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しゃべりすぎる作家たちのMBTI(1)ー2:キャスティング編

今回「しゃべりすぎる」のは書いている私です。「八犬伝」の話を始めると、どうしても自分の解釈や演出を人に伝えたくなります。もう20年以上前ですが、漫画家の碧谷ぴんく氏の「八犬伝」「ブラインド・ゲーム(ニューエイジ八犬伝)」を愛読し、そこはそういう解釈で来たか、などと勝手に作者と対話している気分に浸っておりました。

この物語、キャラ立ちがよく波乱万丈のストーリー、ということで、映像化も多い。が、ダイジェストにあたって何を重視するかはもちろん、キャストにもどこかイマイチ、と言う感じがするのですね。監督の解釈で登場人物の背景や結末を変えてしまうのも多いし。例えばNHK人形劇の「新八犬伝」のラスト。一応はハッピーエンドの原作とは全く違う謎に満ちたもので、リアルタイムで見ていた時は「何これ?」と思った。いいかげんトシ食ってみるとたいへんに面白いと思えるのだけど。

自分がこの話を映像化するとしたら?基本的なストーリーは変えたくないので、時間制限のある単発作品にはできない。キャラはそれぞれに複雑な背景を背負っているので、対象視聴者はその陰影を理解できる年齢の大人。できればTVの連続ドラマ。主要キャラの登場前の話は多少端折るにせよ、大きなエピソードは一回あるいはそれ以上の時間をとりたいので、1クールでは終わらないかも。期間は長くなるが、この話、1回ごとにかならず見せ場が作れるので、視聴者が退屈することはない(でしょうね)。

以下、ネタバレもあるし、「八犬伝」をまだ読んでいないという方々には分かりにくいかもしれないが、主要キャラの紹介(八犬士には私の解釈でのMBTI診断つき)とキャスティング案を挙げてみた。役者の方々(以下敬称略)の年齢が原作より5-10歳くらい上なのだが、江戸時代に比べて現代は「若さ」を保てる期間が長いので、外見で老けすぎには見えないと思う。

里見家関連
里見義実
悪女の呪いで姫を犬にやる羽目になった殿様。武勇に優れた人格者だが、やや軽はずみ:松重 豊

玉梓
傾国の美女。仕えていた殿様を堕落させ、彼が里見に滅ぼされたとき、一緒に処刑される。後々まで里見を恨み、怨霊となって様々の災いを引き起こす:北川景子
―2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の毒々しくヒステリックな淀君のイメージでー

伏姫
玉梓の呪いで犬に嫁すことになった姫。山中で犬と暮らしているうちに神性を獲得し、死後は里見を守護する姫神となる:飯豊まりえ

、大法師(ちゅだい法師。元は豪勇の武士で伏姫の婚約者。姫の死後僧となって八犬士を尋ね歩き、里見家の因縁を伝える。僧名は「犬」の字を2つに分けたもの:岡田准一

八犬士(登場順)
犬塚信乃(INFP)
「孝」の玉を持つ。父は足利氏の一族に仕えた武士であったが、戦傷で引退。信乃は遅く出来た一人息子で、男の子は病魔に魅入られやすいという俗信から、元服まで女装させられていた。が、実際は長身のスポーツマンタイプ。両親には従順で孝養を尽くしたものの十代前半で他界される。真面目で潔癖で、全編を通して一番ヒーローらしい役柄を与えられているが、一方では感じやすく脆い感じもする。:佐藤健 or 坂口健太郎
―子供のころの女装と、なんとなく保護欲をそそるところがある、というので女性的な外見で描かれる場合もあるが、原作では「女の子には見えない」と明記してある。これまでの作品では、2006年の正月ドラマの滝沢秀明が似合っていた―

犬川荘介(ISTJ)
「義」の玉を持つ。幼児の頃両親を亡くし、信乃の伯母の家で下男として育つ。信乃と出会って元は由緒ある武士の出であることを知る。登場回数は多いが、初めは信乃、後には小文吾のサブ役が多く、デキるが表に立たないタイプ。一緒に仕事すると一番頼りになるでしょう。:神木隆之介

犬山道節(ESTP)
「忠」の玉を持つ。裕福な地侍の息子。父とその主君の仇を討つため、修験者に扮して諸国行脚をしている。火を用いた忍術を修めており、登退場は派手。ケレン味が強くてカッコつけてるわりにはずっこけ場面も多く、人違いで事態を紛糾させることも:山田裕貴

