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スウェーデン留学記#5 Skåneledenでハイキング ~HelsingborgからDomstenへ~

とある夏の朝、きれいな青空が広がっていてキッチンではアメリがサンドイッチを作っていた。見るからにうきうきしているので、「おはよう。今日は何するの?」と聞くと、友達とハイキングに行くという。特に何の気もなしに「いいね!お天気も最高だし、絶好のハイキング日和だよ!」と私が返すと、「一緒に行く?」と誘われ、驚いた。ハウスメイトとはいえ、まだ出会って数週間経ったばかりで、遊びに行くような仲ではなかった。一緒に行くという友達も知らない人ばかりだ。それでも本気で誘ってくれているみたいなので、思わず「行きたい!」と素直に答えてしまった。

じゃあ行こう、ということで大急ぎで出かけ支度をした。私もサンドイッチをこしらえ、30分後には二人で家をでた。Lund駅まで自転車で行き、そこから電車に乗るそうだ。

私が不自然に小さい自転車に乗っているのをみてアメリは「それ本当にあなたの自転車?小さすぎて危ないよ。」と眉をしかめた。というのも、私はさんざん自転車屋さんを探したのだけれど、スウェーデンの大人用の自転車はどれも大きすぎて日本人体系の私が乗れるようなちょうどいいサイズはなかったのだ。大きいのに乗るよりはコントロールしやすいということで、私は仕方なく子供用の自転車を買っていた。確かに、普通に立った時に膝が曲がってしまう。「漕いでいるときに膝がまっすぐ伸びるくらいがちょうどいいサイズ感だよ」と、アメリは自分の自転車を漕いで見せた。私が事情を説明すると納得したようで、なるほどと頷いた。

駅に着くと、アメリの友達と合流した。ルンドを含むスウェーデン南部地方の交通機関には、日本でいうPasmo, Suicaのような交通カード「jojoカード」(ヨヨカード)というのがあって、私もこれを購入した。現金よりもお得だし、バスでも使える (SJというスウェーデン国鉄が運営する長距離線には使えないので注意)。このカードを使って、券売機でHelsingborg(ヘルシンボリ) までのチケットを買い、電車に乗り込んだ。30分ほどの乗車時間はお互いに自己紹介をして過ごした。 それぞれイギリス、イタリア、ドイツ、ノルウェー出身とのことだ。全員知り合いなのかと思ったら、そうではないらしい。アメリ含む何人かは授業が同じだが、他の子はその友達ということなので私だけが初対面というわけではなく、ほっとした。みんな気さくで、ハイキング楽しみだねーとか、日本行ったことあるよーとか話しているうちにあっという間に到着した。

今回のハイキングコースはSkåneledenというスウェーデン南部地方にいくつかあるハイキングコースの一つだ。私たちはヘルシンボリ駅から出発し、Domstenという海沿いの地域へ向かうコースを歩く。駅についてまずHelsingborgの観光を行うことにした。最初に、Sankta Maria Kyrka (聖マリア教会)へ入った。14世紀に建てられたというレンガ造りの美しい教会だ。

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教会を出て、kärnanという市内中心の丘に建てられた城へ向かう。ヘルシンボリは港町なので、城へ向かう階段を上っている最中後ろを振り返るとすぐに海が臨めた。城の上まで登って、市街を見渡すとよく晴れて海と対岸まで見えた。

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皆で一通り写真を撮ると、いよいよハイキングコースへ入った。

途中しばし休憩を取りながら、そこから3時間ほど林の中を歩いた。北欧の夏らしい透明感のある木漏れ日がキラキラと降り注いでいて、時々他愛のない話をしながら歩く時間は幸せそのものだった。途中で沢や池があったり、ベリーの茂みがあったりして、ノルウェーの子が「これは美味しいよ!」と食べて見せたりした。

ひたすら歩いていると、視界が開けて畑に出た。そこからは道が広くなり、あっという間に海へ出た。

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私は日本の力強い海も大好きだけど、スウェーデンの海も大好きだ。夏だからか、スウェーデンの空はすごく高かった。その空を背景にした海は、どこまでも大きくて淡いブルーに輝いていた。皆もテンション爆上がりだ。一斉にカメラやスマホを出し、パシャパシャと撮りながらさらに海沿いを歩いた。歩いていると、素敵な老夫婦がベンチに座って静かに穏やかな海を眺めているのを見かけた。ゆっくり流れる時間の心地よさがこちらにも伝わってきた。

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海沿いには小さな可愛らしい小屋がたくさん並んでいた。スウェーデンの人たちは夏になると、こういう海や森の小屋で過ごすのが好きだというから別荘のようなものなのかもしれない。そういう生活、自分はきっと一生できないんだろうなと思いつつ、ちょっと憧れる。

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そろそろ疲れてきたなという頃、ようやくゴールの浜辺についた。皆ほっとして腰を下ろした。浜では金髪美少年たちが何か砂で遊んでいた。

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ぼーっと海を眺めていると、ドイツ人の子はテンションが上がったのか側転をし始めた。元気だねーと私たちは笑いながら、写真や動画を撮ってあげた。

帰りはバスに乗ってHelsingborgへ戻った。電車でLundに戻り、駅でその日であった友達と解散した。お互いのことをたくさん話したわけではないけれど、一日ハイキングを共にしたことで私たちはなんとなく気心が知れたような仲になっていて、私はそれがとても嬉しかった。

そこから家までアメリと帰った。アメリともその日一日で、心の距離が縮んでいた。楽しかったねー、またハイキング絶対行こう、と話しながら玄関を開けると他のハウスメイトたちが「おかえりー!どうだった?」と集まってきた。

私は一緒に家に帰る人がいて、帰る家には待っててくれる人がいるなんて、家族みたいだなーとほんのり嬉しい気持ちを噛みしめて、みんなにその日の思い出話を話した。

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