見出し画像

クラブ活動と私[番外篇 ]:八坂神社と私#2

※前回のあらすじ※

クリスマスイブ、小雪舞う京都・四条河原町。
和の色彩溢れる古都、入り混じる淡い恋模様。

『初詣の下見ツアー』に偽装されたダブルデート。
まずは定番中の定番、映画鑑賞である。

ここでもう一度人間関係を整理しておこう。
参加者は1年の私と、私の幼なじみのK君。
そして2年の氷子さんと、その親友の玉ちゃん。
私は玉ちゃんに、氷子さんはK君にそれぞれ
”想い”を秘め、私と氷子さんは「協力関係」にある。


どうにか運良く横並びに4席確保する事が出来た。
そして早速”駆け引き”が始まる。

『誰がどこに座るのか』である。

女性陣は通路に近い席のほうがいいだろう。
となると左側2席は氷子さんと玉ちゃんとして・・・。

氷子さんはこのツアーを率先して企画するような
積極的なタイプの人。
ペンネームとは相反して情熱的な人でもある。
その目鼻立ちや纏っている空気もどことなく
エキゾチックな雰囲気の、なかなかの美人さん。
特別似ているというわけではないが、
元フィギュアスケート選手の安藤美姫さんを
イメージしていただくとわかりやすいかもしれない。
氷子さん、実はこれまでにもK君に
さり気なくアプローチはかけてきているのだ。

玉ちゃんもそんな様子はよく知っているので、
氷子さんの矢印がK君に向いている事は
おそらくわかっている。
あるいは事前に相談されていたのかもしれない。

この時点で私と先輩方の狙いは一致している。

『氷子さんの隣りにはK君を座らせる。』

私は氷子さんに軽く目配せすると、さっさと
通路から1番遠い中央寄りの席に座った。
その隣りには当然K君がくる。
そして氷子さん、玉ちゃんと順に席に着く。
完璧である。実に自然に、そして思惑通りに
事は進んでいる。何も知らないK君をよそに。

実はこのウラにはもう1つの思惑が隠されている。
この席の並び、私は玉ちゃんから1番遠い席にいる。
それでいいのである。

隣りになんて座られた日にゃ、映画なんか
まともに集中して観られるわけないやん。

その時の私は、とにかく氷子さんとK君との間に
何かしらのキッカケを作りたいと考えていた。
そんなところに玉ちゃんが同席している。
氷子さんは氷子さんでK君の様子も伺いつつ、
私のサポートにも気を配ろうとしてくれている。

落ち着かない。気が気でない。

それくらい余裕のない有り様だった。
そんな中で玉ちゃんの隣りに座る・・・うん、無理。
なのでこの並びで良かったのだ。

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part2のラストシーン。
Part1のクライマックスでもありPart3へと物語は続く。

未来に送り返したハズのマーティが再び
1955年のドクの元に現れドクが気を失った後、
私たちは商店街を散策しながら目的地である
八坂神社へと向かうことに。

道中、玉ちゃんは京都ならではの和柄の小物などを
楽しそうにあれこれ物色していた。

氷子さんが”エキゾチック美人”なら、
玉ちゃんは典型的な”和風美人”そのもの。
丸顔でおっとりとした性格、そしてふんわりした
雰囲気の、和服のよく似合う人。
書道ではその気になれば教室を開けるほどの高段者。
茶道も嗜み、絵も文筆も達者。
なのに進路は何故か理系。
なお本人は全否定するが少々”天然”気味である。
ここまで書くと何かお嬢さまのような印象を
受けるかもしれないが、あくまで当人のスペックが
高いだけで、別段裕福なご家庭にお生まれだったり
するわけではない。
書道はともかく、他はあくまで趣味の範疇らしい。

創作部メンバーで行った夏祭りに浴衣姿で
やって来た玉ちゃんに私は『一発K.O.』された。
ちなみにこの1週間後、初詣には振袖姿で
お越しになられた。
見惚れるなという方が無理ですよ先輩。


ところで私と氷子さん、それぞれの”想い人”には
ある共通点がある。
それは『”超”がつくほど鈍感』という事である。
だからこそ私と氷子さんは協力しあっていたのだ。
特にK君のそのテのことに対する無関心ぶりは
筋金入りで、高校3年間で数人の女の子が
泣くハメになったのを目の当たりにしている。

なのになんでモテるのコイツ・・・

幼なじみのオレは”相談窓口”だったから
それはまぁ大変だったんですけど。


脱線しまくりでいまだ目的地にも着いていないが
続く。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?