【参加者インタビュー】#1石川和之先生

学校版MBAのプログラムが始まって2か月ほど。今回は、参加者の方に、本プログラムに参加した経緯やワークに取り組む中での気付き等をインタビューしました。




ー自己紹介をお願いします。

石川和之です。神奈川県の公立小学校で副校長をしています。公立小学校一筋でやってきました。当時、教員採用試験って狭き門で、実家の福岡県と教員試験の日が違う横浜市で北海道と受けました。そして、横浜で現役で受かって、そこから担任20年間。去年から副校長という感じです。

授業づくりに情熱を注いだ20年間

担任時代20年間は、もう本当に子供と対峙する時間が楽しかったんです。まあ、いわゆる学級崩壊も経験したんです。でも、次はこういう学級経営、こういう授業づくりをと考えていました。
目指す先は45分間、僕が喋らない授業。キムタクのヒーローってドラマに、マスターが出てくるんです。キムタクが「これある?」って聞くんですよ。そしたらマスターが真顔で「あるよ。」ってなんか出してくるんですよ。俺が目指すのは、それなんです。
子どもが考えたり話し合ったりして、問題を解くために、持ち寄った資料や事実だけでは分からないときがあると思うんです。「先生、ここまで分かったんだけど、ここが分からないの。でもね、みんな頑張ったけど、見つからないんだよ。何かある?」って聞いたときに、真顔で言うんですよ。「あるよ。」って。
子ども自身で「あっ、分かった。」ってなっていく。分かっていく中でも、分かんないこともあるよなって言う。その分からないことが分かるようになることが、実は一番面白い学びであると思うんです。ずっとそういう授業を目指してきました。

ー授業づくりに情熱を注いでいた石川先生。学級担任と管理職は、やはり大きく違うのでしょうか。

「学び直さなきゃ」という思い

いざ管理職になってみたら、まあ、モチベーションが上がらないんです。子どもと関わる職員と関わるから、「職員室で学級経営ができるんだ。」と言われるけれど、やっぱり違いますね。よりよい授業のために教材研究をしてきたので、何を目指すのかということが急になくなった感覚でした。その中で、いわゆる学び直さなきゃいけないと思って、今回のプログラムに参加をしました。

学校文化に閉じられた教員

僕たちって学級経営をしてきて、組織を作っているわけです。どちらかと言うと、組織マネジメントみたいな話は得意なはずなんですよね。ただ、井の中の蛙のように、学校文化の中にしかいないわけです。管理職として、大人に対しての組織マネジメントという意味で、僕は下手だなと思います。先生たちがもっと力を発揮できるような声掛けなり、動き掛けなりができたらいいんですが、難しい。そういったノウハウは、民間でコンサルティング会社などで働いている皆さんの方があると思います。人を巻き込む力、説得力のあるプレゼンなど、学ばなきゃいけないなと思いますね。

ーこれまでとは異なる「学び」を必要とされている中で、出会った学校版MBAのプログラム。これまでのワークの中でどんな気付きや学びがあったのでしょうか。

自分の強みとビジョンの整理

田原さんからの課題で、「自分の好きを分析する」のは、自分の自信につながりました。20年間、どんな仕事をしてきたかってまとめる作業をして、結局20年間自分は何を目指してやってきたのかを考えましたね。具体的にやってきたこととか、自分の立場の変化を整理できました。これまでもやってみたいなと思っていたけど、こういう枠がないと中々やらない。課題として取り組むことができて良かったなと思います。その中で、自分がやって来たことをやっぱり自信としていいんだなって思えたことは、面白かったです。
ですが、僕の強みは学級経営や授業づくりだったので、学校づくりのビジョンとどうつなげるかってなると曖昧です。学校づくりとはかけ離れてたり、納得感のある根拠になりづらいという思いもあるんです。それが今の悩みどころでもあります。

あとは、僕がやってきたから、先生方に「僕がやってきたことと同じようにやってください。」は違うと思うんです。先生たちって真面目だから、それぞれなりに必死でやってるんですよね。
でも、まだ「教えなきゃいけない。」というスタンスが強い。もっと子どもに委ねて大丈夫なんですが、中々そうならないですよね。そこのバイアスが取れるような学校経営ができると面白いと思うんです。

ー子どもを真ん中に置いて、学級や学校づくりを考えていらっしゃることが伝わります。子どもに委ねることで、どんな学校づくりが実現できそうなのでしょうか。

ぼーっとしている子を、そのままにしない

結局は子供一人一人が「面白い。やってみよう。」って思いさえすれば、どんどん学んでいくんです。でも授業の様子を見ると、途中でわかんなくなって上の空になる子、先生に怒られるからとりあえず座ってようとする子がいる。でも、僕らはそれを子どものせいにしがちなんですよね。本当は、子どもたちの「なんでだろう?」っていうポイントをくすぐりさえすれば、学んでいけるのに、それをしない教員が子どものせいにするというのは良くないですね。
授業の中でぼーっとしてる子を、そのままにしないことが重要だと思います。でもそれを、管理職として教員に言えていないのが現状です。そこに切り込んでいきたいんですが…。

まだ義務教育だから子どもが来てくれるものという意識がある。選ばれる公立学校を作っていかなきゃいけないと思うんです。その受け身の文化をどうしたら変えられるかということと、僕のやろうとしている仕事がリンクしてくると、これは僕自身のモチベーションが上がるなと思っています。そのリンクする部分を探すのが、今の関心事です。

ーワークに取り組む中で、目指す学校づくりや子どもたちの姿が描かれてきた印象を受けました。通常業務をこなしながらこのようなプログラムに参加するのは、負担が大きくないでしょうか。

正直なところ、ワクワクしながらやってるんです。土日の仕事にはなりますけど、面白くやっています。むしろ整理してみたいなと思っていたけれど手を出せていなかった部分に、課題として取り組めています。他の仲間というか、全国にいらっしゃる方とも交流できて、この雰囲気はすごく嬉しいです。

ーありがとうございました。最後に、未来の教育リーダーに向けて一言お願いします。

私自身がそうでしたが、クラス担任という現場は本当に楽しい。目の前の子どもたちと共に、悩み、苦しみ、ときに「そうだったんだ!」と新たな発見を喜び合う。そんな日々はもちろん楽しいんですが、「5年後、10年後、20年後の学校教育はどうしていくべきか」、そんな大きなビジョンを描いていく仕事にも、ようやく楽しみを少しずつ見いだしていけるようになってきました。そのきっかけの一つが、今回参加したプログラムです。管理職、経営職、これからもさらに楽しんでいきたいです。

ー子どもを真ん中に置いた学校経営を目指されていることや管理職となって学び直しの必要性を感じ、取り組まれている様子がとても伝わりました。ありがとうございました。


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