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劣等感  ~HSP気質をもつ私の人生史ブログ①~

🌻 第1話 人生初の人間ドック 🌻


その年はなぜか、人間ドックを受けてみようと思ったのです。
午前中の早い時間帯から予約を入れていた私は、急いで身支度を済ませると健診センター行きのバスに乗り込みました。

息を切らせながらセンターに到着。
目の前には広々としたフロアが広がっており、
検査着に着替えた人達が、スタッフに案内されながらその場を行き来していました。

私は幾分緊張していました。
胃カメラや超音波検査など、初体験となる検査が含まれていたからです。


いくつかの検査を済ませた後、私は技師さんの待つ超音波検査室に入りました。
無機質な部屋に通された私は、手慣れた手つきで準備を整える技師さんの姿を見て、安心感から身をゆだねていました。




「少し冷たいですよ。」

地肌に伝わるひんやりとした感覚。
指示された通りに診察用ベッドの上で仰向けになると、技師さんはチューブからジェルのようなものを捻り出し、私のおなかの上に伸ばし始めました。
片手に持っていた操作器を何度となく前後に滑らせながら、技師さんは画像を確認している様子でした。

『そろそろ終わる頃かな…。』
私はそう思ったものの、技師さんはなおも念入りに検査を続行。
その“念入りさ”になんとなく違和感を覚えたものの、慎重に検査をしてくれているものだと、その時は思ったのです。




予定されていた検査を全て終了し、ロビーでホッとしていたのも束の間。
診察室に呼ばれた私は、医師から説明を受けました。

  • 腎臓の中にシコリが見つかったこと。

  • 大きな病院で精密検査を受けるように。

検査結果の用紙を見ると、“左腎臓”、“腫瘤あり”という文字が目に飛び込んできました。
『腎臓?… 腫瘤…?』
自覚症状もなく、腎臓について特に意識することなく生きてきた私は、突如として入ってきた言葉を見て思わず目が点になったのです。


医師から説明を聞いた私は、言われるがまま別の窓口へと向かいました。
「ここから近いところだと…、○○病院、○○病院などありますが、ご希望の病院はどこかありますか?」
奥の詰所から出てきた看護師さんが、私に声をかけてくださいました。
どの病院を選べば良いのかなんてすぐに判断がつかなかったし、そもそもどんな病院があるのかさえ、分からない…。
それでも、『すぐに再検査を受けなければ。』との思いに駆られたため、私はいくつかあった選択肢の中から大学病院を選びました。



私は検査を受けたその日のうちに結果を聞くことになり、再検査の日取りを決めました。
今までに何度も健康診断を受けてきたのに、精密検査が必要と言われたのはその時が初めて…。
一気に不安が募るなか、私は頭の中をフル回転させていたのです。


動揺しながらも、なぜ、すぐに再検査を受けようと思えたのでしょうか。
理由は2つあります。
ひとつめは、「危機意識」のようなセンサーが働き、すぐに再検査を受けないといけないような気がしたからです。
そしてもうひとつに、亡き父の存在がありました。


私が6歳の時に、父が倒れました。
その数日前、父は前ぶれとされる症状に襲われて受診したものの、早期発見には至らなかったのです。
結果、脳血管が破裂し、後日救急車で運ばれる事態になりました。


父が倒れたことで、本人の人生だけでなく家族のその後も一変することになりました。
そのため、“早期発見、早期治療”という言葉が、私の頭の中に刷り込まれるようになったのです。


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