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授業ノート:レフレーミング2

何が出てくるか分からないもの。次はこれ書こうとか、あれも重要だと考えてても、まったく筆は進まない。なのにある時、次はここかと驚くこととなる。分かってみれば当然なのだが、その当初は全く予期せぬ方向へ引っ張られるかのよう。心労は絶えない。しかし、何かを創り出している過程でのワクワクも感じている状態が続く。レフレーミング技法を学ぶ。その2である。

一体何を議論しているのか?

新しいもの/ことを創り出すことは本当に難しい。何か思いついても、やってみないと、イケ(て)るか分からない。理想形から逆算すると、最初のうちは恥ずかしいレベル。誰もついてこない/これない。この状況で、とりうる選択肢は二つある。

①続けても、苦労が多く幸薄そう。だから止める方向で

②足りない要素を把握し、次の打ち手を構想する(ピポッド/仕切り直し)

起業家の行動パタン(成功者が自己認識している成功要因)は、明らかに②が優勢である。しかし、僕は、「資質」という点では明らかに①に属する。それは、僕が、ビジネスマンにも、学者にも、サラリーマンにもなれなかったという諦観とも関係している。しかし、②は訓練で学ぶことができるという。ちょっとスタートは遅かった気がするが、20世紀の頃には、簡単なメソッドがなく、そもそも世の中が必要としてなかったように思う。

リフレーミングに戻る。食わず嫌いの「デザインシンキング」を、改めてきちんと理解しようと思い立ち、初学者用教科書から読み始めた。そこで気になったのが「リフレーミング」である。デザインシンキングには、文化人類学の知見がベースにあるとは知っていたが、デザインプロセスの最初期の「発見」フェーズにおいて、NLP(神経言語プログラミング)手法が有効と考えられていることに気づく。源流は家族セラピー。問題は、NLPが分からず昔途中で放り出し、いまもまったく分かってないこと。ワークショップの実録で、出席者のモード転換(①→②)の瞬間が詳細に書き取られているものの、参加者の感動が伝わってこない。

「発見」のカラダ



アイデアがいつも湧き出ている。自信があってもなくても、失敗しても次にチャレンジする力が欲しい。自分自身もそうなりたいが、経営コンサルタントとしては、そのような力のある経営者のニーズに応えるだけの力を溜めることが日々の鍛錬となる。NLPの原点を読んでみて思ったのは、「リフレーミング」が主体者の文化的な枠組みに大きく依存するという仮説。東洋の古き智慧が西洋的なフレームワークに置き換えられることで却ってわからなくなる。だからこその人類学的なアプローチである。属する集団の文化的な偏りを補正し、普遍的な思考を記述する技術。経営コンサルタントであり経営者でもある船井幸雄先生は、輸入物のコンサルティングを日本の経営者のためにリフレーミングした、偉大な先達である。

この力を産み出す技法、それを実装した「発見のカラダ」を探して、仏教学、文化人類学の源流である秘教的知識(esoteric study)をしばらく彷徨った。ある時、中国の故事に触れて、何かに気付いた気がした。

吐故納新(とこのうしん)



新しい何かを産み出す(自分が変わる)には、まずは古いものを整理することから。断捨離である。しかし、人も事業も社会もだが、これまで得てきた何かを本音のところでは捨てたいと思っていない。むしろなんとか一部でも残したい。できればそれに加えて、もっと別のことも積み上げていきたい。デジタル技術が変革を迫るので、これまでの仕組みにデジタル技術を追加する。そうすると、古いものから邪魔される。変革がデジタル技術を要請するという掛け声のみが残り、結局なにも変わらない。改革の一番の不理解者は生活者。個のレベルでは、古いものを捨てることにはとりあえず反対(誰かが決めて、多少の補償があるなら従うけど...)しかし、この姿勢は責められない。昨日と明日が連続していると仮定しない限り、何も考えられなくなるからだ。だからこそ、震災であれ、テロであれ、日常の時間の連続性が失われる時、人は不安を感じ、拒否が先にたつ。

一方で、そういう考え方に染まらない生き方というのもあるはずだ。

捨てる古いもの

捨てるべきは、これまでのやり方に慣れきった自分の考え方を捨てることである。しかし、ほぼ自分と一体化した意識に退去を願うことは、強いアンビバレンツな感情に囚われることである。吐故納新にもあるように、特には吐いたり、アレルギー反応に苦しんだりする。ここに、異教の論理を解明する人類学の知識から、二つの技法が抽出される。

