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MBSDDM2020AW総評

明治ビジネススクール/データドリブンマーケティング講座について

兼任講師4年目。人生初のオンライン授業。2020年度秋学期は、2020年9月23日に開講、一回の休講を挟み、2021年1月27日までの15回の授業、期末レポートをもって終了。受講者評価を完了し、総評をnotes上で下書き始めた。一度もリアルに会うことのなかった本年度受講者と学びを続けていくことを願い、一部を削除し公開することにした。連続受講者やこれまでの受講者にとって、少しでも授業の補完になれればと思う。

DDM2020AWシラバス

インターネットの進展に伴い,デジタルマーケティング(ウェブサイト,モバイルアプリ,システムアプリケーション,ネット広告,ソーシャルメディア等を活用したマーケティングコミュニケーション活動)の強化とともに,マーケティングのデジタル化(デジタル技術を活用したマーケティングマネジメント刷新)が経営課題となっている。マーケティングのデジタル化は,「デジタルトランスフォーメーション」の一部として,マーケティング関連データ活用を通じ,従来のブランドマネジメントとデジタルマーケティングを融合する活動である。消費者の購買行動,企業の競争優位性の変化,新規技術の適用領域拡大を通じ,今後より一層の進化が予測されている。本講義では,マーケティング関連データ,特に顧客データをキーにしたマーケティング活動,「データドリブンマーケティング」の実例を補助線として,現在進行中のマーケティング機能の変容を解説し,デジタル時代のマーケティングマネジメントのメカニズム把握を目指す。

期末レポート総評(学期を通じてのフィードバック)

みなさま、お疲れ様です。期末レポートの提出ありがとうございました。下記総評をもってフィードバックに替えさせていただきます。

2021年度秋学期は、大きく社会が変わる予兆を感じながらの、初めてのオンライン講義となりました。開講するにあたり、

「コロナでデジタル化が進むなか、マーケティングには何ができるか?」

を、問いに掲げました。15回の授業を終え、現段階の答え(理解)は、

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と、考えています。これは、技術の進化を、良き社会の発展に役立てることでもあります。しかし、この社会変動の渦中において、構造改革や業態転換といった、痛みの方にどうしても気が行ってしまう。そこに、この先のことが分からないという不安が重なる。そんな時こそ、初めて何かをやり始めた時の、分からなさ故の知識欲求のままに、動いてみようと思っています。

さて、期末レポートの総評です。

3つの選択課題

期末レポートは、講義で採り上げたテーマから下記の3つを選びました。

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評価の軸として、データドリブンマーケティングに踏み出すための確認項目となる、以下の3つの視点から、読んでいきました。

・社会環境・経営戦略の理解
・ステークホルダー(アクター)課題の理解
・初めの一歩(初期値)

データドリブンマーケティングは強力な武器ですが、何のためにやるかをしっかり持っていないと、暗黒面へ堕ちることも簡単。ネットワーク社会のディストピア感に抗い、乗り越えていくために、テクノ資本主義的日本社会論の源流となった想像力についても議論しました。

社会環境・経営戦略の理解

深さの差はあるものの総じてよく記述されていると思いました。今後、分析的アプローチが進化し、資源制約等の条件を入れると最適解をシュミレート、事業の目指すべき姿がもっと精度高く分かるようになるかもしれません。マーケティングは、その戦略的な可能性に、共感できる未来や、自分も参加したいと思わせる何かを組み合わせ、打ち手(戦術)を構想し、実行改善するスキルです。

ステークホルダー(アクター)課題の理解

打ち手(戦術)とは、新しい価値を提供する仕組みつくり。これまで出来なかった何かをできるようにする。その時のお客様(おカネを払う人)は誰か?誰と一緒にやればよいか?価値設計には、デザイン思考が有用な手法を提供しています。期末レポートでも使われていたのは、問題課題を下記の3つに分類し、ステークホルダー(アクター)別に整理する手法(リフレーミング)でした。

A.認識して対処している問題(大体すでに対処済み)
B.分かっているがどうしようもない問題(解けない課題)
C.自ら意識できない問題(知覚できないでの問題ですらない)

作業上、自ら意識できない問題Cは、強制発想するしかないのですが、他ステークホルダーの課題から、自ら意識できない構造(盲点)のヒントが得られる。この自ら意識できない問題C(気付き)を手掛かりに、全てのステークホルダー(アクター)の解けない課題Bの解決を狙います。

初めの一歩

打ち手(戦術)の骨格がみえてきたら、施策(活動)の具体化です。実証実験やテストマーケティングの目標をクリアして活動を存続させるために、短期間で最大効果を叩き出す施策を選び実行する。本当に困っている人は誰か?新しい何かの予感(WOW)にすぐ反応する人は誰か?課題の理解が深まっていれば、大きくターゲットが外れることはないはずです。あとは、施策をセットして、KPIを測定し改善を繰り返す。波及スピードが期待値を下回る場合は、仕組み、提供価値に立ち戻り、大きな改善(ピポット)を検討することになります。

おわりに

15回の授業への参加ありがとうございました。来年度も秋学期に開講します。半年でまたいろいろなことが変わっていき、データドリブンマーケティングの論点も進化するでしょう。来年度は、オンラインとオフラインの新しい組み合わせにも挑戦しようと思います。個別テーマについても、おいおいまとめていこうと思うので、Notesでチェックしてもらえればと思います。

末筆になりましたが、皆様のこれからのご健勝とご活躍を祈念しております。

山之口 援


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