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悩ましき遡行

どこまでも
この指はまりゆく
芯なき肌を

かつての張り詰めた
我が身の心と肉に
照らせば
口元に笑み浮かび

この脆弱で非力で
しとどに柔らかく成り果てた
白き肌を

かのひとの
男としては繊細で

嫌らしい指で
も一度触らせむと夢想するのだ

この身の心と肉が萎び弱ったように
かの指も同じく
生活に埋没し疲れ果て
淫靡な動きなど
とうに忘れてしまったろうか

ならば、尚更にと
加虐と自嘲の暗き喜びが
遠い記憶の熱き火照りへと


我も彼も
思い出さんとばかりに

非力な腕で強く痛く

白き肌をつねってみたりもする

赤い印が残る


この印をなぞれば
遡行せんとする
悩ましき魂の浅ましさ

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