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漫画 ひらやすみと、主観/直感的な生き方

ちょっと疲れた時に読みたい漫画。ひらやすみ。

登場人物が美術大学生の従兄弟と友人、
子供が産まれそうな親友や不動産のO Lさんなど、多種多様。

皆に現代に生きる葛藤があって(時に小さく、時にちょっとシリアス)、
物語に共感できる部分が多い。

だからこそ、飽きずにサクッと楽しめる(既刊 5巻)。

主人公の性格や生き方がとっても魅力的なので、
いくつかエピソードと共に感じたことを紹介。
そんなに大きなネタバレではないと思いますが、少しお気をつけて。


あらすじ: 

週に2度、晩御飯を御馳走(ごちそう)になる仲だった身寄りのないおばあさんから、阿佐ヶ谷の平屋を譲り受けた29歳フリーターの生田ヒロト。 その平屋で春から美術大学に通ういとこの小林なつみを預かり、共同生活を始める。 彼らの日常と交遊関係を描いたハートフルホームドラマ。

自身の優しい人柄と、
さり気ない行動の数々で
おばあさんから平屋を譲り受ける、とんでも展開。
 
カッコいい行動をして、人に影響を与えるタイプでもない。
ただ主人公 ヒロトの何気ない一言で、悩みや葛藤がスーッと消える。

おばあさんが、29歳の主人公に問う「次の段階の幸せ」

結婚経験がなく、身寄りのないおばあさんは、被害妄想が激しかった。
デイサービスのスタッフの好意を受け止めきれず、奴らは口だけ褒めて、
どーせ、孤独なばあさんと思われていると解釈してしまう。

そんなおばあさんが、ヒロトに幸せの定義について問うシーンがある。
 
もーすぐ30歳だろ。いつまでも、フラフラしてないので、
結婚とか定職につくとか。次の段階の幸せは考えないのかい?

 
ヒロトは、少し考えて答える。
 
あんま考えたことないんだよなあ。「幸せ」とか。
 
おばあさんは呆れと笑い半々で答える。
 
いいねやっぱいいよ、ヒロト。

おばあさんは、自分が独りなのは、自身の性格からと反省している。
だからこそ、自身が考える「次の段階の幸せ」に乗れなかった自分と
他の人々を比較し、葛藤していたのではないかと考察する。
 
おばあさんには、楽しそうに生きるヒロトの答えが
新鮮で自身の葛藤を解きほぐす言葉だったのかも知れない。
 
「次の段階の幸せ」なんて考えずとも、
主観的に楽しく生きることが出来る。

 
ヒロトは周りを良い意味で、見えていない。主観的ポジティブ人間である。
 
学生時代に作った映画を酷評されても、
「撮影、楽しかった!」と言い切り、思い出を主観的に染め上げる。

と言っても、世の中は資本主義でお金が必要である。

平屋を譲るまでのエピソードはいくつかあるが、
ヒロトが変わらず生きていけるよう、譲ることにしたのかも知れない。

実際ヒロトの何気ない言葉や行動に救われながら、ヒロトを心配していた。
ただ、そんなヒロトだからこそ、周りの人を助けられ、
また人が助けてくれる側面もある。

親友に子供が産まれた時に、主人公と姪が思うこと。

もう1つ、お気に入りの対比というかシーンがある。
 
親友に子供が産まれると聞いたヒロトの心の声を描いたシーンだ。
 
ナレーションが吹き出しで、ココで普通の人は 「結婚ねえ・・・」
と思ったりする。と前置きした上で、ヒロトはこう思う。
 
元気な赤ちゃん、産まれると良いな。
 
特に出来事を反芻するわけでなく、ただ友達の幸せを願うのである。
 
美術学生の姪は、ヒロトの親友の子供と会った後、回想する。
 
私もいつか誰かを好きになったり、結婚したいと思うのかなあ・・・
 
ヒロトは、この前観た映画面白かったと伝え忘れたのを後悔している。
それで終わり。反芻しない。
 
何か意図的な対比じゃないかなと思った。実際、姪は割と色んなことで葛藤する。物事を全部反芻すると、それだけ葛藤の数も増えていく気がする。
 
ヒロトは、明らかに他のキャラと比べて、頭の中で考える描写が少ない。
物事を反芻したりすることもない。
直感的に、言いたいこと、やりたいことをしている。
 
他人の価値観に左右されず、主観的に直感的に生きることが、
楽しく生きる秘策と教えてくれている気がする。

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