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【SS】人工ダイヤ02|54字の物語

ある未亡人のつぶやき

あなたとの日々を形に残したい

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解説(ネタばらし)

『ある未亡人のつぶやき』

ある所に未亡人がいた。

彼女の夫は長い闘病のすえ、なくなってしまった。
夫婦には子どもがなく、夫の忘れ形見は愛猫だけであった。

美しい、白く長い毛を、彼女は毎日といた。
夫と猫と自分と、3人で過ごした日々を懐かしく思いながら。

くる日も、くる日も、彼女は猫へ愛情を注ぎつづけた。

けれども悲しいかな。
猫と人とでは生きる時間が異なる。

しだいに猫が年老いていることに、彼女は気がついていた。

だからそっと。
毎日のブラッシングで出る猫の毛を集めて、箱にしまった。

彼女の夫がメモリアル・ダイヤモンドとして、今も彼女といるように。
猫にもそばにいて欲しいと思った。

ー無理強いはしたくないの。
ー今から集めれば毛だけでも十分な量になるはず。

「あぁ、あなたも私を置いていってしまうのね…」


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