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ゲームと私[作品別編]:サイバースレッド

皆さんは2シートの大型筐体でツインスティックで
操作する対戦型のメカアクションといえば何を
思い浮かべますか?

そう、『サイバースレッド』ですよね!

・・・バーチャロン?何それおいしいの?


茶番はさておき。

『サイバースレッド』は1993年にアーケードで
稼働を開始した”対戦型シューティング”ゲームと
銘打たれたナムコ作品。
今風に言うならFPS/TPSに分類されるものだ。

『サイバースレッド』筐体。
ストII以降の対戦型ゲームの流れに乗った作品だが、
こうした大型筐体として登場するのは稀有だった。

概要としては”ビークル”と呼ばれる近未来の
戦闘車両を駆り、対戦相手の機体を撃破するか
制限時間を過ぎた場合に耐久力が多く残った方が
勝利となる。CPU戦では1ラウンド、対人戦では
2ラウンド先取制(デフォルト設定の場合)。

プレイアブルな機体は6種類。
機体ごとに機動力や耐久力・攻撃力、そして
主兵装のミサイルないしレーザーの積載量が
異なっている。
CPU戦では最終面にボス専用の機体も登場する他、
プレイステーション移植版では追加機体も存在する。

操作は2本のレバーを駆使して前進後退・横方向への
平行移動、そして旋回が可能。この辺りは同じ
ナムコの戦車を扱ったゲームである『アサルト』や
後に登場するSEGAの『電脳戦機バーチャロン』とも
共通している。
攻撃方法はレバー上部(親指側)のトリガーで
主兵装のミサイルorレーザーを、前部(人差し指側)
トリガーで副兵装のバルカンを発射する。
主兵装はマップ上に点在するアイテムで弾薬を
補充しながら戦う。バルカンは撃ち切っても
一定時間でリロードされる仕組みだ。
なお、あくまで戦車なので”ブースト”などはない。

戦闘画面。
画面上部中央にある丸いゲージはレーダーだ。

戦闘は広さや障害物、傾斜の有無など様々な
マップの中で繰り広げられる。
レーダーには敵機や障害物、各種アイテムの
位置が表示されるがあまり範囲は広くない。
またアイテムの効果でレーダー自体が妨害され
一定時間見られなくなることもある。

バーチャロンを開発したSEGAのプロデューサーが
後にインタビューにてサイバースレッドとの
比較をされた際にこう答えている。

「サイバースレッドがバーチャロンと大きく違う
ポイントは、戦闘と同じくらいの時間を”索敵”に
使うところだ。」

よく比較対象とされた『電脳戦機バーチャロン』。
こちらはジャンプさえすれば自動的に敵機を
ロックオンしてくれる。便利なものだ。
私の愛機は”HBV-10-B ドルカス”。ハンマー命!


これこそがサイバースレッドの核心をついている。

先述の通り、このゲームのレーダーは近距離しか
映らない。このためマップによっては障害物などに
隠れた相手の位置をお互いに探り合い、射線を
確保して撃つという非常にシンプルながら
奥の深い駆け引きが楽しめるようになっている。

このゲームには相手を自動的にロックしてくれる
ような機能はない。自分で探して自力で相手を
レティクルに収めるしかないのだ。
時にはお互いにいつまでも相手の位置が掴めない
まま、時間だけが過ぎていく事すらある。

この駆け引きによって、耐久力に乏しい機体が
その機動力でヒットアンドアウェイを繰り返し
相手に見つからないまま攻撃を続けることも、
逆に機動力のない機体がマップの角で背後を
取られないように待ち構え、火力と耐久力に
モノを言わせて強引に撃ち合いに持ち込むことも
可能であり、機体とマップの特性をそれぞれ
どう活かすかが非常に重要となっている。

私や高校時代の仲間たちは皆このゲームに
どハマりしていた。毎週土曜日になると
いつものナムコ直営店に集まり、コミュニティ
ノートにトーナメントを書いてランキングバトルを
繰り広げていた。”店舗備え付けのコミュニティ
ノート”を使っていたせいか、徐々に他所からも
参加者が集まるようになっていったのが面白い。
いつの間にやら、そのお店で毎週行われる
土曜夜のサイバースレッド大会はちょっとした
名物イベントになっていた。
他店では売上が落ちて別のゲームとの入れ替えで
台数を減らしていったサイバースレッドも、
その店舗ではかなり長期間稼働し続けていたのだ。


まだ3D技術がそこまで一般的ではなかった時代。
このゲームのポリゴンはテクスチャーも貼られて
いない。見た目は実にシンプルだ。
ゲーム内容もシンプルそのもの。
しかしそこで展開される駆け引きは実に多彩で
個性も出る。シンプルにして奥深いものだった。

ゲームの面白さは何も見た目の美しさや
多様なシステム、映画さながらのシナリオといった
要素だけで決まるものではない。
そう痛感させられる名作だと私は今も思っている。

我が愛機”ケンタウロス2”。
デカい、遅い、硬い、イタい、な『動く要塞』。
機動力の高い機体に背後を取られたら”即、終了”。
そのクセの強さから私以外に乗り手はいなかった。

ちなみに私はトップランカーであり、別のナムコ
直営店で行われた大会も制してサイバースレッドの
覇者『ビークル・ザ・ビークル』の称号を持つ男。

・・・だから何やねん(笑)

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