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ミニマリスト亜種

ある日、僕は出張先のロンドンから
パリに鉄道で移動をしようとしていた。
 
そろそろ出発の時刻である。
 
僕は駅で思い出したように
お土産屋に走り込む。
 
「とりあえず、何か買いたい!」
 
鉄道の駅のお土産なんぞ
大抵はぼったくりである。
 
僕はロンドンのビッグベンが描かれたマグネットと
英国国旗のパスポートケースを購入した。


ある日、友人の家にお邪魔する機会があった。
 
雨の強い日で、傘を持ってきた。
傘立てに傘を入れさせてもらう。
 
木刀が傘立てに潜んでいた。
 
京都に旅行に行った際に
購入したモノらしい。
 
玄関には鏡があり
たまに侍ポーズを決めるらしい。
 
僕は驚愕した。
 
京都で買う木刀なんぞ
この世で最も浪費or無駄と呼ばれる
お土産の一つである。
 
「木刀なんて、どこで使うの!」
 
と誰かの叫び声が聞こえる。
 
浪費代表と名高い木刀に向ける
彼の表情が印象的だった。
 
無駄とは何だ?
 
また、別の友人の家にお邪魔した時だ。
 
世界地図の木の模型が壁に架けられていた。
 
部屋のレイアウトをメチャクチャにする
大きい模型には降り立った国に目印がついていた。
 
「場所取るけど、何か良くない?」友達は言った。
「何か良いね。」僕は返した。
 
地図を眺めて、酒を飲むらしい。無駄に幸せな時間だろう。


無駄は時に無駄じゃなく、無駄にもなる。

誰にも結末は分からないのだ。
 
こうして、僕はロンドンでお土産屋に
駆け込み乗車をしてしまった。
 
例えば、海外のマグネット。
 
「絶対、いつか捨てるやん。」
 
昔の自分が見れば、一蹴して来るであろう。
 
目立ちもしない普通のマグネットだ。
 
塵も積もれば山となる。
 
ささやかな思い出を冷蔵庫に貼り続けて
いつか一面に広がる僕の人生を味わえるように。

一面に広がる前に集めるのを辞めて
無駄になる瞬間があるかも知れない。

Vice Versa。分からないのだ。
 
実用性を求め続けると空虚な気分になる。

であれば、自己満足や無駄になりそうなモノで
おもちゃ箱をパンパンにしていたい。
 
大学生の頃、ミニマリズムに憧れを持っていた。
 
トキメキを感じたモノを購入せよ。と説かれた。
 
自身が本当に気に入ったモノを集めて
厳選したモノたちと過ごす生活。

モノが少ないと、心が落ち着くので
定期的に取捨選択はしたいとは思う。
 
ただ、僕が思うに、トキメキはいつ訪れるか分からない。
 
あの木刀だって。そうだ。

傘立てに無造作に入れた木刀が生活に浸透することも。
 
とにかく買ってみないと分からないと思うのだ。
 
ただ、一応、海外でモノを買うときに自分ルールがある。
 
日常生活で目に触れるかどうかだ。
 
マグネットは冷蔵庫に貼り付ける。
美術館のアートブックは棚に飾る。
キーホルダーはスーツケースにつける。
木刀を傘立てに入れる気概はないけれど。
 
モノを買う。
 
トキメキを待つ。
 
モノを捨てる。
 
経済活動が盛んなミニマリストだ。
 
ミニマリスト亜種と名付けよう。
モンスターハンター風に。
 
モノはかってみてから考えりゃ良いのだ。
ミニマリスト亜種は基本無害なので、かってやらんでほしい。

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