犬養源八(ENTJ)
「信」の玉を持つ。安房の漁師の子に生まれるが、幼いころ足利幕府の関東支部の一つ古河城主の臣下の養子となる。明るい正義感ではあるが、原作に従えば冷静で状況判断に優れ、登山隊の隊長などに向くと思える。元々は古河城の捕吏で、十手が得意技。曲者と間違われた信乃と高楼で戦う「芳流閣の場」は前半の最大の見せ場の一つ。:竹内涼真

犬田小文吾(ESFJ)
「悌」の玉を持つ。宿屋の息子で、犬士の中では唯一まとも、というか市民的に育っている。また唯一同母のきょうだいを持つ。源八とは幼馴染。強力無双、「気は優しくて力持ち」だが、オツムが弱いわけではなく、暗殺や冤罪の危険は早めに察知して予防手段をとる周到さも持ち合わせている。
大沢たかお

犬村大角(INTJ)
「礼」の玉を持つ。少年時に武芸の道場主だった父が化け猫に殺され、父になりすまして帰ってきた猫に疎まれて叔父の家で育つ。満たされない気持ちをお勉強に没頭して紛らわす秀才タイプ。源八の助けで化け猫を倒すが、その途中で愛妻が犠牲になり…。仲間は得てもどこか翳りが消えないところがある。:杉野遥亮

犬坂毛野(ISTP)
「智」の玉を持つ。名門の武士の側室の子だが、父と正室、異母兄姉が政争で殺され、敵の追及を避けるため女性として育てられる。女軽業師、乞食、香具師と様々に姿を変えて仇を付け狙う。暗い育ちのせいで仲間にもなかなか心を許さないツンデレ。地頭がよく機転が利くが、学校のお勉強はしないほう、でしょう。:板垣李光人
―この役、女性が演じることもあるが、宝塚の男役風だとかえって豪快になってしまい、「敵の目を欺くための女装」という意味が薄れてしまう。「どうする家康」で板垣李光人が町娘の踊りに混じって家康を襲う場面を見て「これだ!」と思った。―

犬江親兵衛(ENFJ)
「仁」の玉を持つ。小文吾の妹の息子、つまり甥だが、赤ん坊のときに両親が亡くなり、数日後に神隠しに遭う。実は神と化した伏姫のもとで育てられていた。実年齢で5歳くらいの時に16歳くらいの超能力少年として登場。一気に犬士のトップに躍り出る。神の加護で何でも超一流だが、ご立派なことしか言わないのでこいつが出てくると退屈…というのが私の本音:菅田 将暉
―原作どおりのキャラを反映できる役者さんが見当たらないが、「鎌倉殿の13人」で見せたガキ大将的義経の元気さと無邪気さを買って。ちなみに、1983年のKADOKAWA映画「里見八犬伝」はアイドルを見せるだけで、ストーリーもキャラもめちゃめちゃに崩してあったが、当時はピカ一の若手アクションスターだった真田広之の親兵衛は光ってました。ー

主要女性キャラ
浜路
信乃の伯母の養女。道節の異母妹。強欲な義母は信乃の父が主君から預かった宝刀目当てで彼女を信乃の許嫁とする。親の決めた縁談とはいえ、二人はやがて相思相愛。信乃の留守に浜路は宝刀を狙う別の武士に誘拐され、刀を守り通して殺される。純情一途で普段大人しい割には愛の告白は積極的。死後その魂は同名の別の美少女に乗り移り…:浜辺美波
「ゴジラ-01」を見て思ったが、若かりしころの吉永小百合に似てませんか?―

・船虫
八犬士の行く先々に表れて彼らを陥れようとする悪女。見た目は優し気で可愛いが、心の中は悪だくみに満ち、人を陥れるのを楽しんでいる。殺しも平気。最後は憤慨した犬士たちに惨殺される。私の解釈だと、彼女は「悪」でありながら「悪」を知らない。根は無邪気で、道端に咲いていた花を摘んでみたらそれは人の命だった、というような一種夢幻世界に生きる存在に見える。ある意味鏡花の幻の美女に通じるような気もする。:古川琴音
―「どうする家康」の武田信玄配下のくノ一、秀逸です。途中で善人に変わってしまうのが残念。いつまでも可憐に人を欺き続ける超越した存在でいてほしかった。―

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