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【読書メモ】『重版未定』

基本情報

タイトル:『重版未定』
著者:川崎昌平

読了日:2024年6月17日
メモ:図書館から


引用と感想

編集長:
この本に読者はいるのか?
主人公:
います
私が読者です
売れようが 売れまいが 知ったこっちゃない
私が 読みたいんです

34~35ページ

わはは!気持ちのいい断言!
二次創作も愛読している身としては、「物語を創るひと」にはそうあって欲しい。「本を作るひと」はそうも言えないのかもしれないが。

編集長:
1万人のための 本ばかり編んでいたら 似たような本だらけになる
そんな本を編みたいか?
どこにでも あるような本を つくりたいか?
本のための 本を編め!

202ページ

弱小出版社の存在意義というか、誇りを示した箇所。
社長の『文化をつくる手伝いをしろ』というセリフも好き。
本を創るひと、本を読むひと、双方あっての文学であり文化なのだろう。


全体まとめ

告白すると、この本、『重版出来じゅうはんしゅったい!』という別の漫画と勘違いしていた。
それも半分近く読むまで気づかなかった。
『重版未定』『重版出来!』どちらの著者にも申し訳ない…。

あとがきで著者も述べているが、この本は近年注目を集めている(大手)出版業界へのカウンター的なものである。
実写ドラマ化までした『重版出来!』では描かれなかった(弱小出版社の)リアルが描かれている。

本編について触れるなら、えらくシンプルな絵柄・構図の漫画である。
こんなにシンプルなのによくドラマ化したな、と思ったほどだ(勘違いだったわけだが)。

『重版出来!』が正統派職業漫画とするなら、『重版未定』は闇落ち系社畜漫画になるか?(そんな言葉はないか)

今の私には正統派青年誌を読み切る体力がないので、『重版未定』のゆる~っとした世界観は逆に助かった。

[個人の同人誌 → Web連載 → 本出版]

「大丈夫!おもしろかったよ!!」と応援したくなる経歴の本である。
(著名な作家先生方、同人作家の先生方、おもしろい本を世の中に送り出してくださり、ありがとうございます)


蛇足

Amazonにて『重版未定』のレビューをみてみると、著者と同業とおぼしき方々の悲喜交々ひきこもごもなレビューが並んでいた。
皆さん、あるあると笑いながら、涙が止まらないらしい。闇深い業界だ。

好奇心で『重版出来!』のAmazonレビューものぞいたが、雰囲気からしてシャンシャンしていた。本に関わる全ての人にエールを送ってた。光!!

この差・・・イイネ!


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