教室が嫌な僕の好きな時間

教室の生暖かい空気が嫌いだった。

僕は窓を開ける。
夏の日も冬の日も関係なく開ける。
外から吹く風が好きだったから。
教室の空気を一変させてくれる気がしたから。
みんながいつもと同じように会話をしている姿を僕は見てた。
遠くから聞こえてる誰かの陰口。
誰かに良いところを見せようとする男子。
相手に共感するだけの会話。
65平方メートルの教室に40人もの人が入る。
嫌でも目に入る。
嫌でも聞こえてくる。
僕からしたらそんなのはくだらないもの。
そんな風に切り捨てていた。
人付き合いが苦手だった。
クラスメイトと考え方が全く違う。
共感される事が無い。

狭い教室に孤独を是とするものが一人いる。

温度差が違うのが当たり前だ。
でも、そんな教室の中に一つだけ好きな時間がある。
給食の終わりの時間。
ランチルームから戻った換気中の教室の静寂。

誰もいない一人の時間。
一瞬にも満たないその時間が僕は好きだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?