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神がかり的な縁結び

子供の頃は神社の境内が遊び場だった。実家は「神道」。信仰心が深いわけではないが神主さんをはじめ、玉串や祝詞などを見聞きする機会は多かったほうだと思う。
「神道」では亡くなった人は皆、神様のところに行くのでお葬式は悲しみではなく、おめでたいもの。ごく自然に、ご先祖様達はいつも神様と一緒に見守っているのだろう、と思っている。

30歳を過ぎ、妹に結婚を先に越され一人暮らしをしていた長女の私を心配した父は「なんで結婚できないんだろう?」と、こぼしていたそうだ。いや、結婚できないのではなく、その当時、結婚の「け」の字も私の頭の中になかったのだから仕方ない。そんなある日、「出雲系の神道だから一度は出雲大社にお参りしたい」という両親の願いを叶えるため、親孝行のつもりで北海道からツアー旅行へ。

兵庫県で世界遺産の姫路城を見物し、鳥取県では砂丘を闊歩するラクダを眺め、いよいよ島根県の出雲大社にお参りである。今も昔も縁結びで有名な出雲大社。神無月(10月)には全国の神様が出雲に集まりご縁をつなげる会議をするとか。「お参りさせていただきありがとうございます」と簡単な挨拶の私に対し、両隣にいた両親は長いこと熱心に「私の結婚」を神様にお願いしていたらしい。その後、お一人様老後計画を立てていた私は、物は試しと軽い気持ちで結婚相談所に登録。その心構えと設定が甘かったせいか、出会いはあるものの合う人がいない。10人、20人…さすがに40人を超えると、結婚は絶望的に思えた。

だがしかし、おそらく両親の思いに応え、神様とご先祖様達はタッグを組み、協力体制を敷いたに違いない。北海道には私に合う人がいなかったようで、九州出身の夫を北海道に一年間だけ強制的に転勤させるという荒業に出た。3月の出会いをきっかけに7月には結納、9月入籍、11月結婚式と怒涛の勢いで私の人生は動く。あれから20年、この不思議なご縁は今も続いている。

リブリオエッセイの元になった本はこちら↓
 八木龍平著 「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」


ふみサロ提出作品

本の中に「神社全体があの世とこの世をつなぐ場」という一言がありますが、神様と亡くなったご先祖様達が協力したような、日本の神様ネットワークあなどりがたし、と思えるエピソードがモチーフです。

ある占い師さんに「ご主人はご先祖様が連れてきた人ですね」と言われたことがありました。「あぁ~、なるほど~」と不思議に納得したことを思い出して書いてものです。ご先祖様つながりはいろいろありまして、ひとまずきっかけになったかもしれない「出雲大社のお参り」だけにフォーカスした作品。

占い師さんによりますと旦那様の実家のご先祖様が武士で、私の母方の実家のご先祖様が陸奥藩のお姫様だったらしく、「祖母」を介護していたお礼だったのかどうか、北海道に旦那様を連れてきたそうなんです。
先の戦争で樺太から北海道に引き揚げてきた祖母や母、証拠になるものは何もないし、本当なのかどうなのかも調べようがないんですけれども。

「生きていると本当に不思議なことがいろいろありますよね~」ってことで。(個人的にはイロイロありすぎな気がしないでもないですが…)
ともかく両親、神様&ご先祖様、結婚してくれた旦那様に感謝です。

余談ですが、結婚後、出雲大社には夫婦で「御礼参り」をしております。

まさか15年後、ツアー先で訪れた姫路市に4年間住み姫路城がお散歩圏内となり、鳥取砂丘や出雲大社も、姫路滞在時に何度もドライブして楽しむことになるとは…あの当時、まったく想像もしておりませんでした(笑)


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