認知症の方との信頼関係が必要な理由

少し記事を書く期間が開いてしまいましたがマイペースに書いていこうと思います。
さて、皆さんは認知症の方との信頼関係の構築についてはどのように思っているのでしょうか?
必要?それとも不必要?どちらでしょうか?
ハッキリ言うのであれば、絶対的に必要です。
私は仕事の出来よりも、信頼関係の有無を優先して職員を見ています。
もちろん介護技術や知識もゼロよりはあった方がいいです。
会社としては介護技術が高い方がいいのでしょうが、それはしょせん介護者側の意見であり、利用者側の意見は全く違います。

例えば、介護技術が高くても低くても、利用者からクレームが出ることは十分にあります。しかし、信頼関係の構築が出来ているのといないのとでは、そのクレームにも差が出ます。
それではどのように変わるのでしょうか。

例:利用者の私物を壊してしまった時

施設に入所しているAさん 85歳 男性
彼は自室で昔から趣味で書いている絵が置いてあります。
ここ最近「新しく書きたいものができた」と言い、寝る前に1時間ほど絵を書くことに時間を使っています。
ある日Aさんから部屋にある私物を持ってきてほしいと頼まれました。
職員は快く引き受けAさんの部屋に行きました。
その際、Aさんの机の上には書いている途中の絵・水が入っているコップ・頼まれた私物が置いてあり、職員は私物をとった際に運悪く、水入りのコップを倒し、絵の上に水が大量にかかり、綺麗に塗ってあった色が混ざってしまい、とても原状回復は難しい状態となってしまいました。
職員は私物と絵を持ちAさんの元に戻り正直に謝罪をしました。
しかし、Aさんの怒りは収まることがなく「これは責任者にしっかりと報告させてもらう」と言い、その場を去ってしましました。

さて、この例文を読む限り、信頼関係があってもなくてもご立腹されたAさんの対応が変わるとは思えないと思います。
しかし、責任者に報告しに来た時に大きく変わります。

信頼関係の構築がしっかりと出来ていない場合

「〇〇が私の書いている絵の上に水を倒した!!久しぶりに良い作品が出来そうだったのに信じられない」ご立腹しているAさん。
時間をかけて話を聞きますが、なかなか怒りが治まらない様子。
当事者の職員も呼び3人で話をします。職員には言い訳をしないように言い、誠心誠意気持ちをこめて謝罪をするように促し、時間はかかりましたが、何とかAさんにも落ち着いて頂くことは出来ましたが、そこからは何かAさんが気に入らないことがあると周囲の方に「あいつはダメだ」と愚痴をこぼすようになってしまいました。

信頼関係の構築がしっかりと出来ている場合

少し暗い表情で来たAさん。
「実は、〇〇が私の書いている絵の上に水をこぼしてしまってな。ついカッとしてしまって怒鳴ってしまったんだ」とへこんでいる様子。
続けて「あまりにも腹が立ったから、責任者に報告すると言ってしまってな」とのこと。
では、私から話しておきますねと伝えると「あんまり怒らんでやってくれんか?その場では私も腹が立ったから怒ってしまったけど、あいつは普段頑張ってるし」と対象の職員を気にしている様でしたので、私の提案で3人で話をすることにしお互いがお互いに謝って解決となりました。

さて、ここまで読んで「ただの創作じゃねぇか」とお思いでしょうが、実はこれは実際に起きた内容を変えてあるだけで殆ど実話なのです。
分かりやすく失敗した内容は変えていますが、信頼関係があるのとないのとではここまで違った対応となるのです。
ちなみに後者の職員は私から見ても、仕事は半人前以下ですが、利用者との信頼関係の構築に関してはとても上手でした。

どうして上手でしたと書いたのか。それは長く勤めるうちに信頼関係の構築に変に自信がついてしまい、今では前者のようになってしまったからです。
それだけ信頼関係の構築というのは重要なものなのです。
今回はここまでとして、次回こそ信頼関係の構築方法について書いていこうと思います。
不定期更新ですが、ご了承ください。それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?