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読書録001:HIGH POWER MARKETING

個人的な思想として「ゼロベース禁止」があります。人類の歴史で素晴らしい頭脳と経験をお持ちの方々がいろんな試行錯誤をしてきて、さらにそれを資料に落としてくれているわけで、それを再利用しない手はない。ただ読んで楽しむだけの読書ももちろん好きなのですが、過去の名著を読み、それをどう実践に活かすか、というのもまた重要です。

とはいえ、読んだだけではなかなか実践に落ちていかないのも確か。なので、noteという媒体で読書録を残していきます。主に自分がためになった、響いた、今後使えそう!というところをメインで抜き出していきますが、これを読んでくださっているみなさんに少しでも参考になるところがあれば嬉しいです。

1冊目はマーケティングの大家として名高いジェイ・エイブラハムの「HIGH POWER MARKETING」を取り上げます。

本書からの抜粋

・ビジネスを大きくする方法は「クライアントの数を増やす」「クライアント一人あたりの平均販売額を増やす」「クライアントが購入する頻度を増やす」のたった3つだけ。これらをそれぞれ10%増やすだけで、総売り上げは33.1%増加する

・新規クライアントの獲得時に利益を得るという考え方をやめ、新規クライアントに関係を維持してもらうことで真の利益を得るという考え方にシフトするだけで、多くの会社がクライアントと利益を増やしている。多くのクレジットカード会社は「カード取得から6か月間は割引金利」をオファーしているし、インターネットプロバイダは加入後30日の無料期間を設けている。

・ある建築会社は、新規クライアントに対しての最初の案件は必ず損益ゼロでやり、そのことをクライアントにも伝えている。こうすることで自社の技術を理解してもらえる。その後、80%のクライアントが再依頼してくれる。年間売上のほぼすべてが、初回案件の利益をゼロにしてクライアントを獲得したことから生み出されている。

・USPは大きく分けて「幅広い品ぞろえ」「大幅な割引」「アドバイスとサポート」「利便性(立地、在庫切れなし、迅速な発送)」「最高級の商品やサービス」「迅速なサービス」「基本以上のサービス」「通常よりも長期または広範囲にわたる保証」「このほか、競合にはない独自の強み」で構成される。ポイントは、業界で最も不足していて、かつ自社が確実に提供できるものにフォーカスすること。

・先制マーケティング:業界では当たり前になっていて誰もあえて言っていないことを誰よりも先にいうことで、卓越した存在になれる。例:シュリッツ・ビール

・USPは巧みなセールストークだけで終わってはならない。問い合わせの電話があったなら、その電話を受けた担当者はUSPをもとに全力で応対する必要がある。従業員全体がUSPとともに存在し、呼吸し、行動していかなければならない。従業員と会話し、シナリオを書き、コンテストを開催し、USPを売り込める優秀な人を表彰する。USPを実際に取り入れた例を示して、スタッフが理解できるようにする。従業員全体をUSPの推進者とする。

・強力なUSPの例:ドミノ・ピザ→「30分以内に届かない場合、代金はいただきません」 / ノードストローム(百貨店)→「購入した商品に何か問題があった場合、どんな理由でもいつでも必ず返金します」

・見込み客やクライアントのリスクを取り除けば、行動へのハードルを下げることができ、購入時の主な障害物を取り除ける。クライアントとの取引では、私たちが常にリスクを負うべし。気まぐれで保証を提供するのではなく、できるだけ具体的な保証、かつ「リスクなし以上」の保証を提供すること。売上が急上昇することはもちろん、非常に具体的な成果をクライアントに約束するため、それまでよりも会社は良いパフォーマンスを残せるようになる。

・ある弁護士は不活発なクライアント全員に対して手紙を書き、2時間半の無料相談をオファーした。過去のクライアントの半数以上がこのオファーを受け、そのうちのさらに約半数はその後再び正規料金を支払うクライアントとなった。

・アドオンを効果的に活用する:「1年間購読を55ドル、2年間購読を95ドル、3年間購読を『最もオトク』な120ドルとなることを提案するDM」を送ったところ、40%が3年購読、25%が2年購読、35%が1年購読を選択した。

・強い印象を与えるセールスレターは、「構成や素材、つくりの具体的な説明」「評判や業界における地位についての事実、施設や研究所の所在地、夜間や週末の営業時間などに関する説明」「従業員の熟練度や信頼性、スキルについての詳細、部署ごとの従業員数、従業員の専門分野」「競合にはない特殊な生産工程や、標準的な工程であっても、一般には知られていない作業工程などの説明」「データや記録、資料、ケーススタディなどの活用(仮にデータを正確に評価できなくても、人はデータを好む)」「過去・現在の著名なお客様の名前や推薦の言葉」などで構成されている

・事実を引用するときは、一般論ではなく個別具体的に述べていく。また、なぜそのような事実に至ったかも伝える。さらに、なぜこんな素晴らしいオファーが提示できるのか、理にかなった説明をする。例えば競合の1/3のコストで何かを作れる場合、なぜそれが可能なのか正確に説明する。

・あらゆる戦略の価値を最大限に引き出す重要な戦略とは、あなたのビジネスの成功に貢献してくれる、もしくは今後貢献してくれるだろうすべての人と定期的なコミュニケーションを取ること。

・「卓越論」とは、クライアントのニーズを自分のニーズよりも常に優先させることのできる能力。これをマスターすれば成功は自然とついてくる。これは販売時だけではなく、どのような状況でも、どんな部署でも適用されるべき本質的な哲学である。

・どんな仕事でも、ごまかしたり策略によって誘導したりするのではなく、価値やアドバイスを提供することに注力していれば、さらに多くの見込み客、クライアント、上司、同僚、友人を自分の味方にすることができる。そして、今まで夢にも思わなかったような形で見返りが手に入る。

感想および実践したいと思ったこと

・マーケティング-販売-アフターフォローまで一気通貫でわかりやすく記載されていて、非常に勉強になる本だった。上記の「本書からの抜粋」にはあまり記載していないけれども、実例もたっぷり含まれており非常に理解がしやすい。

・「常に相手の利益を最重要視すること、それによって自身も利益を享受できる」という価値観がベースにあるのが非常に良い。個人的にも同じ価値観で仕事をしているつもり。紹介されているマーケティングおよびセールスメソッドを、この価値観なしに使っていくとかなりえぐみのあるものになりそう...。

・売上を順調に上げているSaaS系の会社は知らず知らずのうちにここで紹介されているメソッドを吸収し、うまく活用している気がする。「これどっかで読んだことあるな」という印象もあるかもしれないが、もしかしたら大元がこの本なのかもしれない。

・「いいものを作れば売れる」という考えが自分の中にはまだあるが、それは甘えなのだろうなと感じた。いいものを作る、いいサービスを提供するのは前提なのだが、それを知ってもらうための努力や、それを購入いただくための全リスクを事業者側で引き受ける覚悟、購入いただいた後にinactiveになったお客様を再度こちらから全力で引き戻すためのフォローなど、やれることはたくさんあるなと感じた。会社全体でこれらの活動の重要性を共有しつつ、実際に数字を上げて真に腹落ちさせることが大事になっていきそう。

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