! かみなりパンチくらわすもだくりゅうをくらう。命中率が下がる。しっぽをふるで防御下げてくれるヨクバリス。かみなりパンチ。しかし倒れないシャリタツ。
 りゅうのはどうをくらうも立つぴっかりさん。ヨクバリスとっしんでとどめ! 勝利! 倒れるシャリタツ。

「やった……、ありがとうぴっかりさん」

 ぴっかりさんに応急処置してボールに戻すヨーコ。すっかり夕暮れ。

「ふぅ……、ヨーコ! お疲れちゃんだぜ!」
「ペパーさんありがとう」
「もしかして、アイツら2匹セットで偽竜のヌシだったのかもな?」
「ほうね。コンビ組んで狩りするみたいじゃし」

 洞窟を見るふたり。

「小さいのがこの中から出てきたってことは! 秘伝スパイスがあるはずだ!
 ヨーコ、行こうぜ!」
「うん!」

 中に入るふたり。前方、ペパーがなにか発見!

「きっと、アレだ……!」

 駆け寄る。真っ赤に輝くスパイスが!

「わ、真っ赤っか!」
「最後の秘伝スパイス、からスパイスだ!!」

 摘み取るペパー。本を開く、

「秘伝・からスパイスは代謝を上げる! 循環機能に効き目があって、いっぱいの汗と一緒に体から毒素も出ていくんだってさ!」

 本を閉じ準備をてきぱきするペパー。

「っしゃ! さっそく調理開始だー!」

すごい勢いで料理していく。

「うおおおおおお! ずりゃ! おりゃー!」
(はりきっとりんさる)
「お待ちどうさん! ペパーお兄さんの元気じるし! ファイナルスパイスサンドだ! 友達(ダチ)の証のバッジをにぎりしめながら食ってくれよな」

 サンドウィッチをふたつ受け取ったところで出てくるミライドン。

「アンギャ」
「はい、どうぞ」
「ギャアンス」

 がつがつ食べるミライドン。ヨーコも食べる(みんなは先に食べ始めている)。

「からあー!! でも深い味!!」

 と、ミライドンの体が光り完全に元気になった様子。

「よかったね、ミライドンさん」
「ピッカ!」
「アギャアス!」
「それじゃ、マフィティフも……」

 マフィティフを出すペパー。マフィティフ黙ったまま。

「マフィティフ、今食べさせてやる」

 サンドウィッチを差し出すペパー。

「最高に元気が出るぞ」

 ゆっくり咀嚼するマフィティフ。

「オレとヨーコと、ヨーコの相棒達がうんと頑張ったんだ。──また昔みたいにさ、いっぱいいーっぱい、ボール遊びしよう」

 切ない眼差しのペパー。マフィティフ、サンドウィッチを飲み込んだまま動かない。

「元気になってくれ。──それだけで、いいから」

 しかし動かないマフィティフ。

「アギャ……」

 ミライドン、思わしげに見る。ぴっかりさんも心配そうに覗き込む。それでも動かない。

「──マフィティフ。よく、頑張ったな」

 何かを覚悟したかのように優しく呼びかけ、マフィティフをなでるペパー。ややあって立ち上がり後ろを向く。マフィティフのボールが落っこちる。
 すると、マフィティフの目が開き──

「バフ!」
「え」

 声を上げるヨーコ。ペパーも振り向く。

「バフッ……、ワフッ!」

 立ち上がり、ゆっくりボールをくわえ、尻尾を振りながらペパーに持っていくマフィティフ。

「マフィティフさん……!」
「ああ……っ!」

 駆け寄るペパー。途中、こけるがそれでも這いつくばりながらも相棒の前へ。マフィティフも同様。

「ワフン!」

 ペパーの手にボールを落としてやるマフィティフ。しっかり受け取るペパー。

「うん……、うん!!」

 ペパー、マフィティフをひしと抱き締める。
 ヨーコ、ぴっかりさん達と涙ながらに見守る。

「よかった……」
「ピカチュ……」

 ミライドンを撫でてやると、顔を見合せてくるので、にっこり笑ってふたりを見る。
 静かな感動に包まれる洞窟内。



 と、そこで電話が。

「はい、北條陽子です」
『ハロー、ヨーコ。こちらフトゥー』
「博士!」
「……!」

 とたんに気色ばむペパー。

「アギャア!」

 対照的に嬉しげなミライドン。

『ミライドンが戦いの力以外、すべてを取り戻したようだな。ライド状態で壁につかまれば、崖登り移動も可能になったようだ』
「すごい!」
「アギャ! ギャ!」

 うなずくように鳴くミライドン。

『ヨーコにまかせて間違いはなかった』

 ペパー、立ち上がり舌打ちする。

「ケッ、何様だよ……」
『その声は……、ペパー、そこにいるのか?』

 ペパー、腕組んで無視。

『ずっと……、ずっと連絡をとりたかった。
 ……キミ以外に研究所に入れる人間がいなくてな』
「……はぁ?」
『ヨーコと共に、コサジの小道の灯台にある研究所に行ってくれ。キミたちが目的地に着いたら、また連絡する』

 切れる電話。悲しげに黙るペパー。気遣わしげに鳴くマフィティフ。

「ワフ?」



 片付けをして出立の準備を終えた時、ペパーが話し出す。

「──知ってるかもだけど、アイツさ……、オレの父ちゃん」

 ヨーコ、黙ってペパーを見る。

「昔っから研究で忙しくて、いつも家にいなくてさ、声聞いたのなんて数年ぶり」

 振り向き、肩を怒らせるペパー。

「なのに、アイツ息子パシらせる気マンマンちゃんか?」

 悲しげに眉を下げ、

「マジ、ふざけんなだよな」
「ペパーさん……」

 ペパー、ヨーコをまっすぐに見る。

「でも、オマエと相棒とミライドンは、きっと行きたいんだろ?」
「──うん」
「ピカチュ」「アギャ」

 うなずく3人。

「……腹ん中グツグツだけど、しかたねえからついてってやる。研究所はコサジの小道の灯台……、オマエと初めて会ったとこだ。オレの気が変わらねえうちに、さっさと行くぞ!」
「バウフ」

 うなずくように鳴くマフィティフ。

「うん、ありがとう」

先に出るヨーコを見送り、ひとり腕を組みつぶやくペパー。

「……本当に、アンタなのか?」

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