美しい文章の創作への試み① 「恋心から考える人生の美しさ」について


遠い追憶の中に生きる幾つかの恋は、ふとした瞬間に顔をもたげる。

その頃流行っていた音楽や、映画。はたまた、懐かしい響きのメロディーや太陽の具合によって。

今となってはもうどうなるものでもなく、また、どうしようというものでもないが、ただ、違う人生もあったのかも知れないと、そう思うのである。

そして、その人生を生きた時に感じ得る感情はいかなものか、想像してみるのである。

なぜあんなにも一生懸命になれたのか、今となっては不思議で仕方ない。

人の行動は気持ちによって動かされる。

そして気持ちの高鳴りは得てして非合理的だ。

恋に焦がれた経験の中で、後になって思い出すのは全て、何と非合理的なことばかりか。

思い出す事、それがその人間にとっての「人生」であるならば、人生は非合理的な出来事の集大成だ。

そして神は、カオスとも思える、到底人の想像の及ばぬところで、縁を繋いだり、離してみたりしているのかも知れない。

各々わずかに違う色を帯びた魂が重なり合い、丁寧に紡ぎ合わせた人生という糸はやがて、唯一無二の珠玉の光を放ち始める。それが「個性」だろう。

そう思えば人生とは、神に身を委ね、与えられた今をただひたむきに愛することである。



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