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七夕の短冊に託す父の念:過去日記

今日、父に問うた。

「お父さん、七夕の短冊、書きたい事ありますか?」

思いがけない答が戻って来た。

忘れぬよう、覚書。

「馬で荒野を駆け巡りたい」

涙がこぼれそうになる。

父は、裸馬に乗り、高校(当事、中学校か)に通学していたという、地域で

悪名高き暴れん坊。

馬を校舎近所の畑に繋ぎ、知らぬ顔で授業に出ていたそうな。

「こら、○○!ま~た、馬に乗って来たな!ご近所から苦情が来ておる。

馬が、畑の野菜を食べておると!」

私の知らない父の青年時代を想像し、

この父なら、何だってやりかねないと苦笑したのが、倒れる数年前。

馬ではなく、自分の脚で再び土を踏み走りたいのであろうか、とも思うが、

如何せん、現在の医学では、父の麻痺は治らないのだ。

それでも、リハビリし、”必要は発明の母”・・違うw

が、近しい。

父の大事な口は動くようになったのだ。

ベッドに横たわり、片手で白板にマジックで

判別不能な言葉を記し、分からぬ私は

父の癇癪の対象であったことすら、今は懐かしい。

いやぁ、嘘みたいに、父、喋る喋る!

反面麻痺の所為で涎もつばも飛ばすが・・発する言葉は

倒れる前の父と変わらぬ。笑

それで良しと、しましょ、お父さん。

そのうち、長生きしていれば、何やらその脚の代わりのロボットスーツか

医療の進歩が、奇跡的に、あなたの願いを叶えてくれるかもしれません。

ん?夢は荒れ野を駆け巡る・・の、パクリか?もしや♪

仏壇のお供えも準備完了。

大雨の七夕になりそうだ。

台風接近中。

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