クラブ活動と私#3


※前回までのあらすじ※

開かれたるは、異世界への扉。
待ち受けたるは、邪教徒の誘い。

ロードスという名の島がある。アレクラスト大陸の南に位置する辺境の島だ。大陸の住人の中には、ロードスを、“呪われた島”と呼ぶ者もいる。

水野良/安田均『ロードス島戦記 灰色の魔女』冒頭より。

クラブ見学の場の展示品としてはおよそ似つかわしく無い”メタルフィギュア”という異質な存在、思わず足を止める見学者にしてTRPGプレイヤーの4人。

その様子を見て、同じく見学者だった新入生Hくんが声を掛けてきた。
「貴方は暗黒神ファラリスを信じますか?」と。

暗黒神ファラリスとは、冒頭の引用文にある小説『ロードス島戦記』や、その舞台となる世界”フォーセリア”での冒険を楽しむTRPG『ソード・ワールドRPG』に登場する六大神の1柱で、一般的には邪神・暗黒神として恐れられている架空の神様である。

実は私の学年が高校に入学する直前に『ソード・ワールドRPG』のルールブックが発売され、ちょっとした話題になっていた。Hくんは我々の様子を見てピンポイントに切り込んできたのだ。

そんなやり取りを展示品の向こう側で1/144ズゴックEを組み立ながら窺っていた2年生のY先輩が
「こんにちは。いらっしゃい。」
と楽しげに、そして意味ありげに挨拶してきた。

私達4人は理解した。
ここは”そういう場所”なのだと。
※違います先輩方ごめんなさい。

後日、入部説明会には我々4人とHくんを含む1年生十数人、そして”部長”Y先輩の姿があった。

こうして私の高校生活の大部分を占めると言っても過言ではない、創作部員としての活動が始まったのである。

ここからは余談ではあるが、それまでの創作部は圧倒的に女子の部員が多かったそうで、当時の2年生もY先輩を含め2人しか男子部員はいなかった。
ところが私の学年以降、男子部員が多い学年と女子部員が多い学年が年度ごとに入れ替わるようになっていったのは創作部七不思議の一つである。
(私たちが卒業した後もしばらくそんな感じだったそうだ。)

そんな環境であるから、様々なイベント事や複雑に入り組んだ恋愛模様等々、それだけで青春ドラマの1本でも書けそうなエピソードには事欠かないのだが、それはまたいずれ機会があればお話しようと思う。

”あの日”に帰りたい・・・。

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