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まち研究9 昔話 猪苗代湖

昔々、会津の里はただなだらかな盆地だった。
それでは猪苗代湖はどうして出来たのか。
湖にはこんないわれがあります。
ある日のこと、旅の僧が一軒の家の前に立ち、「水をいっぱい下さい」と頼みました。
家のなかでは美しい女がコトコトと機織りをしていました。
「お坊さん、気の毒だがこの辺はひどい水不足でね」と言ったきりふり向きもしません。
お坊さんは諦めて立ち去りました。
それからしばらく歩くと、そまつな着物をきた村の女が少しばかりの水で米をといでいます。
「その水でよいので、水を恵んでくれませんか」
「どうぞ、これしかありませんが飲んで下さい」とわずかな水をさし出しました。
坊さんはもらった水を飲みほし、礼をして行きました。
「なんとひどい水飢饉だ。これを見過ごすわけにはいくまい。それにしてもあの村の娘はなんと心の優しいことか」
そして次の日の朝、夜があけると磐梯山のふもとには広い湖ができていました。一滴の水に苦しんだ昨日は嘘のようです。
村の女の家は湖の近くでとても便利なところになりましたが、湖の遠くに目をやると小さな島ができています。それはきのう水を惜しんだ美女の住み家が岸よりはなれた孤島となってしまったのです。
いつも猪苗代湖の岸に立つと湖の中にただ一つ、扇島をみることができます。

「考察」
猪苗代湖は、日本の福島県会津若松市、郡山市、耶麻郡猪苗代町にまたがる断層湖。日本国内で4番目に広い湖である。阿賀野川水系所属の一級河川の指定を受けており、福島県のシンボルの一つとされる。湖水が澄んでいることから天鏡湖(てんきょうこ)とも呼ばれる。
現在では、テントサウナやキャンパーが集まりバーベキューやライブなどを楽しむ場所として有名である。
私も何度か猪苗代湖に訪れている。
最初の印象は、山の上に海があるような不思議な感覚になったことを覚えている。
夏場は、湖で泳ぐ人もいるようだ。
しかし他県から、遊びにきた時は気をつけてほしい。何故なら、毎年必ず水難事故で死亡者が出るからだ。
淡水であることも理由であるかもしれない。
また猪苗代湖には、色々な怪談話も多く、神秘的な空間に少し寂しい陰を感じることもある。
だからこそ、一度猪苗代湖に立ち寄って欲しい。会津の郷土料理、地酒、温泉は格別である。
そして扇島を眺めて欲しい。
きっと美女が遠くから手を振ってもてなしているだろう。


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