【参加者インタビュー】#3正路進先生

今回のインタビューは、プログラムが始まって3か月ほど、中間発表前の時期に行いました。プログラムに参加した経緯や自己分析講座や学校の課題研究講座などに取り組んだ感想、今後のビジョンなどをうかがいました。



自己紹介と参加理由


ー最初に自己紹介をしていただけますか。

正路といいます。宝仙学園小学校に勤務をしています。新卒からなので31年になりました。教頭としては6年目です。出身は三重県なのですが、縁があって宝仙学園小学校にずっと勤めています。

ー【学校版MBA】スクールリーダーシッププログラムに参加したのは、なぜですか。

本校には、平井先生がアドバイザーとして関わってくださっています。ICTやGIGAスクール構想などについてお話をうかがっていました。そんな時に、平井先生から「今度こういう【学校版MBA】という研修をやりますよ。」とお声掛けをしてもらいました。これはとてもいい機会だと思って参加をすることに決めました。
日頃から、「こういう取組が必要だ。」「これを変えていきたい。」と思ったり、話したりすることはずっとあったのですが、中々実践というところに結びつかない課題感を持っていました。実践したいことをリストアップして次こそはとかいつかはとか思ってはいるのですが、実際に動くとなると、学園全体の話であったり、他の職員との連携が必要であったりするため、難しさがありました。
平井先生から、「やらなくてはいけない、変化していかなくてはいけないと感じていることに関して、実践できる形にしていきましょう。」という説明をしていただいて、参加しようと思ったのです。
半年間という期間を決めて取り組むことで、実際の課題としていることに対する解決策まで近付けるのではないかと考えていました。

学校の課題感

ー本プログラムの受講にあたって、学校における課題はありましたか。

学校では、新しい取組や実践が加速しない停滞感が課題だと思っています。不安やリスクが先に立ってしまったり、これまでの学校に合った習慣を崩しづらかったりすることがあります。
コロナ禍を経て、「今変わっていかないと時代遅れになる危機感」を抱くようにもなりました。時代や求められる教育が変わっていく中で、変化しない学校は求められなくなると思うと、これまでの学校についても見直しが必要だと思います。
若手の熱意ある先生もいるので、自分も一緒に将来につながることをしていきたいですし、加速させられたらいいと思っています。自分が周囲の先生方を納得させられるようになることも必要だと思います。

感じている本プログラムの手応え

ー実際にプログラムに参加されてみて、手応えはありましたか。

考えることを習慣づけられていると思います。課題があるので、考えるきっかけになりますし、それを人と話したりフィードバックをもらったりすることも嬉しいです。ここに集まっている方たちの考えが、自分にとってはすごく刺激になります。
先日取り組んだロジックツリーの課題では、キーワードが繋がったり、物事の関連が見えたりして、すごく整理されたと思います。そのように、自分の考えを見つめ直したり、整理したりする機会が継続的にあるというのは、とてもいいと思っています。日頃は、通常業務や行事ごとになると忙しくてそのままになってしまうことも多いので、自分の中で考え続ける機会になりました。 

また、経営者としての意識も高められると思います。管理職になってからでないと、先生たちのマネジメントの意識というのは持ちづらいです。まだ教頭になっていない教員時代にも、学園としての方向性を考えていたつもりでしたが、深くは分かっていなかったなと感じました。
管理職の研修プログラムとして、経営的な目線や、組織に対してメタ的な視点で考えることができるのがメリットだと思います。全体を見て、先を見通して考えることが増えましたね。

勤務校での課題解決の取組

ーこの講座の目標は各勤務校の課題解決ですが、どのようなことをお考えでしょうか。

管理職が、これまでよりも発信していくことが必要だと思っています。今考えているのは、2月に保護者を巻き込んだ企画です。管理職企画として、ゲストスピーカーとして保護者の方を呼び、仕事や専門的なことについて話してもらう予定です。これまでも、保護者の方の専門的知識や仕事について、授業に参加し話してもらうような機会は、意欲のある教員が一部で実施していた形はあったのですが、今回は、管理職企画として進めたいと思っています。学校が、先生も保護者も子どもも共に学べるような場になるようにしていきたいと思います。
そのような取組を管理職発信で行うことで、学校の方向性を示していくことができると考えています。管理職が学校の中心になり、発信していくことで、他の教員も巻き込んでいくことができるかなと思います。そのためには、まずは管理職から動いていくことですね。

他にも、複数担任制の組織を構想しています。一人が学級担任になることで、学級王国になる場合があります。それが一部の児童とは良い関係を作り出す面もあるかもしれないのですが、教師と子どもの関係があまりうまくいかなかったり、保護者対応の難しさが出てきたりすることもあります。複数の教師が学級に関わることで、いくつもの目で子どもを見ることができるので、それは子どもにとっても先生にとっても良いと思います。実際にやるとなると「どうやるの?」「できるの?」という反論もあると思うのですが、具体的な方向性を示して全体に提案できるのは管理職かなと思います。

また、宝仙学園は、5年後に100周年を迎えます。それを良い機会として、「宝仙ならではのカリキュラム」にも取り組んでいきたいと思っています。探究学習や情報教育が必要とされていますが、次の100年に繋がる教育はどのようなものか考え、アップデートしていく必要があります。本校では、教科学習の時間数確保を大切にしていたり、総合的な学習の時間が十分に確保できていなかったりする現状があります。探究にしても情報教育にしても、低学年から積み上げていくことや時間がしっかり確保されていることが大事になります。学年を越えて体系的に学べるようなカリキュラムや、教科学習と専科の先生の授業をかけ合わせてコラボレーションしていく学習なども「宝仙ならではの教育」として作っていけると良いと思っています。

「未来の教育のリーダー」へメッセージ

ー聞いていてワクワクするような取組ばかりですね。実現されることを楽しみにしております。最後に、「未来の教育のリーダー」である読者の皆様にメッセージをお願いします。

自分も若い時には深く考えず、目の前のことをこなすことで精一杯だった部分がありますが、改めてこのような研修の機会に出会い、今までやってきたことやこれから取り組みたいことが、明確になってきました。参加する意義が大いにあると思います。と言っても、実は、私も最初はどうしようかなと参加を迷っていました。誰しも新しいことや知らないことは、怖さがあったり不安が出てきたりすると思います。しかし、この研修に参加して、他校の先生と一緒に話したり、メンタリングしていただいたりすることで、自分の考えや世界が広がったことは間違いないです。
今まで、学校の外から自分の学校や教育活動について考えてみようという今回の”学校版MB”のようなプログラムは少なかったと思います。自分の新しい手立てや教育の未来が見えて来る機会になると思うので、是非飛び込んでみたら良いと思います。

—宝仙学園小学校から、新しいカリキュラムや取組が公立の小学校にもどんどん広がってほしいと思いました。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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