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勇者のお仕事1巻【旅立ち編】

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#一次小説

10話 いっときの出会いと別れ

10話 いっときの出会いと別れ

10話 いっときの出会いと別れ

「おいおいロニー。お前踏み台壊したって?」

 軽食屋の店主はロニーの顔を見るなりニヤリとからかうように笑う。

「俺が壊した訳じゃない」ロニーは弁明するように口を尖らせ、「前からガタはきてたんだ。直そうにも釘を切らしちまってて…」

「釘はどうしても錆びやすいですからね」

 両脇に抱えた材料を一旦おろしたジャスティスはその場で胡座をかいて木材の端を削り始めた。

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プロローグ

プロローグ

プロローグ

 ――辺り一面真っ白な空間に佇む一人の男性。

 男性の足元にはポッカリと穴が開いており、その穴の先から覗くのは『とある村』。

 男性は徐に右腕を正眼に構える。少し開かれた手の平から淡い黄色の光球が産まれる。

「……ごめん」
 光球を握りしめるかのように拳を作る。
「…君に託すよ」
 言いながら、拳を足元の『とある村』に向け、ゆっくりと開いた拳から眩い光が放たれた。

 放たれた

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