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陰口に悩んだときの認知行動療法

学校でも職場でも、陰口さえなければいいのにと思うことが何度かあった。陰口から受けるダメージを減らす方法はないかと思っていたら、つい最近、noteで本を紹介してくれた人がいて、認知行動療法というものを知った。これは効果がありそうだと思い、試してみた。

陰口は無くならない

仕事の悩みの大部分は人間関係といわれている。
私の場合、誰かの陰口とか批判を聞くだけでその日は落ち込んでしまうので、そういうことをいつも言う人が近くに来るだけで、今日はおとなしくしてくれ、仕事の話以外言わないでくれと願っていた。

直接言われることは無くても、他人が言われているのを見聞きするだけで落ち込んでしまう。自分もどこかで同じようなことを言われているんだろうなと思ってしまい、さらに落ち込む悪循環に陥る。気にしなければいいだけと言われるが、それができない。

陰口を気にしない方法を探る

働いていたころは聞き役に回ることが多くて、人の発言をとりあえずいったん受け止めるように心がけていたのが災いしてか、事あるごとに一緒に働いている人や会社の文句を言いに来る人が職場に何人かいた。

また来た!と思いながら、何か悪いことをいいかけたら、机にいつも入れてあるお菓子を取り出して、とりあえず食べさせて口をふさいだり、全然関係ない仕事の話に持ち込んだり、あの手この手で対策した。

あんまり雑に扱うと、すぐに陰口の対象になるし、そういう人にはとりまきがいて今後の仕事がやりにくくなるので、慎重にいかなければならない。陰口を言う人の多くは、直接話す分にはいい人が多いのだが、しかし人間うまくいかないとき、身近な誰かを落として満足したくなる人もいる。

今まではダメージを受け続けて元気が出なくなることがあったが、どうせ避けられないなら、陰口を聞いても心の安定を保てる方法がみつけられれば、今後の人生の中で大きな助けになるはずだ。

認知行動療法を試す

つい最近、認知行動療法というものを知り、試してみた。
認知行動療法とは、何らかの出来事をマイナスにとらえてしまってつらいときに、マイナスの度合を緩和し、できれば前向きな考えに導くための方法だ。

職場で陰口を聞いたときを例に、認知行動療法を用いて対処してみる。
やり方だが、以下の画像の7つの手順に沿って出来事と感情を分析していく。

認知行動療法の7つのステップ(NHKホームページより)

①出来事:
 職場で陰口を聞かされた
②感情:
 悲しい30%、落ち込み50%、不安20%
③ネガティブな考え:
 その場にいたくない、聞きたくない、逃げたい
④考えの根拠:
 陰口を聞くこと自体が嫌だから
 私も言われていると思うと怖くなるから
⑤考えへの反証
 なぜ陰口を言うのだろう
 陰口に中身があるのか
 言われても実害は無いのでは
⑥別の考え:
 言う人も不満を吐き出しているだけ
 言っている内容はどうでもいい内容なので気にせず流そう
⑦感情の変化:
 悲しい10%、落ち込み20%、不安10%、無関心60%

出来事を経験して最初に生じる考え(③ネガティブな考え)を、自動思考と呼ぶ。第一印象と言いかえることもできる。今回であれば、陰口を聞いて、その場にいたくない、聞きたくないと思ったことだ。

自動思考によるマイナスに対処する方法

この自動思考は振れ幅が大きくしかも気分に左右されやすいため、物事を極端に悪いほうにとらえて、マイナスの感情を呼び出してしまうことがある。
今朝の天気がくもりだから、陰口がどうしようもなくつらく感じるが、晴れだったら受け流していただろうということもありうる。

このことを意識していないために、マイナスの感情をそのまま受け止めてしまい、行動に影響し、生活に不利益が出てくることがある。

認知行動療法を知る前は、自動思考から生じた強いマイナスの感情を真正面から受け止めてきた。具体的には、
◆嫌なことを跳ね返す強い気持ちを持つ
◆我慢する
◆酒を飲む
等の方法で対処してきた。

しかし、認知行動療法を用いて、マイナスの感情が自動思考の誤りに起因しがちなことに着目した結果、根性とか我慢という原始的な方法ではなく、もっとスマートな手法でマイナスを減らして、生活への悪影響を抑えられる可能性があることがわかった。

◆自動思考とそのとき生じた感情を分析する。
◆自動思考とは別の考え方ができたのではないかと考えてみる。
◆再び感情の変化を分析する。

今回の例であれば、陰口自体には中身のないこと、言う人はただ不満をまき散らしたいだけの可能性が高く、気にする必要がないと思えたことで、マイナスの感情の大半が無関心に変わり、気持ちの落ち着きを取り戻せた。

認知行動療法は、感情がマイナスに偏ることを防ぐ防波堤のようなものだ。感情の波を防げなくても、一歩引いて感情を受け入れる行為を行うことで、それだけで落ち着きを与えてくれる。マイナスのまま変わらなかったとしても、少なくとも感情の波は耐えられるレベルまで小さくなる。

認知行動療法の効果

認知行動療法を試してみて、確かに気持ちが楽になることがわかった。
自分の感情をちょっとはうまく扱えるようになった。今回みたいに認知行動療法のような有効な方法があればどんどん活用していきたい。

しかし課題も見つけた。慣れていないからか、無理やりポジティブな結論へもっていきたいという意識があり、やってみて不自然な消化不良な感じが残った。

ずっとポジティブでいられたらいいが、何か無理しているというか、心地よくない気がする。感情の扱い方は人それぞれだが、自分の場合は、できればマイナスの感情も認めて受け入れて、苦しくない生き方をみつけられたらいいと思った。


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