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教員が育児休業を取得すること

子どもができて、出産間近になると女性は、産前産後休暇に入るかと思います。その延長で育児休業を取得される方が多いかと思います。
赤ちゃんによって個人差はありますが、昼夜の区別もつかず、お腹が空いたり、オムツが汚れていたり、何となく人肌が恋しくなったりして泣きます。女性は出産後、母乳がでるようになりますから、この流れで奥さんが育児につきっきりになるパターンが多いようです。

教員は、夫婦ともに教員同士で結婚するパターンが多いです。子どもが生まれた場合、その多くは奥さんのみが育児休業を1~3年取得することが多いです。しかし、子育ては重労働です。奥さんだけでなく、夫婦で育児休業を取得することをおすすめします。

教員が夫婦で育児休業を取得するメリット

①我が子の成長に寄り添うことができる


大学卒業から教員になった場合、教員としておよそ40年間「先生」として勤めることになります。我が子が生まれることは人生においても最大級のイベントではないでしょうか。

私が育児休業を取得していた時に、子育て支援センターで仲良くなったあるお母さんは、

今は、ずっと子どもと家にいるけど、この時間ってあっという間ですよね。保育園や学校に行きだしたら、日中は一緒にいないくて、夜寝るだけになるし、そんなこんなで高校卒業して家を出るなんていったら、ホント今だけですよね。
と仰っていました。

教員のなりて不足、学校の多忙化が叫ばれています。中には産休・育休の代替教員が見つからず校内でやりくりしている学校も増えています。
一教員の立場からすると、周りに迷惑をかけられないと思ってしますかもしれませんが、40年の教員人生の中で数年間我が子との時間を大切にするために休業することはそれほど後ろめたいことなのでしょうか。

もちろん学校で今目の前にいる子どもたちとの出会いも一期一会です。しかし、我が子との出会い、またともに過ごす時間の価値は比べ物にならないと思います。

他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり、自由になれないのです。
嫌われる勇気ー自己啓発の源流「アドラー」の教えーp163 岸見一郎 古賀史健

別に嫌われることは推奨しているわけではありません。ただ、自分自身の思いに素直に生きていくべきではないかと思います。

②夫婦の絆を深めることができる

パートナーと出会い、お付き合いをし、結婚するに至るまで、お互いにパートナーへの愛情に満ち溢れているでしょう。
「自分たちは一生このままラブラブなのだ!」と錯覚するカップルも多いように感じます。

下記のグラフは、女性の愛情曲線です。(参考:渥美由喜(2010)『イクメンで行こう!』)

女性の愛情曲線の変遷
東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美由喜 監修
HP 東京都生活文化局 都民生活部 東京ウィメンズプラザ『パパとママが描くみらい手帳 生活と仕事の調和を目指して』より

このグラフにおいて結婚直後までは、パートナーへの愛情が大きかったのが、出産直後に子への愛情へ切り替わっているのがわかるかと思います。幼く可愛げな表情で、昼夜問わずに助けを求める我が子に愛情が注がれるのは当然のことです。

ここで男性が出産以前と変わらないような態度、生活をするのなら夫婦の愛情は目減りしていきます。

下記のグラフは、同居期間別にみた離婚件数です。

同居期間別にみた離婚件数
2023 LIMO [リーモ] | くらしとお金の経済メディア離婚は早い方がいい?同居期間別離婚率から考える「離婚とお金」 より

これをみると、結婚5年未満のカップルの離婚件数が圧倒的に多いことがわかります。
この結婚して数年で子どもが生まれることが多いと考えると、5年未満というのは、子育てをし始める時期に当てはまります。

子育てで協力できるか否かは、夫婦生活に甚大な影響を与えるのです。

であれば、夫婦で育児休業を取得して、協力して育児に取り組みましょう。
目的を共有し、協働して物事に取り組むことは、人と人との絆を深めます。

例えば、ママが授乳したのちに、ゲップをさせて寝かしつけるのパパが行ったり、夜中に子どもが寝付かずにママが寝れなかったときには、パパが日中面倒をみて、ママを休ませるなど、
夫婦で相談しながら、協力して育児を行うことで夫婦の仲は深まっていくでしょう!

③教員としてのキャリアアップができる

「休業」とつくと、仕事をしない、その人の業務に関する能力は伸びないと思われるかもしれません。

本当にそうでしょうか。

私は、育児休業取得することは、その人に自身のキャリアアップにつながり、さらには、その組織の生産性向上につながると考えます。

特に、教員は、子どもたち、その保護者を相手にする職業です。
子どもが生まれたとき、ある先生がそっと私に言ってくれた言葉があります。
「これで、あの子もこんな風に愛されて生まれてきたんだなぁって思えるよ。そんな風に愛されて生まれてきた子どもの集まりが学校だよ。」

その言葉を経て、我が子と向き合う中で、間違いなく私の教育観は進化したと感じます。見える景色が少し変わってくるのです。

学校には、いろいろな子ども、保護者がいます。クレームをいただいたことも数知れず。
正直、その苛立ちを保護者や子どもに向けてしまうことがありました。

育児休業を経て、家庭と向き合う中で、学校の子どもたちがどのような背景で育ってきたのかが、ふと浮かぶのです。

このようにして、育児休業によって、教師の職能を高めることができるのです。

私は勤務時間後は速攻で帰るようにしていますが、若いころは、早々に学校を出る教員を見て、「自分はまだ仕事をしているのに、ズルい!」という意識がありました。

育児、介護、自分の事情で早く帰らなければいけない人はたくさんいます。(というか、勤務時間を超えて帰るのになんで悪いのでしょう?)
育児休業中の経験は、明らかに自分の仕事に対する意識、さらには自分の世界観を広げてくれました。

キャリアアップというと、何か時間を割いて資格の学習をしたり、新たな技能を身に付けることだと考える方が多いとかもしれませんが、

育児休業で家庭にコミットする経験を通じて、
仕事で出会う人や同僚の背景を想像することができるようになり、豊かな心で対応することができるようになると考えます。

これは十分な教員としてのキャリアアップではないでしょうか。

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