見出し画像

短編290.『作家生活29』〜金と時間の天秤 篇〜

 その楽器の構成物が木であろうと金属であろうと、

 鳴らせなけりゃしょうがない。

 各々の部位が各々の部位を共振させるように、内部から破裂する『北斗の拳』の雑魚ギャラみたいに。

 俺はトランペットを吹きたいんじゃない。鳴らしたいんだ。

          *

 ーーー生きてるだけで金が入ってくるようにならなかったら、やりたいことなんてやる暇も時間もない。

 人生の袋小路だ。(そしてこれは小説でもエッセイでもない。単なる愚痴だ。読み飛ばすか、スマホをゴミ箱にぶち込むか、してくれ。最新鋭のiPhoneも出たようだし、君の握っているお古なんてもう用済みだろ?)

 やりたいことに真摯に向かい合い、習熟し、突き詰めていく為には時間が必要。それだけに専念出来るような環境も必要。そうなってくると、働いている時間が惜しい。寝てる時間すら惜しいのに、働く時間なんて。
 【やりたいこと】をやる為に働く時間を減らすと、今度は金が減る。現代社会では金が無ければ生活がままならなくなる。そうなると、【やりたいことをする】その一点すら危うくなってしまう。

 何故こうも天秤なのか。

 その天秤を平行に保とうとすれば、”それそのもの”で稼ぐ必要が出てくる。【好きなことをやって、それで金が廻る】。そんな状態を作り上げなければならない。。

 習熟しつつ金も発生する、なんてまるで理想郷だ。

 しかし、未熟なものに好き好んで金を払う者はいない。ここにもまた行き止まりが存在する。

「金くれないなら、せめて『いいね!』&シェア/リツイートで拡散してくれ」とも思うが、その声も届かない。

 世界中の人間に私を知らしめる為に付けたハッシュタグ。閲覧数二十三人。少子化の影響か、世界は随分と狭くなったらしい。

 世の中はクソッタレで救いがない。救いようのないこの私にお似合いのこの世界。


#作家生活 #愚痴 #小説 #短編小説

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?