一つは「記憶の再録」技法である。新しいものを入れるためには、言葉にできない感情のしこりを外に出してしまうこと。そうしないと、デザインシンキングでいう「共感」、つまり「鏡」となる自分の読み取り精度が高まらない。これは、「ナラティブセラピー」と名称で、心理療法に継承されている。

もう一つが、気づきを誘発する身体をつくる技法「発見のカラダ」である。多くの秘教的知識が、「記憶の再録」技法と「発見のカラダ」を組み合わせたものになっている。「禅語録(提唱)」と「坐禅」。「記憶すべき出来事」と「Magical Passes」。どうも僕は心理的アプローチが先行するタイプのようだ。身体技法はもう少し先に考えてみることとして、まず「記憶の再録」について記述しよう。

10人の人(そこから派生する100+の人)との関係

前回に検討していたのは、人生の10のシーン(記憶すべき出来事)を考えてみることであった。そこに自分の発見の「成功例」が見出せるのではと、感じていたからである。早速選び始めたが、そこそこ大切な出来事だったような気がするものの、イメージが漠然としていて、つまらないアニメも見せられている感じ。そんな時に、「注目すべき人々との出会い」という本を思い出した。自分が出会った人との関係で出来事を思い出していくのだ。ちなみに、ビジネスでは、G.I. グルジェフの秘教的知識は、「エニアグラム」という形で継承されている。

G.I. グルジェフの教えを演劇に活用したのが、ピーター・ブルック。入り口は「ムーブメンツ」のような気がするが、肉体を極限まで使う訓練メソッドのなかに、「いま/ここ」を、論理的に知覚する重要性が、世界一受けたい稽古のドキュメンタリーで語られている。「記憶すべき出来事」は、時間軸に思考を拡げている感じだが、過去を現在に引き寄せるという意味では本質的な違いはないのかもしれない。しかし、どうも身体論からは逃れられないようだ。

"Meetings with Remarkable Men" visualized by Peter Brook


記憶を集める(「先導者」の役割)

注目すべき人々との出会い。上司から始める。コンサルタントの師匠。誰でも経営コンサルタントになれることを証明した。最近では、シニア海外技能派遣のプログラムで、南アメリカ、東ヨーロッパ、アフリカ、中央アジアの各国で、経営指導をしていた。毎年赴任期間が終わるたびに、弟子たちに各国の明産物を手渡す。

そこから、キャリアを先へ辿ることもできたが、今回の場合は、その前のキャリアでは銀行時代、大学、高校生へと遡ることとなった。コロナで断絶された意識は、探究を過去へと強く引っ張る。変化の時代に、変わろうともがいているからだろう。自由軽妙な個の仲間たちへ、まだうまくアクセスできない。今動き始めたことについては、検討の中身についてまた稿を改めて書いてみたい。

狙いと目標

ビジネスを、サービスを、新たにつくりだすというのは、そこに関わる人たちの個性を捏ねて形にする作業。その中で、マーケッターは、ユーザーの「価値」を記述し、プロダクトチーム、デジタルチームへ精密に伝え、共有することが求められる。ある意味、この手法は、ユーザーの意識変化(価値)を精確に発見、表現するための訓練であり、実業務(OJT)でのパフォーマンスを向上するための手法になる可能性がある。フレームワークやフォーマット事例は蓄積されているので、秋学期までにはもう少しまとめられるだろう。

一方、より個人ワーク的にやろうとした試みが、音楽(DJ)で「記憶すべき出来事」を収集することである。しかし、その時に聞いた音源を収集することではなく、その時の感情を精細にトレースすること。さもなければ、これまた出来の悪いOST(サウンドトラック)に。しかも映像がない分、なんのこっちゃになるリスクが高い。しかし、多くのDJにとって、その原点は、好きな人にミックステープを渡したいという思いである。今回の成果がどうだったかは聴き手の判断に任せるしかないが、1981-1982の記憶を整理して、なにかが落ちたような気がしている。

Memories taken from an unfamiliar adopted child. collected in California through JFK High La Palma, GTV Palo Alto, to DP Marina Del Ray


日系アメリカ人(養子NPO預かり)の頃を思い出す味。何十年ぶりにプルトップを開ける。17歳の身体は、Mountain Dewと、M&M、ターキーサンドウィッチで出来ていた。と、音楽。
Taste reminds me of the days lived as a Japanese American(adopted thru an NPO). Open the pull top for the first time in decades. Realized the 17-year-old body was all made up of Mountain Dew, M & M, turkey sandwiches, and Music.

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