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夫婦ほっこり飯 「そばの神田」

給料日は、夫婦で郡山に出かける。
手数料のかからない、地方銀行に給料を取りにいくためだ。
そして給料日に、夫婦打ち上げとして必ず行く店がある。
それが、うどん・そばを美味しく提供してくれる「そばの神田」という店だ。
最初は、値段が安いので通い始めた。
うどん・そばの値段が1杯390円と破格である。
節約家の妻は、安くて旨くて人も良しの三拍子の店を見つけるのに長けている。
そんなある日の「そばの神田」でのほっこりエピソード。

いつものように給料をおろして、そばの神田に入店する夫婦。私は、カレーそば、妻はとろろそばを注文する。
おにぎりも注文しようと迷ったが、「今日はおにぎりはやめておくか」と妻につぶやく。
その後、そばの代金支払う時に、妻から「20円もってる?」と聞かれたので「持ってるよ。」と20円を財布から取り出して渡す。
銀行から給料を下ろして直ぐだったので、大きいお金しかなかったからだ。お店の人が困らないように出来るだけ小銭で出す癖がついている。
そうして美味しいカレーそばととろろそばか出来上がり、美味しく頂く。
そしていつものように神田を出ていくと思っていた。
しかしその日は、違った。
店主の奥さんが笑顔で、おにぎりを2つ「食べて良いよ」と差し出してくれたのだ。
妻が、「あれ、おにぎり頼みましたっけ?」と質問すると、店主奥さんは「サービスですよ」と言ってくれた。旦那さんは、「残り物だし、どうせ捨てるから、食べてくれたら嬉しいです」と言ってくれた。
私は何も考えずに「ありがとうございます。頂きます」とおにぎりを頂く。
その後完食してから、深々と店主夫婦お辞儀をして「ご馳走でした」と店を出た。
すると店主奥さんから、「飴ちゃんどうぞ」と満面の笑みで、べっこう飴を二人頂く。
「ありがとうございます」と店を出る。
暫くすると妻から、「ねぇ、気付いた?まだおにぎり一杯あったよ!しかもまだ12時だし、おにぎりを処分する時間には早すぎたよね。」「確かにそうだね。」と二人で話し合う。
「もしかしたら、私たちの会話を聞いて出してくれたのかな?」と妻。
確かに、私はいつもそばカレーとおにぎりを頼む。残ったカレーとご飯を一緒に食べるためだ。しかし今日はたまたま「今日はおにぎりはやめておくか」とつぶやいた。
しかもそのあと小銭が足りないので、私の財布から20円を出したことが、もしかしたらこの夫婦お金持ってないからおにぎりを買えないと想ってくれたのではないだろうか?
「そうか気を使わせてしまったか、今度はおにぎり頼もう」
と二人でほっこりしてしまった。

是非福島郡山市に立ち寄ることがあれば、おすめの名店である。

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