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クロワッサンとほしみがき

ちょっと疲れた木曜日。「肩こりが先か頭痛が先か」と言いたくなるような偏頭痛を持て余しながら家路を急ぐ。

我が家は住宅街の中にあるので周りの建物は低く、空がよく見える。家の前まで帰り着いて、肩こりを少しでもほぐそうと首を回しつつ夜空を見上げると、ぷっくりと膨らんだ月が浮かび、その真横には星がちょこんと光っていた。
さらには、星と反対側には飛行機の赤と緑のライトが。私の住む街には飛行場があるので、機影がはっきりと見えるのだ。

ああ、なんだかいいなと思いながら家に入り、しばらくしてからTwitterを開くと、アーティストのKAGAYAさんの投稿が目に止まった。

そうか、あれは火星だったのか。花に詳しくない私だが、星にも詳しくないのだ。でも、繰り返しになるが、月を中心に火星と飛行機の灯りが並んだ様子は印象的だった。

「クロワッサンの由来は、動詞croître(増大する)の現在分詞croissantで、『三日月』を意味するんですよ」とフランス語の先生に教えてもらったのがつい先日のこと。今日の月は三日月ではなく十日夜の月で、クロワッサンではなくさながらクリームパン。いずれにしても、美味しそうだ。

さて、先日お勧めしてもらった絵本『ブタノくんのほしみがき』。なんと、お勧めしてくださった方が私にプレゼントしてくれた。本当に嬉しくて、いただいてから1日しか経っていないのに、既に何度も読み返してしまった。

よぞらの ほしは、どうして あんなに
かがやいているのか、しってる?
それはね、ほしみがきが おおぜい
はたらいているからなのです。
しごとを さがしていた ブタノくんは
かえるさんに おしえてもらって
りっぱな ほしみがきに なりました。
ときには、おつきさまも みがきます。
「ああ、すてき。いい しごとを みつ
けたものだ」
ところが あるひ……。

これは、絵本のカバーの袖に書かれた紹介文。「りっぱな だいがくを でた」ブタノくんは、ほしをみがく「ほしみがき」になる。

クリームパンの月の横に光る星を見た時、その星の名前は分からなかったけれど、まっさきにブタノくんのことを思い出したのだ。きっとブタノくんや他のほしみがきたちが磨いてくれたんだろうな、と。

夜の空にはクロワッサンやクリームパンもあるし、ほしみがきたちもいる。一見静かだが、実は結構、賑やかで楽しいのかもしれない。
今日の夜空を見上げてcroissantとほしみがきのことを思い出し、ふとそんなことを思った。私にそれらのことを教えてくれた方々のおかげで、これまで以上に夜空は魅力的になったのである。

薬が効いたのか、無事に偏頭痛も鳴りを潜めてくれた。
日付が変わるまであと2時間。心穏やかに過ごせそうだ。

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