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『続・座頭市物語』:1962、日本

 旅の途中、座頭市は大名を按摩することになった。しかし大名が精神を病んでいることを知ったため、家臣に命を狙われる。居酒屋で飲んでいた市は、夜鷹の噂話を耳にして、大名の家臣が片っ端から旅篭を当たって自分を探していることを知る。

 夜鷹の1人・お節は市を気に入り、今晩を一緒に過ごそうと誘ってくる。お節は市がかつて愛した女・お千代にそっくりだった。そこへ渚の与四郎と弟分・鏡の三蔵が現れる。与四郎は自分がかつて愛した女・お千代に似たお節を誘うが、断られる。

 大名の家臣は、土地の親分・関の勘兵衛に市の始末を依頼する。勘兵衛は市が1年前に客分となっていた飯岡助五郎の元に行き、協力を要請した。飯岡は市のおかげで敵対する笹川一家との戦いに勝利したが、市に対して恨みを抱いていた。

 飯岡の元には与四郎が草鞋を脱いでいたが、凶状持ちであることが分かって追い出される。飯岡が居場所を役人に知らせたため、与四郎は追われることになる。一方、市は1年前に心ならずも斬った平手造酒の墓参りで、笹川へ戻って来る。

 勘兵衛の手下を倒した市の前に与四郎が現れ、2人は刀を交えることになる。2人は実の兄弟だった。市の恋人だったお千代は、市が盲目になったと知って兄の与四郎の元へ走った。怒った市に腕を斬られた与四郎は、恨みを抱き続けていたのだ…。

 監督は森一生、原作は子母沢寛、脚本は犬塚稔、企画は久保寺生郎、撮影は本多省三、編集は谷口孝司、録音は林土太郎、照明は伊藤貞一、美術は太田誠一、擬斗は宮内昌平、音楽は斎藤一郎。

 出演は勝新太郎、城健三朗(若山富三郎)、水谷良重、万里昌代、中村豊、柳永二郎、沢村宗之助、山路義人、浅尾奥山、春本富士夫、杉山昌三九、南條新太郎、南部彰三、嵐三ヱ衛門、水原浩一、伊達三郎、高倉一郎、玉置一恵、芝田総二、沖時男、浜田雄史、若杉曜子、井上明子、横山文彦、春日清、愛原光一、木村玄、千石泰三、志賀明、若原進、福井隆次、大杉潤、大林一夫、薮内一夫、竹谷俊彦、森田健二、長岡三郎、馬場勝義、森内一夫、有村淳、寺村孝。

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 勝新太郎の当たり役となった“座頭市”シリーズの2作目。
 前作の1年後が描かれている。
 おたね役の万里昌代や飯岡役の柳永二郎、蓼吉の父・弥平役の山路義人、飯岡の子分・安七役の浜田雅史が前作に続いて登場し、他に与四郎を城健三朗(勝新の兄・若山富三郎)、お節を水谷良重、三蔵を中村豊、勘兵衛を沢村宗之助が演じている。
 前作では勝新と万里昌代がタイトルロールの最初に並列表記されていたが、今回は勝新と城健三朗の並列表記。

 最初の3部作は、まだ血みどろモンスター化する前のマトモ(?)な頃の座頭市が描かれているわけだが、それでも彼の強さは圧倒的である。
 今作品の最大の敵であると思われる与四郎でさえ、あっという間に倒されてしまう。

 序盤に登場する本陣の侍との戦いでは、腰を落として背中を丸めた姿勢から、前後から刀を振り下ろしてくる2名の敵に対して、素早く仕込み杖の刀を抜く。そして体を翻しながら、一瞬にして2名を斬る。
 勝新の殺陣は、非常にスピーディーだ。

 今作品の最大のセールスポイントは、やはり勝新太郎と若山富三郎(当時の芸名は城健三朗)が、実の兄弟役で共演していることだろう。
 若山にとっては東映から大映に移って最初の作品であり、つまり初めての兄弟共演ということだ。

 市と与四郎は冒頭で出会うし、2人が兄弟であることは早い段階でそれとなく描かれているが、なかなか兄弟として接しようとしない。
 市の口から「与四郎は血を分けた実の兄だ」というセリフが出て兄弟関係が明確になった次の瞬間、市が飯岡に斬り付けて映画は終わる。
 何というサッパリとした(もしくはアッサリとした)終幕。

(観賞日:2002年6月20日)

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