本を紹介するということ

間違いなく本が好きだ。
でもある頃から、ちょっと読んではまた面白そうな本を買ってきてそっちを読み、それもちょっと読んでまた次に…という、浮ついた読み方をしてきたので、腰を据えて読むということができていなかった。
そんな状況なので、おすすめの本をご紹介しようと思ってもなかなか踏み切れず、ましてや書評など…という思いで過ごしてきたのだった。

だけど最近、新しいことに気づかされた。それは、「読んでいる途中でも紹介していいんだ」ということ。

これまで私の中では本の紹介といえば、新聞の書評欄に載っているような完成されたもの。評者は(ザッとでも)全体を通し読みした上で、自身の色を加えながら書いているのだろう。
でも最近、「読んでいる途中であること」を明らかにしながらも、私の心を鷲掴みにする紹介文に立て続けに出会い、考えが変わった。そしてそれらは、批評を加える「書評」というよりは、「愛のある、熱のこもった紹介文」と言うのにふさわしい気がする。

(以下、無断リンクお許しください…。)

まずは、Kさんによる『ピダハン』(ダニエル・L・エヴェレット著)の紹介。

さらには、私が通う「語学塾こもれび」さんのブログでも、『中動態の世界』(國分功一郎著)について、「まだ読み終わってもいないのですが」と断りつつ「熱の冷めないうちに自分の関心とも結びつけながら少しまとめてみる」として、圧倒的な熱量の紹介文を書かれている。

(実のところ、まさにこのブログを執筆された方に私はフランス語を教わっているのだが、先々週の授業ではこの「中動態」を扱った。「扱った」というといかにも講義のようだがそうではなく、「さて、この『中動態』、いったいどんな『態』だと思います?」と問いかけられ、ああでもない、こうでもないと頭を捻って考える、という得がたい体験。)

また、「2回読まれている」ということで「読んでいる途中」ではないのだが、nuricoさまも『なぜ世界は存在しないのか』(マルクス・ガブリエル著)について熱い紹介をされている。

いずれも、紹介者の息遣いが聞こえてくるもので、これらの紹介文を読んだ私は「あぁ、一緒に読み進めたい」と思わされたのだ。

練り上げた批評を提示するのではなく、「読みながらこんなことを思った」とか「ここが胸に響いて、ここが分からなかった」といったことを素直に語り、それに対する反応をリアルタイムでもらえるのは、(対面で語り合っている場合でなければ)ブログやSNSならでは。新聞の書評欄にはない、活き活きとした場があって面白い。

これに励まされて、私も「まさに読みつつある本」について紹介していければ、と思う次第。今後、「今、○○を読んでいる」という投稿が増えるかもしれない…笑(しかもおそらく、「なぜその本を手に取ったのか」から始まって、なかなか内容には辿り着かない気もする…。)

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