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個人事業からの法人化 その①

起業家サポーター 税理士の河合です。

前回、個人事業から法人化するタイミング判断のひとつとして消費税という税金の問題についてお話しました。

今回は、消費税以外の税金負担について、法人化する判断をするにはどうしたらよいか?という質問に答えていきたいと思います。

前回も説明しましたが、売上〇〇〇円になったら、法人化したほうがよい・・・

とは単純にはいきません。

① 所得税がかかる構造

② 法人税がかかる構造

③ 社会保険料の負担の問題

おおむねこの3点を考える必要あります。

① 所得税がかかる構造

今回は個人事業の所得税について考えていきます。

①の所得税は、「累進課税」といって、たくさん売上が増えて、利益が出れば出るほど、税金を計算するときにつかう%(パーセンテージ)が上がっていきます。

キャプチャ

出展:国税庁ホームページ

所得税を計算するときには、売上から、かかった経費を差し引いて、利益を計算します。

その、儲かった利益から一定の金額(その年に支払った社会保険料などの金額など(所得控除といいます。))を差し引いた金額が課税所得、つまり税金計算の基になる金額となります。

課税所得税に上記表の税率などをかけて、所得税を計算します。

たとえば、売上が1,000万円、経費が600万円だと
売上1,000万円-経費600万円=利益400万円となります。
社会保険料などの所得控除の金額が100万円
利益400万円-所得控除100万円=300万円←これを課税所得といいます。

課税所得300万円を上記の表に照らし合わせると

300万×10%-97,500円=202,500円が所得税となります。

かかる税金は所得税だけではありません((+_+))

さらに
300万円※×10%=300,000円の住民税がかかります( ゚Д゚)

そして、これだけではなく、個人事業の場合には
個人事業税という税金がかかります(*ノωノ)

課税所得税が290万円まではこの税金はかからないのですが、それを超えると、3%~5%の範囲で業種によって事業税がかかります。

私のような税理士業を営んでいるものは5%です。
300万円※-290万円=10万円×5%=5,000円の税額が発生します。

かかった税金を合計すると
所得税 202,500円
住民税 300,000円 ⇒ 合計 507,500円
事業税   5,000円

個人事業では、消費税の他、所得税、住民税、事業税の3種類の税金がかかります。
(業種によっては、その他の税金がかかることがあります。)

累進課税とは?

次に累進課税というものを考えてみたいと思います。

個人事業が順調に業績を伸ばし、10倍の規模になったとします。
売上が1億円 経費が6,000万円 利益が4,000万円
所得控除が1,000万円 
課税所得は3,000万円

3,000万円を所得税の税率表に照らし合わせて考えると
3,000万円×40%-2,796,000円=9,204,000円
となります。

すごいですね!
売上や利益が10倍の規模に成長したら、所得税はなんと、45倍くらいになります。

住民税は一律10%なので
3,000万円※×10%=300万円

個人事業税は
3,000万円※-290万円=2,710万円×5%=1,355,000円

合計で、税金の額は、
所得税 9,204,000円
住民税 3,000,000円   ⇒  13,559,000円
事業税 1,355,000円

課税所得にしめる税額の割合は
300万円:507,500円     16.9%
3,000万円:13,559,000円    45.2%

儲かれば儲かった分だけ、税金が多くかかる構造になってますね。
これを累進課税方式といいます。

この所得税の構造と、次にみていく法人税の構造を考えて、どれくらい儲かったら法人化した方がよいと判断することができます。

売上規模ではなく、どれくらい儲かったか?です。

売上は、事業の種類によって全然違うので、売上だけでは、法人化のタイミングは判断できないんですねー('ω')ノ

次回は法人税の構造を考えつつ、法人化のタイミングについて、考えていきたいと思います。

※住民税、事業税の計算については、簡便的に所得税と同額の課税所得とします。

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