2月3日「NHK キャッチ世界のトップニュース」で取り上げられた海外のデジタル遺産特集 ふりかえり
2月3日、NHKBSにて海外のデジタル遺産特集が放送されました。たいへん参考になる内容だったのであらためて振り返ってみたいと思います。
https://www.nhk.jp/p/ts/KQ2GPZPJWM/episode/te/QGXN31K81M/
海外のデジタル遺産特集
オンライン遺言作成サービス trustandwill.com
まず、コロナ禍で死に関する意識が変化し、コロナ前とくらべ利用者が3倍に増加している 米カリフォルニア https://trustandwill.com/ の紹介。
クレジット情報や暗号資産などを事前に登録しておき、遺産の配分はもとより、遺産をめぐる処理を誰に託すのか(Digital Executor)を決めておきます。ここを決めておかないと、裁判所からの執行人の任命を待つことになるため、相続事務でたいへん時間がかかってしまいます。
親のパスワードがわからない
相続におけるパスワードの管理が問題になっています。
アメリカのミレニアル世代(25歳〜40歳)100人対象の調査では、 「親のアカウントのパスワードを知っている」のは36%にすぎず、半数以上(52%)がデジタル遺産について両親と話し合ったことがないのだそうです。
デジタル遺産の取り扱いが切実な問題になってきつつあります。
あらゆるアカウントにかんたんにアクセス 1password.com
カナダ https://1password.com/ では”マスターパスワード”を使い、次世代暗号化技術で、あらゆるアカウントにかんたんにアクセスする仕組みを提供しています。 個別のカウントを家族と共有し、家族にもアカウントへのログインやクレジット情報へのアクセスを可能にします。
故人のSNS管理 lantern.co
米 https://www.lantern.co/ ではあらかじめSNS管理人を指定しておき、亡くなったことを通知できるようにします。故人のアカウントを閉鎖、追悼し、故人の情報の悪用を防ぎます。
今後の課題
NHK ロサンゼルス支局 山田奈々記者は、デジタル遺産などの処理をまかせるには、肉親がいいのか、デジタルにあかるい友人がいいのか、また、自分より若い人にたのむべきか、改めて考えたと話していました。
また、今後の課題としてメタバースなどの仮想空間で、アバターの著作権 や、仮想空間の中での”思い出の記録”にアクセスできる権限などが問題になるだろうと締めくくりました。
Your data is yours あなたのデータはあなたのもの
ここからは私の補足と感想です。
1password.com は次世代暗号化技術を使用し、複雑で強力な個別のパスワードをランダムに生成したり、口座や資産の情報も管理できる仕組みをアプリやプラグインを使って実現しています。"マスターパスワード"はWEBには送信されず(1password.comも知らない)、ローカルにも記録されないため、利用者しか知りません。
lantern.coにも共通することですが、"Your data is yours" あなたのデータはあなたのもの、という考え方、生前・死後もそのコントロールは自分とその家族や愛する人々が握るべき、という信念があります。
"your data is yours"は1password.comのドキュメントにあることばで、最近はいろいろなサイトのプライバシーポリシーでも見かけることばです。
外部への脅威や悪意から、アカウント情報やクレジット情報などを守るために煩雑な手続きや、自分でも手に負えないパスワードの管理に苦しめられるのは本末転倒です。こうしたパスワード管理のワンストップサービスは、そうした煩雑さや不安の払拭・負荷の軽減にたいへん役に立ちます。
また、Lantern.coのような死後のSNS管理を大事な人に委託するサービスは、Apple やGoogleでもツール化、サービス化されることが増えていますが、ワンストップで、しかもスクラッチ(1から構築すること)
せず、テンプレートに沿って総合的に対策できることはとても有効なのではないでしょうか。
生前も死後も、私のデータは私と私の愛する人達のもの、なのですから、きちんと引き継ぎできるように備えておきたいものです。
マスターパスワードの取り扱いは要注意
注意が必要なのは”マスターパスワード”の取り扱いです。絶対に漏洩させたり、紛失したりできません。1password.com に限らず、パスワード管理ツール・サービスにあたるものを利用するときは、マスターパスワードの漏洩・盗難・紛失は逆に大きなリスクになります。1password.comでは、安全なところに保管できるよう、紙に印刷した”Emergency Kit”が用意されています。
もしものときカード
当事務所では、こうしたパスワードの管理は、終活・エンディングノート作成でデジタル遺産を生前整理する中で、カギとなる情報機器(スマホ、パソコン)を用意し、そのパスワードをスクラッチテープを効果的に利用することで、適切に管理することを提案しています。
https://note.com/tas_as/n/nbce33b24e093
大事なことは、あなたのデータはあなたのもの、ご自身であなたとあなあの大事な人がコントロールできるようにすることです。
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