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日記;父母覚書

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脳内出血で倒れた父と認知症の母。もう亡くなりましたが、日記にしたためていたメモを後悔する事に意味を感じ公開します。
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情動

情動

とある小説を読み、ある情景に我が身を重ねてしまった。

老いたヒロインが、それ以上に老いた認知症の母を見舞う日々。
母は動けず言葉も発せず、13年もベッドに横たわっている。それでもヒロインは
母を見舞い続けるのだ。

あるとき、老いた母が突然、虚空に白い腕を伸ばし、何やら掴もうとする。
”何か”ではなく、”誰か”の手を捜しているのだと、ヒロインは察知し母の手を自分の両の手で包み込む。

母の口から

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事の推移:2

事の推移:2

施設の対応があまりに不誠実であり面談も平行線にて、

安全性重視、利用者の安寧求め、市の

福祉介護課に相談、報告。

○過去に真夜中、ベッドから落ち、そのまま朝まで床で転倒していたこと。

○脱走の一回目、二度と起きぬよう、措置を介護主任さん他と話したこと。

○今回の脱走にては、運よく打ち身、擦過傷で済んだものの、施設側が

 不親切極まりない対応であったこと。

○父の過去から今日に至るまで

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七つのお祝い:母思ふ

七つのお祝い:母思ふ

着道楽だった我が母は

当事、裕福だったこともあり

馴染みの呉服屋から定期的に和服を購入

部屋中に広がった色彩の洪水に

子ども心に胸ときめかしたことを

覚えております

桐の箱に(多分)入った着物や帯を

美貌の母は目を細め乙女のような嬌声あげて

テーブルいっぱいに広げられたそれらを手に取り

見惚れておりました

幼稚園、年長の6歳ーわたしの数えで七つのお祝いに

母が選んだものは

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母の外出/日記覚書

母の外出/日記覚書

主治医と面談後、初の外出訓練。

痴呆は回復することは、現在は不可能。が、薬によって進行を遅らせることは可能。

薬及び家族の声かけ、刺激、そうした力が、大きな作用を果たすであろうと医師は言う。

外科的治療と内科的治療は、ほぼ終了。持病に対しての常備薬は必須だが、手術後の状態良し。

父は脳、母は心臓。

二人とも、いつ果てても可笑しくない大病を持っている。

今年のお盆は何とか共に迎えることが

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