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憧れの存在。

前職の会社で出会った、一回りも下なのに憧れの存在である後輩の話。

私が退職した後、程なくして彼女も退職することにしたと報告をくれた。
話を聞くと、ずっとやりたかったデザイン系の仕事を叶えるため転職を決意し次の会社も決まったとのこと。

私も転職して一年。ようやく余裕ができてきて何気なく連絡したところ食事に行こうとなった。

1年ぶりの再会。自分の夢を叶えて充実した姿を想像していた。
・・が。
一年前に決まっていた転職先の会社は一週間で退職したとのこと。
よくよく話を聞くと、どうやらやりたかったこととは違う部署に配属されそうになったそうで、だったら辞めようと思いすぐに退職。
見事に無職になったそうだ。

私と彼女の出会いは前職で同じ部署だったことだった。
当時から大人しそうな見た目に反し自分の意思はハッキリしている子だった。
最初は扱いづらそうな印象もあったが、話してみるとさっぱりしていて優しい女の子で、仲良くなったきっかけは覚えてないが定期的に食事する仲になった。

だから会社を一週間で辞めたと聞いた時も予想と反したことに対し驚きはしたものの、理由を聞いて納得はした。

無職になって一週間。SNSでとある求人を見つけた。
その求人とは“銭湯“。
・・え?銭湯??銭湯ってあの番台がある浴場??
思わず聞き返すと彼女は笑いながら、そうです、その銭湯です!と答えた。
またデザインとは180°も違う業種に行ったなとしばし唖然。

理由を聞くと銭湯やサウナはもともと好きなことだったこともあり興味を持ったらしい。
早速面接を受けたところ、どうやら偶然自分がやりたかったデザインの仕事もできることがわかり、即決で入社。早一年になるという。

今の仕事は楽しいか聞いてみたところ、
キラキラした顔で「楽しいです!」と一言。
濁りも曇りもない言葉に心から楽しいんだなと感じた。
彼女の笑顔がとても眩しかったし、少し羨ましいと思った。

仕事と人生、やりがい、好きなこと嫌いなこと。
彼女の一回りも多く生きてるのに何も見つからなかった私。それどころかようやく見つめ直しはじめた私。
一方で一回りも下なのに人生を切り開いていく彼女。
好きな事を大切に生きている彼女。

私は密かに12年前の自分の人生を彼女に託した。
もし好きなことを選んだ人生だったら、、と想像しながら。

人生は長い。
とは言え、歳を重ねた方が可能性や選択肢が狭くなっていくのも現実。
だから今が1番人生で若いことを肝に銘じて、自分の可能性を信じて今を生きていきたい。

そんな彼女は私の憧れである。

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