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月に吠える

…些細な言葉が棘となる


棘は無数に
私の血肉を削ぎ傷め害い
抜く暇もなく


すでに棘は私を侵す
這い回る虫と化す


虫は日々囁き
ざわざわと
私の皮膚を噛み千切り


やがて
大きな

あぁ、そうか
これが私に巣食う疑念

誠実虫、愛情虫、真実虫
泣き虫 こむし


私にそっと囁く
声にならない断片が
全て、真実だと打ち明ける


疑念じゃないよ
それでもいいじゃない

害うより笑って騙されようよ


悲しいのは何故


あぁ、それだけ大事なモノを
持ってるってことだったのね

沢山持ってる
或いは持ってたから
失うことが
悲しいのか

たまには月に向って
かの病める詩人のように
吠えてみよう


わたしは狼になる夢をみていた

あぁ、満月に、狼に変れたら―


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